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いせおち 《異世界転落物語 アカシャリーフ》  作者: 大和尚
アヘルカ連合国編
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21


俺達一行はサヒラへと急いだ、来た道を戻っているので索敵さえ機能していれば、先に何があるか解っているのでかなりのペースで進んだ。

おかげで3日目の午後一にはサヒラに入ることが出来た。

帰りの途中はシルバーエイプより弱い相手の襲撃しかなかったよ。俺は索敵しかしてなかったね。

ともあれ戻って来た都市サヒラは、いつもの日常をすごせているようだ。

ミナモの首輪も、ちゃんともらえたし銀貨1枚で。おれの指示をミナモの隣でゴンタが通訳して動いてもらったのだ。


そして今俺達がいるのは冒険者ギルドの会議室だ、出発前にケビンから調査の依頼をされたときの部屋だね。

椅子と大きなテーブルだけは冒険者が使うものとして頑丈で良いもののようだ。室内は飾りっけがかけらもない。そうやって部屋を眺めていると待っていた人物が部屋に入って来た。


「ご苦労だったな。仕事が早い」


冒険者ギルドのサブマスターであるケビンだ。

座った早々俺達に声を掛けた。戦闘系サブマスターだからなのか、要点しか言わないね。

そばには秘書さんも控えている。グレーのスーツっぽいのを着てカッコイイ女性って感じだ金髪をアップにしている、眼鏡を掛けてクィッっと位置直ししてくんないかな。


「おう、オークの襲撃元を突き止めて来た。ここから俺達の足で3日目の夕方に発見したぜ、サヒラが余裕で入るくらい大きい湖に沿って50棟ほどのログハウスが立ち並んでいた」


そう言いながらカビーノは紙で出来た大雑把な地図をケビンに渡す。


「建物だと?」


ケビンは地図を受け取り一瞥した後、訝しげに問う。


「おう、俺達もオークが建物を作れるなんて初めて知ったさ」


「人間の作ったものではないのか?」


「断言はできないが、あの立地と建物のサイズから考えオークが作ったものと判断した」


「ふむ」


「そして、湖の対岸には倍の100棟ほどと子供のオークもいたようだ。そこから山へ繋がりそうな道もありそうだった」


「オークの村なのか。山にもオークがいる可能性もあるって事だな」


「おう、侮らない方がいい。家を作れる知能があるんだ国くらいの規模を持っているかも知れん」


「ふむ」


「探索の専門家集団で探るのを推奨するぜ。とりあえず俺達はやつらにばれないように行動し、ログハウスを放置して戻って来た」


「あとはこちらで考えてみる。よくやってくれた。ラリ君、彼らにクエスト報酬の支払いをしてくれ」


「はい、ケビン様」


カビーノとケビンの話が終わり、秘書のラリさんが報酬の金貨3枚づつを支払ってくれた。

途中で取れた魔石と素材売却、クエスト完了手続きと処理してもらった。俺のはケビンさんがしてくれたよ。みんなが訝しげな顔で見てたね、後で追及されるかなぁ。

ちなみにクエスト以外の報酬は白金貨2枚と金貨6枚になった、うまうまである。


「帰って休んでくれ」


「おう」


カビーノの返事で俺達も会釈して部屋を出た。


「昼飯くいにいこうぜ。俺が奢るからよ」


「勿論っす」


「あら、いいわね」


「ごはん……」


「いいな」


「ご馳走になるで、そのまま夜まで宴会か?にひひ」


「ゴチになります」


わう

わふ


「宴会か、それもいいな」


酒好きなのかカビーノの顔が緩んでいた。豪傑っぽいんだから顔崩しちゃいけません!なんてね。


「なら小麦亭を西門のほうへいった所にある店の個室にしましょうよ」


「おいしいとこ……」


「ゴンタ達は無理だよね?」


「あう……」


「そうねぇ」


「申し訳ないけど、ゴンタとミナモは小麦亭で休んでいてもらえるかな?」


わう

わふ


「ちゃんと、水と食べ物出すからね」


わうー

わふ


「おう、なら小麦亭に荷物おいてから行くか」


「「「おう」」」


みんなに異論はなく疲れてはいるものの足取りは軽い。

小麦亭に部屋を取れた。出迎えてくれた支配人のエドゥさんは淡々としていたが、顔見知りが無事戻ってきてくれたのを喜んでくれている気がしたね。

荷物を置いてからゴンタ達のため大きい器を出して水と肉をジャーキーを乗せる。2人で仲良く時間を過ごしてくだされ。

エントランスで集合し、ホルフィーナが薦めた店に入った。サビーノの店だって、まんまだな。もっとも薦めた当人たちは風呂に入ってるらしく、今はいない。

第1城壁も道を挟んですぐなので、お金持ちもよく来るのだろう、落ち着いた店内で店員も教育がしっかりなされている。受け答えもハキハキして不快感がない。

予約などはしていなかったが、個室に案内してもらえた。10人は入れるかな。窓があり明るいし、圧迫感もない。


「まずエールを大きいジョッキで5杯くれ」


「はい、後こちらがメニューになります。ご注文がお決まり次第、こちらのベルで店員をお呼びください。」


落ち着いた感じの30歳手前くらいだろう女性がメニューとベルを置き、会釈した後部屋を出ていく。

早速メニューを見る。

マッドボアのステーキが銅貨2枚か、こんなもんだろう。

肉類は各種ステーキか小麦粉をまぶしてのソテー、肉と野菜と一緒に炒めた物に内臓の煮込みくらいしかないようだ。

魚類は各種塩焼きに、煮つけ、魚介スープってとこだな。港が近いからここは魚が美味いはず。

メニューを見ている間にホルフィーナ達姉妹が到着。


「好きなだけ頼めよー」とカビーノ。


「肉!肉を頼むっす」と被せて言ったのはキニートで。


「片っ端からいっとくか」と言ったのはオクタビオ。


「オルなにがいい?」はホルフィーナだな。


「お魚……」はオルタンシアだ。


「うちも魚がええ」勿論カッツォね。


「まずは魚介スープと内臓の煮込みをよろしく!」小手調べだぜ。


そうして始まった宴会は夜まで続いた。途中でオルタンシアは寝ていたけども。みんな酒に強かったね、俺は飲めるけど日本のビールに慣れていて少し控えめだったろう。

だが食べる方に関してはメニューの半分くらいは制覇したぜ。ひひひ、ごっつあんです。

魚介スープが気に入ったね、調味料が少ない世界ながらも複雑な味わいができていた。

楽しい宴会の後、部屋に戻ったら寄り添って寝ていたゴンタ達を起こしてしまった、ごめんね。

そして久しぶりの風呂に浸かりながら、いい一日だったなと思っていた。あとは寝るだけだな。

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