表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いせおち 《異世界転落物語 アカシャリーフ》  作者: 大和尚
アヘルカ連合国編
18/387

大森林へ-3

18


「吾輩は犬である。名前はゴンタ。いままで黙っていたが人に化けられるのだ。これこの通り!美しい黒髪であろう?人の言葉だってばっちりである」


「ゴ、ゴンタ!?」


「いつからトシにぃちゃんが主人公だと勘違いしていた?」


「なにぃ!?」


「吾輩のほうが主人公らしい力を持っているであろう」


「ぐぬぬ」


「1話目から今まで必ず出演していたのだ」


「お…俺だって!」


「女性陣も子供も吾輩にメロメロである。ある意味ハーレムというやつだな」


「!?」


「異世界ハーレムを作れる者が主人公でないはずがない!」


「がーん」


「観念したまえ」


「あれれー語尾に、わうが付いていないぞぉ?偽物だなっ!」


という夢を見たのは寝ている間に、俺の腹を枕にしていたゴンタのせいだと思います。

おかげで朝から汗をかいているのです。冷汗だったり、毛による熱さでかいた汗だったり。

野営で緊張感なく寝ていた俺が悪いのかもしれませんね。


「おはよう。カッツォ、ホルフィーナ」


わう


「おはよーさん」


「おはよう、早いわね」


「なんか魘されてたで」


カッツォが心配そうに、俺に言ってくれる。

眠たさもあるのか若干髭が下を向いている。


「うん……ちょっとね」


わぅ


「朝の訓練してから朝飯作るよ」


「はいな」


夏だし、開けた場所なので明るくなってきている。

カッツォとホルフィーナは少し横になるってさ。

ゴンタと日課をこなす。

辺りの気配を探る。

川に生き物がいるな、強い気配ではないので魚かな。

川魚は、まだ食べていないな。

網代わりの籠を使えば魚を取れるかなぁ。

気配でいうとカビーノさんがダントツに大きい、次いでゴンタかな。

潜入や今回みたいな調査では気配の縮小が大切であろう。

俺達のパーティは全員とも気配を抑えられるようになっている。

ネズミくらいの小動物並まで抑えられるのだ。


体を動かしたら腹が減って来たね、ゴンタも催促してる目だ。


「よし朝飯作るかな」


わう


火をくべ続けていたのであろう、火は残っている。

日持ちしない野菜を残り全てぶち込むスープでいいか。

こっそり川で鍋に錬成水を汲んだ。うちのメンバー以外には錬成の事言うつもりはないしな。

石で作ってある竈もどきに鍋を掛ける。

お湯が沸いた所でトマトを煮てから皮を剥く。

ジャーキーを刻んで肉兼出汁にする。たいして出ていないが灰汁を掬う。

湯剥きしたトマトをザクザク切って鍋に入れる。塩コショウっと。おっとキャベツも入れないと。

野菜は地球のと大差ないのでありがたい。

少し煮込んでー。

味見味見。ん、こんなもんだろ。

みんなが揃うまで、火から降ろしておくか。

……。


「おはよ……」


「おはよう。オルタンシア」


最後に起きてきたのはオルタンシアでした。


「顔洗ってらっしゃい」


「うん…」


ホルフィーナに優しくいってもらえるなんて妹っていいな。

言われたオルタンシアは手拭を持って川に洗顔に。

俺はお玉を持って皿にスープを注ぎに。


朝飯を食べる。

スープが好評だった。トマトを暖かくして食べる事は無かったそうだ。

酸味がいいよね。

カビーノが肉焼けーって言ってたんで、カビーノにだけ焼いて出した。

さすが熊獣人なのかね。


火の後始末をして出発。

隊形は昨日と同じ。


俺達は索敵に優れているのか後手を踏んだ事がない。

今もそうだった。


「オクタ、シルバーエイプはお前が抑えてろ!」


「おう」


「キニート、オクタの援護だ。後ろを取らせるな」


「わかったっす」


「ホルとオル、カッツォは木の上にいるやつらをやれ」


「「はい」」


「はいな」


「トシは後衛を守れ」


「おう」


「俺とゴンタは下の雑魚をやってから、シルバーエイプをやる」


わう


カビーノは《赤い旋風》メンバーについては熟知しているのであろうが、俺については未知数なのか護衛を命じる。

シルバーエイプ率いる、ウッドエイプの集団と戦闘に入った。

ウッドエイプは木の上にいるのが多いので判りにくいが、気配で見る限り20はいるな。

先に敵を発見できたので対応の余裕がある。

俺は後衛を守るため、鉄鍋を持っていたり……。

鍋の蓋じゃないだけマシなのかな。

鉄鍋持って骸骨ハンマー持って狼ヘッドギア被って…色物もいいとこだな。

さっきホルフィーナが笑いをかみ殺すのに失敗してたし。

美女が、ブフッとかいっちゃいけないと思います。

でも仕事はキッチリやりますよ。

鍋大活躍、投石を受け止めてゴィンゴィンいわせてます。

オルタンシアは風の魔法で切り裂いていたし、ホルフィーナも弓で敵を射落としていた。

オクタビオは盾を使い全体の壁として機能していた。

キニートもオクタビオが盾で見難い部分を中心に活動していた。

オクタビオが抑えている間に、カビーノが下にいるウッドエイプを一掃していく。

うまい連携だな、まだ俺達には出来そうにない。


先に木の上が殲滅された。

見えにくいのにやるもんだ、魔法いいなぁ。


2m近い銀色の毛並をした大猿であるシルバーエイプは動きも速く、三角飛びなど空間をうまく使って戦っていたが、オクタビオに行動先を潰され、ゴンタに足を止められ、カビーノに首を刎ねられた。


死体を集め、カビーノ達が魔石を取り出す。

俺もやってみた。

やってみた……錬成ってすごかったんだな。

切り出す感触も苦手だし、血も嫌なもんだ。


黄魔石1と水色魔石21が取れた。いい稼ぎなんだと思う。

シルバーエイプの骨と毛皮も売れるそうだ、オクタビオが袋に入れてた。

あれ…マジックバッグっぽいな、膨らみ方が足りないもの。


再出発。


その後は戦闘無しでした。


野営では、俺も夜番をしたよ。

3人でいたころは楽だったな。

ゴンタ様に頼り切りはいけませんかね。

時折響く遠吠えにびくびくしながら、朝を迎えましたとさ。

一緒に夜番をしていたオルタンシアは寝ていたような気がしないでもない。


今日も頑張ろう、ゴンタに負けないように!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