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いせおち 《異世界転落物語 アカシャリーフ》  作者: 大和尚
アヘルカ連合国編
32/387

都市アレゾルア

32


 アレゾルアへ向かう馬車で話を聞いた。かっちゃんとホルの話を纏めると以下の通り。

ナターシャと倒れて亡くなっていた人は、孫と祖父の関係で彼は元冒険者だった。

ナターシャの両親は二人とも人族で既に亡くなっている。

一月ほど前に祖父であるヤーゴさんとモラテコを出た。なんでかは知らない。

昨日祖父が倒れて動かなくなった、祖父は亡くなったと解っている事。

20歳の外見と10歳くらいの中身らしい。


「なっちゃん、みんなにご挨拶しましょうね」


「うん。わたしはナターシャです」


「さっきあったね、俺はトシオです。みんなからはトシって呼ばれています」


「俺はカビーノだ」


「お……私はキニートです。よ、よろしく」


「俺はオクタビオと言う。オクタでいいぞ」


 ナターシャはかっちゃんとホルの間に座って挨拶してくれた。男衆もナターシャに挨拶する。女衆は既に愛称同士で呼んでいるね。


「たぶんやけど、ヤーゴさんはエルフ領に行ってこの子を任せたかったんやないかな」


「両親が既に亡くなっているし、ヤーゴさんも結構いい歳に見えたものね」


「なっちゃんの先を心配した……」


 孫の将来を心配したのは判らんでもないが、何故二人だけで旅に出たんだろうか?馬車や護衛を使えないわけでもあったのかな?しかも森を移動してたみたいだし。謎が多い。


「判らん事は多いが、それが判明することもないだろう」


 カビーノの言う通りかもな。


「そうね。モラテコを離れたかったのならモラテコに聞きに行くわけにもいかないしねぇ」


「うん……」


「問題はこの子をどうするかやね」


「そうねー。中身はまだ幼いみたいだし」


「それにこの見た目や、人族の男が好みそうやん」


「綺麗すぎて問題が起こるのが目に見えるわね」


「うちらは世界樹に行くから連れてってもええんやけど」


「本人に決められるなら、それがいいんだけど」


 ホルがチラリとナターシャを見ながら言う。本人は馬車の中や俺達を見てニコニコしている。話が解っていないようだ。そして人見知りはしない子みたい。


「取り敢えずは面倒みんとな。ええやろトシ?」


「うん、俺達は世界樹も目的だしね。エルフ領で預かってくれるならそれがいい。そこまでは面倒をみようか」


「おう。それでいこう」


「そっすか、俺達で面倒を見ても……」


「バカだな、ダンジョンに連れてけないだろ」


「あぅ」


 一応の方針は決まった。


「なっちゃん、かっちゃんとトシ、ゴンタにミナモと一緒に世界樹いこか?」


「世界樹?よくわからないけど一緒する」


 かっちゃんにも懐いたのか、かっちゃんの手を握って返事をした。クールそうな顔付きなのにニコニコしていてギャップがあるな。美人さんの笑顔は強力だけどさ。ちなみに胸はささやかっぽい。


「ちょっと遅れたが、もう少しいけばアレゾルアだ」


「おぉー」


 警戒を緩めず鳥を飛ばしてから、ウナイさんが言う。


 昼飯を食べてからも馬車を走らせる。ナターシャは昨日からまともに飯を食べていなかったようで、よく食べた。果物が好物のようで次々食べていたし、肉も食べていたね。ホルが甲斐甲斐しくナターシャの世話を焼いていた、いいお母さんになりそう。オルはマイペースでした。


「アレゾルアが見えたぞ」


 馬車の制御をしながらウナイさんが言う。遠くに城壁が見えて来た。ウナイさんが言うには人口10万弱で城壁は2つだが、森に沿って堀と柵も並べているそうだ、いずれ城壁にするらしい。主な産業は漁業、交易とダンジョンで都市を賄うくらいの農業もしている。


「こういう城壁外の農地はサヒラとかと同じ景観だね」


「取れるもんも似たようなもんや」


 農作業をしている人達を見て言う。この人達の中にも農奴がいるのかな、獣人の姿も見える、猪の獣人だろうか牙が出ている。


 そしてアレゾルアの都市部へ入る門に着いた。馬車はいないが十数人並んで入場を待っている。並んでいる人達は冒険者や農民かな。


「馬車から降りて、それぞれ身分証を提示しろ」


 門番のうちの一人が言う。みんな外へ出て指示に従う。


「おい、お前!その頭の狼の被り物を取れ!」


 えっ俺?なんだろう。指示にしたがい狼のヘッドギアを取る。


「ふむ、問題無しか。よし身分証明書を見せろ」


「はい」


 門番の指示に従い、冒険者カードを見せる。


「よし、いいだろう」


 ナターシャは身分証明書を持っていなかったので、サヒラのように1日滞在許可証を銀貨1枚でもらう。みんな無事通れた。ウナイさんにゴンタ達も泊まれる宿やを紹介してもらい向かう。


「ここだ」


「新緑亭ですか」


「一階はこの通り酒場になっている、だからここには泊まれないが裏手に別棟がある。そこならゴンタ達でも大丈夫だ」


「おー、気楽に過ごせそう」


「おう。じゃあ金ももらったし行くぜ」


「お世話になりました。ウナイさんお元気で」


「おう。またな」


 ウナイさんいい人だったな。色々教えてもらったし楽しい馬車の旅だった。みんなも礼を言っている。


「俺が宿の手配してくるから、そこで待ってろ」


「あいよー」


 そういってる間にも、ナターシャは興味深そうに辺りを見回している。モラテコと大差なさそうなのにな。


「トシだけ門番の反応ちごたな」


「うん。なんだったんだろうね」


「門番以外の衛兵も慌ただしかったしなんかあったんかな?」


「ギルド辺りで調べてみましょ」


 やはりアレゾルアで何か起こっているのかもしれないな。だれかを探しているっぽかったが……。


「おう、部屋を3つ借りて来たぞ。そこの脇からいくんだそうだ」


「いくか」


 カビーノとオクタに続いて向かう。その先にあった別棟はログハウスで3つの大きい部屋があった。朝飯だけ付いていて酒場で食べるのだそうだ。

井戸は好きに使ってもいいとの事だが風呂は無かった。残念。

早速部屋に入って荷物を下ろす。部屋のメンバーは俺とかっちゃんゴンタにミナモだ。ナターシャはホルにお願いした。

荷物を置いてカビーノ達の部屋へ集合した。


「なんかあるなアレゾルア」


「そうっすね」


「兵士達が慌ただしかったな」


「そうね」


「うん……」


「なんやろねー」


「だれか探してたっぽいね」


わう

わふ


「かもな」


 みんな不穏な空気を感じていたらしい。


「俺達にも関わってくるかもしれんから、先に調べに行くぞ」


「うっす」


「俺達はギルドでいいか」


カビーノ、キニート、オクタが言う。


「私たちはナターシャの買い物がてら商店で聞いてみるわね、その後ギルド登録に行きましょう」


「聞く……」


「お買い物ー」


「あ、俺も護衛に着いていくっすよ。いいっすよねカビーノさん」


「いいぞ」


ホル姉妹と嬉しそうなナターシャだ。そしてキニートも行くことになったようだ。


「うちらはどうしよか?」


「思いつかない」


わうー


「ゴンタは港で聞き込みをーやて」


わう


「なるほど、頭いいな」


わう

わふ


俺が褒めると喜んでくれた。なでなで。


「おう、少し休んだら行動だ」


「「「おう」」」


アレゾルアに来て早々何かが起こりそうだ。

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