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いせおち 《異世界転落物語 アカシャリーフ》  作者: 大和尚
アヘルカ連合国編
17/387

大森林へ-2

17


ゴンタはオークの痕跡を追ってくれているようだ、大量の足跡で判断は容易だ。

先行しては俺達の姿が見えるまで待っていてくれる。


休憩までに1度だけゴブリン7匹と戦った、出番無し。

やつらからの遠距離攻撃は無いしな。もっとも俺だって投石くらいだかね。

休憩なので荷物を下ろす。

今回はジャーキーが減っているので、バックパックを背負い、左手に風呂敷を持っている。途中で右手に持ち替えたりもしてる。

戦闘になったら風呂敷だけ放ればいいのだ。

皿を出してゴンタにも水を飲ませる。


「水お飲みー」


わう


ぺろぺろ


オルタンシアがトコトコやってきて、嬉しそうにゴンタを眺めている。無表情は俺が勝手に思っていただけのようだ。


「オークの痕跡がぎょーさん残っとるから楽やね」


「おう、そうだな。このまま集落までいけるといいな」


「そうっすね」


「あれだけの規模の襲撃でオークロードが率いていたから、オークキングはいないと思うわ」


「うむ、あれだけの規模だオークキングがいたら自ら率いていただろう」


ふむ。ホルフィーナやオクタビオの言う通りなら非戦闘員ばかりかもな。


そろそろ暑くなってきたな、直射日光が少ないから耐えられるけどさ。

30分ばかり休憩した所で出発した。

同じ隊形で進む。

時折、鳥や獣の声が聞こえてくるが、ゴンタやゴルフィーナは特に反応しない。

俺もいい機会なので気配察知の訓練を兼ねて歩く。

瞑想無しだと気配を読みづらいな。

遠くだと、なんとなくいるってのが解るくらいだ。

強いとか判断できないや。


黙々と歩き続けて開けた場所があったので昼飯にする。


「ゴンター」


大声になりすぎないように声を掛けて、ゴンタを呼び戻す。


わう


何?って感じで駆け寄ってきた。


「昼飯にするってさ」


わうー


嬉しそうだ。

なでなで

夜なら火を起こしてるから調理できるだろうが、今は簡単にすませるしかないか。

ジャーキーとミカン、水で済ます。


「おい、それ美味そうだな」


カビーノが匂いを嗅ぎつけたのか言外にくわせろといってきた。


「食べますか?」


俺は空気の読める子なのでジャーキーを渡す。

《赤い旋風》の他のメンバーも興味を持ったのか、手を出してくる。

みんなにもジャーキーを配る。

なんか遠慮がなくなるのはええな。


「おぉ!うめぇじゃねぇか。胡椒も効いてるぜ」


「いけるっす」


「あら本当、おいしいわ」


「うむ、うまい」


「お揃い……」


オルタンシアだけ違う方向向いてるな。

俺の作ったジャーキーは中々好評のようだ。

だからといって次々と手を出すのは勘弁してくだされ。


「それ、どこで買ったんだ。今度買い占めとくぜ」


「そうっす。そうっす」


「そうね。携帯食にいいわね」


「うむ。それはいいな」


「えっと、俺が作ったんで売っていないと思います」


「トシが作ったのかよ。器用だったんだな」


失礼なっ。なんだと思ってたんだよぅ。


「今回持ってきているので終わりですけどね」


「ぐっ、まぁ夕飯にだしてくれるんだろ?」


「そうですね、夕飯に使いますよ」


「おう」


ミカン美味い、酸味と甘みがちょうどいい。

大量にあったら果糖も、さらには砂糖も取れたのにな。

そのうちやってみよう。


「いくぞ」


「はいな」


食休みも終わった所でカビーノが声を掛け、カッツォが答える。

俺達も荷物を背負い行動を始める。


オークの痕跡を追う俺達。

痕跡周辺には果物や木の実など姿が見えない。

やつらが食いながら進軍していたのだろう。

今日はいいけど、明日以降の野営で苦労するかもなぁ。

薬草は何度か見つけた、帰りに取っていこうっと。


その後1度だけ休憩を挟み川を見つけたので、川の側の開けた所で野営をする事になった。

野営地までの間にマッドウルフ5匹、ウッドエイプが7匹襲ってきたが、危なげなく返り討ちにしてやった。

俺もウッドエイプを仕留めたよ。

あいつら木の上から投石してくるんで厄介だった。

頭にきて石投げ返したら命中したんだ、俺も命中してびっくりしたが顔には出さず当然っって顔しといた。

いいじゃん、ミエはってもさ。


焚火を作ったので、鍋を使って惣菜とスープを作る。

マッドウルフから肉と脂身を取っておいたので、鍋を空焚きした後で脂を使い野菜と肉を炒めたのと、キャベツとジャガイモっぽいものとジャーキー塩コショウでポトフもどきを作ってだした。

固いパンを貰って食べた。

スープにちぎったパンを浸して食べると美味かった。

みんなにも好評でした、特にカビーノが大食漢でおかわりまで作らされたよ。

明日からは新鮮な野菜がないのが残念だ。


火を囲んで話をした。

やはり冒険の話はいい。

気になる話といえば……。


「名所見物ねぇ……なんだか呑気な話ねぇ」


「そういわないで面白いと思った場所とか教えてくださいよー」


「そうねぇ、オルはなにかある?」


「世界樹……」


「世界樹?」


「あれは面白いわね」


「あれは面白いっす」


「世界樹ってすごく大きい樹ですか?」


「そうやでー。天を衝くほどや」


「そうそう下から見上げると圧巻よー」


「大きい……」


オル!リピートリピート!ヘイカモン。


「それは見てみたくなりますね、見物決定です」


「そやな、そのうちいこか」


わう


「たしかにそのうち必要になるだろう」


オクタビオさんが言う。


「必要?」


「ん?そうか、知らないか。職業システムで師匠から伝授されるってのは知っているか?」


「はい、カッツォに聞きました」


「周辺になりたい職業に就いている人がいなかったらどうする?」


「どうするんでしょう?」


「世界樹へいくのさ」


「むぅ?」


「世界樹に触れて転職の願いをすると、条件をみたしていれば転職が可能だ」


「なんと!面白いですね!」


「だろ?世界樹はエルフが管理しているが、これに関しては協力してくれる」


「エルフ!なおさら楽しみになりましたよ」


「エルフは自分達の領域から出ないからな」


「そうなんですか、会ってみたいです」


「機会はあるさ、あいつら美人ばっかりだったぜ」


いつか世界樹に行くことが決まった瞬間である。


寝るときは各パーティから1名ずつ出し2名体制。深夜に別の人と交代との事。

俺達が前大森林で野営してた時は見張りなんて置かなかったもんな。

ゴンタ様が優秀すぎて。

俺は今夜の出番は無しでいいらしい、ありがたい。

お休みなさい。

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