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初戦

3


わうう


ゴンタの唸り声で起きた。

周囲は少し明るくなって来ている。

ゴンタの警戒しているほうを見る。

森の奥の方は暗くて見えない。

でも、なにかがいるのだろう。

逃げられる相手ならば逃げられるようにバックパックを背負い、お手製の棍棒を構えて警戒する。


3匹の大型犬が飛び出してきた!速い!逃げらんねぇな。


「逃げられない!戦うぞ!」


わう


俺が1匹、ゴンタが2匹相手にすることになった。

俺に全て向かって来なくて良かった、でもゴンタのほうが警戒されてるのか……なんて思っていた。

よく見ると、牙がすげぇ!犬歯なんだろうけど、ごっつい。

狼なのかも。


ガルルルッ


唸り声とともに、俺の足を狙って突っ込んできた。

腰を落としアッパーぎみに棍棒を合わせる。

伊達に傘でゴルフスイングしてねーよ?

うまくタイミングがあったようで狼が吹っ飛んだ!


ギャインッ


やつは木にぶつかって止まった。

なんか思ってたよりパワーでてるぞ俺。

補正か!?これが異世界補正なのかっ!

野生の獣に対抗できる力でがあって良かったよ。ホント。

でも一撃で倒せるほどではなかったみたいだ。


よろけつつも狼は立ち上がってこちらを睨んでくる。

やつを警戒しつつ、ゴンタのほうをチラリと見る。

あの速い狼達以上の速さで戦ってるっぽい……。

ほっ、ならこっちの相手をきっちりすべきだな。

こっちの武器は棍棒と鉛入りの安全靴キックだな。

低い体勢の相手だからキックのほうが戦えそう。


ガルルッ


「こいやぁ!」


さっきほどの速度は出ていない、ダメージありかな。

直線的には突っ込んでこなかったが、十分対応できる速度だ。


ブンッ

ササッ

ドガッ


ギャインッ


牽制の棍棒は避けられたが、本命の蹴りが命中!

吹っ飛んだ先で血を吐いて動かなくなった。


「やったか?」


フラグではありませんでした。

ちゃんと倒せました。

次はゴンタの手助けだ!


わう


終わってました。


「えっ!?もう倒したの!」


わうー


すごいでしょーって顔をしてる。


「すごいなゴンタ強いんだなー」


わうー


わしゃわしゃ頭を撫でる。

尻尾ぶんぶん。


「俺も頑張って倒したよー」


わう


「地球じゃ相手にできなかったろうなぁ」


わう


「俺たち強くなってる!」


わうー


「で、この3匹どうしよっか?」


わう


「テンプレだと血抜きしてから食べたり、毛皮剥いで売ったり、魔石とかとったりするんだよねぇ」


わうー


「田舎で鳥の血抜きはしたことあるけど、解体とかしたことねーよ」


わぅ


「ゴンタ的に、こいつら食べられそう?」


わう


ゴンタに近い種でも問題ないようです。逞しいな。

毒とかも大丈夫そうかな。



「よっしゃ血抜きしつつ解体してみっか」


わう


「うん、ゴンタは応援しててくれよ」


わぅ


「周囲の警戒もねっ」


わう


木の側に3匹の死体を集めた。

虫や鶏くらいしか殺したことなかったが、案外問題ないもんだね。


さて問題は刃物がない事だな。

錬成しかないんだろうけど、黒曜石みたいな鋭さをもってそうな物が作れるかどうか……。

大きい石で錬成してみた。

形もナイフみたいにできたが、鋭さはない。

切るってか、押し切るならなんとかなりそうかな。


あっ!

これって死んでるから錬成きくんじゃねーの?


「錬成」


おお、成功した!すげぇ!

毛皮が剥げた、丸出しの肉はグロイね。保健室の人形みたいだね。


「錬成」


血を全て抜き出せたっぽい。

お気楽モード突入か。

後で穴を掘って、奥に血を含んだ土押し込めとこう。

後は肉と内臓、骨あたりか。

肉は水分抜いてジャーキーにできるかな……?

