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いせおち 《異世界転落物語 アカシャリーフ》  作者: 大和尚
アヘルカ連合国編
37/387

探索

37


 このダンジョンはアンデッドが多かった。

スケルトンナイトがスケルトンを率いて来る事があるが気功術がアンデッドに有効なので、ありがたいくらいだ。まぁ率いていたといっても連携していたわけではなかったが。


 タウロス大部屋から2階下も下り階段しかなかった。下りしかなかった事によりキニートが嘆いていたね。

この階層は広くて人の気配が無く、それでいて収穫は無いから気持ちは解る。


 さらに1階降りた所にあった部屋でリッチと遭遇した。

アンデッドは気功術の気配読みで判らない相手なので回避できなかった。リッチが置物のように佇んでいたのも戦闘になった理由だ。

幸いだったのはリッチが単独で部屋にいた事だ。キニートをリッチ以外の索敵に置いて他の全員で攻撃した。俺、カビーノ、オクタの前衛が3方向から襲った。


「グハッ」

「グッ」


 リッチが動いたと思ったら炎の範囲魔法を放ってきていた、それを俺とオクタが受けてしまった。

至近距離での範囲魔法は無理すぎる。

両腕で顔や体をカバーしたが、かなりの火傷を負ってしまった。

しかしオルのウインドスラッシュとカビーノの気を乗せた剣『気功斬』によりリッチも倒れた。

オクタは盾である程度範囲魔法を防いだようで、剣を持っていた右腕だけ火傷を負ったようだ。

さすがに魔法は俺によく効く、気功術の治療に入るがきつい。

やむを得ず最後のポーションを使った。

ポーションは飲んでも掛けても効くので、半分飲んで残りを患部に掛けた。

目に見えて判るほどの回復ではないが、火傷した皮膚がウズウズしているので、なんらかの効果は出ているようだ。


「トシ、大丈夫か?」


「ああ、ポーションを使ったし、少し休ませてもらえば大丈夫そうだ」


「範囲魔法じゃあな。俺の方に来てもダメージの程度は違ってもくらっただろうな」


 治療中の俺にカビーノが言ってくれる。フォローしてくれてるんだろう。


「リッチが集団でいたりとかあるのかね?」


「いた事もあったぜ。ただしリッチロードが配下のリッチを率いてた時だな。統率者がいないで2体いるなんてのは、あんまりないんじゃないか」


「リッチロード!あれより強いヤツかよ。魔法怖い」


「ああ、あんときは5パーティで連合組んで討伐に行ったときだな。1パーティが全滅しちまった。それ以外にも被害甚大だった……できれば会いたくない相手だな」


「むぅ」


「取り巻きが多くてリッチロードに近寄れなかったのが痛かったぜ。距離あるとすぐ魔法が飛んでくるしな」


「それは俺には無理そう……」


 オクタみたいに盾を標準装備にしたほうがいいよな。

相手に素手で気を叩き込む『浸透撃』はオーガやタウロスにも効いたが盾を標準装備にして、いざってとき盾を捨てて『浸透撃』を使うのがいいだろうか。

俺に魔法は痛すぎる。俺に遠隔攻撃が無いってのもあるけどな。

タウロスの骨で作ったタウロスハンマーは重すぎないので右手だけでもなんとかなる。両手持ちより威力は落ちるが怪我をするよりいい。

鉄を全部使ってカイトシールドを錬成する。


「錬成」


 少し厚みが足りないがタウロスみたいなヤツの攻撃でもないかぎり防げるだろうし、ある程度魔法も防げるだろう。


 気功術の治療も続けながら水を飲む。魔物の血から水を作れたのは良かった、まぁ血も水分だしな。アンデッドからは作れないけども。

そういやアンデッド以外の魔物って蝙蝠に蛇、ネズミにタウロスか。

ダンジョンで魔物が発生する仕組みも判らんな、どう維持してるのかも謎だ。

カビーノ達に聞いた所、洞窟型ダンジョンには外から住み着いた種が住み着くとか。

しかしダンジョンの7割は、ここアレゾルアのダンジョンのように1種族だけではなく出てくるし、階段や土の棺桶などもあるタイプらしい。

アンデッドは冒険者のなれの果てらしいが、他の魔物に付いてはそういうもんだで終わってしまった。

ダンジョンを研究している組織や人もいるらしいが判らない事だらけとか。

かっちゃんに会えたら聞いてみようか。


 俺の治療の間に警戒担当のキニートもカビーノと交代して休憩していた。

ちなみにリッチからの戦利品もあった。水晶が先端に付いた杖と、魔法の指輪、黄色の魔石です。魔法の品は鑑定待ちですね、楽しみだ。


「アンデッドは気功術が効くのはいいっすけど、索敵の難易度が上がってしまうのが難点っす」


「そうだな」


「オルの魔力による索敵を中心に変えるべきかしらね」


「まかせて……」


「そうか魔力から調べるって手があったのか」


 カビーノが警戒担当でいないが、みんなで意見を交わす。俺は魔力がないから魔力索敵なんてものに気が付くはずもない。


「それなりの集中力がいるから魔力索敵をずっと続けるってのは無理なのよね?」


「うん……」


「オルには余裕のある時に索敵していってもらうか」


「そうっすね」


 ダンジョンの探索にはメイジやソーサラーは必須かもなぁ。

攻撃、索敵、マッピングと有能すぎるな。

罠の感知くらいかねできそうにないのは。


 俺は1時間ほどの休憩で火傷も直せたが、オクタはもっと早く治っている。

治療が終わった事をカビーノに告げ、探索の続きに入る。


 そして念願の上へ向かう階段を発見した。

タウロス大部屋方面のではない階段である。


「やったっす。ついに上へ行けるっす」


「おう、だからと言って気を抜くなよ」


「もちろんっす」


 キニートが嬉しそうに報告する。とても表情が明るい。


 階段を上り探索を続ける。

スケルトンナイトがスケルトン7体を率いてくるが俺達の敵ではなかった。

ようやく俺も《赤い旋風》の戦い方に合わせられるようになって来た。

オクタが盾役で先頭に立ち、キニートが敵発見後にオクタの補助に入る。カビーノが主力でオルとホルがオクタが防いでいる魔物を排除する。これが彼らの基本だ。

ホルは骨相手だと弓が効きづらいため俺とともに警戒をする事が多かった。

俺は後方警戒と後衛の守護だ。

時折カビーノかホルの指示で遊撃に回る事もある。


 その日の探索はさらに1つ上へ向かう階段を見つける事が出来た。

大きい部屋も見つけ寝ることも出来そうだ。

お日様を拝める日も近いかもな。


 ゴンタとかっちゃんに会いたいな、離れて大切さがよく解った……。もちろんカビーノ達と仲が悪いわけではないが。

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