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いせおち 《異世界転落物語 アカシャリーフ》  作者: 大和尚
アヘルカ連合国編
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昨夜はカビーノ達と一緒に夕飯を食べ、軽くお酒を飲んだ。

旅の行程についても聞いたよ。船でモラテコへ行き、そこからアレゾルアへ向かうとの事。その時カッツォがモラテコからは馬車か徒歩がいいと言い出して、他の人達から時間掛るだろって詰め寄られてた。

それで判った事があった、カッツォは船が嫌いらしい。と言うか海に落ちて死にかけた事があるとの事。

ケットシーの種族魔法を使えばなんとかなったんじゃないの?と小声で聞いたら。


(結界魔法はなぁ、自分から対象に飛び込んでいく限り弾いてくれへんのよ)

(ほほー。いいの?俺に教えちゃって)

(長い付き合いになりそうやしな、あんたらおもろいし)

(それはどうも。船から落ちて結界魔法張ったけど効果がなかったんだね?)

(うぅ……そやねん。あれには驚いてもうた。うちの家族も仲間も教えてくれへんかったんやもん)

(むぅ、万能ではないって事か)

(おかげで索敵や身を守る手段を持っておこうってなったけどな)

(それが教えなかった理由かもねー)

(かもなー)


モラテコからアレゾルアへの旅路について、俺も馬車に乗ってみたかったのでカッツォに賛成しておいた。勿論カッツォのためでもある。


「ゴンタも馬と並走して走ってみたいよな?」


わう


「馬車に決まっている……」


ゴンタをダシにしてみたら、あっさりオルタンシアが釣れた。オルタンシアに甘い姉のホルフィーナも釣れ、意見の強い女性陣がこちらへ付いたことにより大勢に決着がついた。ひひひ。

そんな話をしたのだった。


朝の訓練も終わり、朝飯も食べてから荷物を背負いエントランスへ向かった。

防具一式と骸骨ハンマー、バックパックと鉄で錬成したリングによってバックパックに固定されたマジックバッグ。こんな格好である。ついに片手が空いたよー。


まだカビーノ達は来ていなかった。

支配人のエドゥさんとダニエラがいたので、お世話になったお礼と今後の予定などの話をした。相変わらず淡々としたエドゥさんであったが、幾分感情の乗った声で旅の無事を祈っていますと言ってくれた。視線がゴンタに向いていたのは気のせいであろう。

エドゥさんは渋いおじさんだ、髭も似合うし綺麗に撫でつけたグレーの髪もいかすし、着こなしも様になっている。俺もおっさんなので経験から色々達観している部分はあるし枯れているとも言われていたが、こんな人物になりたいものである。

エドゥさんとダニエラからお茶の葉を餞別に貰った。何度か宿で飲んで美味しいと言ったからかな、ありがたく頂いた。


「おう、待たせたな」


「お待たせー」


「大丈夫やで」


「よっしゃ、いくか」


「お世話になりました」


みんなで支配人達に別れの挨拶をし宿をでた。


西門から城壁を抜け港へ向かう。昼過ぎに出る船に乗るそうなので余裕はある。港への道をのんびり散策していくのであった。平原と畑ばかりでしたがね。


港もそこそこ賑わっていた。暗いうちから海にでていたのか漁船もいるね、忙しそうに荷物を下ろしている。建物は多くはない。


カッツォに聞いた話では、いずれここまで城壁で覆うらしい。モラテコとの行き来は船がメインらしいからな、当然かも。定期便に関してはサヒラがほとんど費用を負担しているのも無理はない。

サヒラが出来たときも船で上陸地点を見つけ都市の場所が決まったそうな。


「まだ時間はあるから港見物でもするか。昼飯はあそこの料理屋に集合して食べるか」


「はいな」


「それまで自由行動な」


「おう」


カビーノがすぐ側にあった料理屋を指で示し提案してくる。異論はないので了承した。

港を見て回る、いい匂いをさせていた屋台で魚の塩焼きが売っていたので食べた。サヒラで食べたのよりさらに美味い!サヒラでも十分美味かったのにな。

ゴンタとミナモにも買って配る。


わうー

わふ


「そうかー美味いかー、気にいったんやねぇ、うちも気にいったでー」


カッツォがゴンタとミナモと話しながら幸せそうに魚を食べている。

オルタンシアも俺達に着いてきていたが、ゴンタのガードをしているミナモに負けて俺の隣でちまちま魚を食べていた。視線はゴンタに釘づけだ、見ているだけでも十分そうだ。


干物にしている工程を見させてもらったり、変わった魚を味見させてもらったりして港を楽しんだ。オルタンシアをゴンタに任せて、俺は海水から塩を補充したりもした。


昼飯時になったので、みんなに声を掛けさっきの料理屋へ向かう。ゴンヤとミナモは匂いが気になるのか、そこらじゅうクンクンしていた。

料理屋では、すでに俺達以外のメンバーがそろっており食べ始めていた。

ゴンタとミナモは外で待っててね。皿を出して水と、さっき買った魚を乗せた。お食べー。


「おう、来たか」


カビーノ達が取っていてくれた席に着くと、カビーノが魚を豪快に齧りながらそう言った。


「うん、ここは何が美味いって?」


「魚なら何でもおいしいわよ」


「だな。いける」


「飲みたくなってきたっす」


皿は魚だらけであった。とはいえ俺達もそうする。日替わりの魚定食というのがあったので、それにする。


「日替わりの魚定食をくださーい」


「うちもー」


「同じく……」


出遅れたし日替わりなら早く出てくるだろう。実際すぐに店員さんが持ってきてくれた、鉄貨15枚を払い食べ始める。

パン、白身魚の塩焼、魚介スープです。魚はお米と一緒に食べたいもんだ、残念なり。そして魚介スープが好みです、安すぎないか心配だ。


昼飯を食べた後はお茶を頼んで食休み。

海が見える店なので外を眺める。潮風は少し生臭い。

天気も良く海が良く見える、時折波で反射した日光がまぶしくもある。


「あれ?島があるね」


「おう、人は住んでない小さな島がここらにはいくつかあるぜ」


「へー」


家も持っていないが、別荘でも建てて遊びに使いたいな、なんて思った。


「そろそろいくぞ」


「ういっす」


「「おう」」


「はいな」


「そうね」


「うん……」


時間らしいので店を出て船着き場へ向かう。俺は船も車も乗り物には強かったので、船も楽しみだ。少しカッツォは元気がない、若干髭が下を向いている気がする。頑張れー。


俺達の冒険はこれからだっ!

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