ジャーキーみたいなイメージでやって内臓は残せるかなぁ。

やってみんべ。


「錬成」


あ、できそうだ。むぅ肉どこに置こう……。

器用意してなかった。

籠に入った木苺の上でいいか。

えい。

ジャーキーがたくさんできた。

グロイ内臓と骨が残った。む、なんか丸っこくて濁った青色の石も発見。

胆石…?魔石とかそんな感じかね。取っておこう。

食べてみよう。

ぱくり

もぐもぐ

うん、ちょっと筋あるし固いけど肉だな。

旨味は感じられる。


「ゴンタも食べてみる?」


わうー


手にジャーキーを乗せて、ゴンタに差し出す。

ぱくり

もぐもぐ


わう


尻尾を振って嬉しそうだ。

俺的には、塩コショウがいるな。

錬成で少しずつ塩コショウを中にも含ませる。

ぱくり

もぐもぐ

うむ、やっといい感じで仕上がった。

ゴンタには少し味濃いだろうか……。

次はゴンタ用に味薄いのも作ってみよう。

時間があったら燻製も試したいところ。

そのうちだね。


先にジャーキー器用意しとこう。

今後の移動も考えると…毛皮で風呂敷みたいに包めるようにするか。

肉も詰まってたし、ジャーキーも収まるだろう。

錬成で毛皮を四角い風呂敷に変形させる。

水分が抜けた肉だと半分以下の容量になるな。骨も内臓もないしね。

毛皮も2匹分まとめてしまえば大きいけど片手で持てるだろう。

1匹分の風呂敷は俺のジャーキー用ね、ゴンタのほうが肉食べるだろうから2匹分。

焼肉も食べたいので、生肉もおれとゴンタで食べれるくらい残してジャーキーにする。

風呂敷に肉と木苺を入れた籠を入れたら、すごい量になった50kgくらいありそう…。

背負って歩いてみる。

まぁ移動だけなら大丈夫そうだな。

力持ち万歳。

移動するとき、バックパックは手に持とう。


作業をしてたら、日が昇っていた。

新しい朝が来た、希望の朝だ。

いってみただけです。

水で手と顔を洗った後、ゴンタと水を飲む。ふぅうまい!


木の棒で板を擦る。

力があるおかげか、すぐ火種が作れた。

薪とおがくずで火を起こす。

生肉に塩コショウして木の串にさす。

朝飯から肉ってのもなんだが、昨日軽すぎたからな。がっつりいくぜ。

ゴンタも嬉しそうだ。

上手に焼けましたー。


「焼けたぞー肉おたべ」


わうー


木の器に肉を盛っていく。

ゴンタのほうは薄味にしといた。

あっしも食べやす。

もぐもぐ


「うまい!」


わうわうー


がつがつ食べていく。

雑食っぽい狼だからまずいかと思ったが、うまい。

これなら今後も食料に困らないかも。

衣食住と戦闘のうち住まい以外はなんとかなりそうなので、気持ちが楽になる。

着替えもいるし、もっと強いやつらがでてくるかもだが、いいのだ。


「どんどんおたべー」


わうー


がっつり食べました。

口直しに木苺も食べたよ。


食休みも終わったことだし、移動すっかね。


「ゴンタ出発しよう」


わう


毛皮の風呂敷を背負い、バックパックと棍棒を手に持った。

傍から見たらきっとすごい絵面だな。


「海沿いをあっちにいこう」


わう


てきとーに進むことにした。

まだ暑くないし海を観ながら散歩気分だな。

警戒?いいんだよゴンタ先生におまかせだよ。

二人で歩いていく。


10kmほど歩いただろうか、あまり疲れは感じない。

力だけじゃなく体力も補正がかかっているのだろうか。

ありがてぇ。


「休憩しよう」


わう


木の側に荷物を下ろしてからゴンタと一緒に水を飲む。

前も後ろも同じ景色がずっと続いている。


「目印になるような山とか、島とかないからどんだけ進んでるかわからんね」


わぅ


「鳥や獣の鳴き声と、たまに沖合で大きな魚が跳ねたりするくらいの変化しかないなぁ」


わう


「道もないし、人の気配もないね」


わう


「あれから襲撃されていないのだけが救いだ」


わう


襲撃か…あの青い石持ってるのが魔獣とかなんだろうかね。

ファンタジーっぽいし魔族とか、魔獣とかいそうだもんな。

魔法は見れてないけども。

そういや、あいつら倒したしステータスに変化はあったろうか?


「ステータス}


わう


<サトウ・トシオ>

・38

・ポーター・バーバリアン・グラップラー

・錬成1


「うおっ!数字が上がって、職業が増えてる!」


わうー


「うは、なんか嬉しい」


わう


「これって戦った結果だよな?」


わう


「レベルが5も上がったし、バーバリアンとグラップラーって職業がついたよ」


わうー


「すごかろ?ひひひ」


わう


「そういやあれだけの大荷物持って移動とかポーターのおかげでできてるのかも…」


わう


「職業は大事かもね」


わうー


ステータスの数字を注視したら詳細がでた。


・38

肉体強度の値。

数字が大きいほど強い。


ふむ。レベルじゃなかったのか。

技とかじゃなく肉体のみの強度かな。

某野菜人でいうところの53万みたいなもんだろう。

他の奴のも見れたら目安になるんだけどねぇ……。

今のとこ大した意味はないかも。

比較対象がないしな。


・ポーター

スキル運搬2体術3


・バーバリアン

スキル棒術2体術3内臓強化1


・グラップラー

スキル格闘2体術3


むむ?スキルが取得できたから職業が付いた?

ステータスでは見えなかったがスキルを持っていて自身の行動によって付いたのだろうか?

この数字はスキルレベルっぽいな。

内臓強化か、こっちの食べ物を食べたから付いたのかな?もともと持っていたのか?

格闘と体術は違うもの?すべての職業に体術が付いてるな…。

解らないことばっかだな。

でもなにかしら自分が持っているってのは自信になるな。


錬成ってのはスキルではない?

特別な能力だと考えた方が良さそうだな。

職業にもでないし、別枠だしな。

解った事をゴンタに伝えといた。


そのうち色々解るよね。


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