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性格

135


わぅぅ

わふぅ


 朝飯の後にゴンタとミナモが子供達を連れて森へ向かった。

その時にヤマトとミズホが俺達を見て悲しげに吠えた。

俺達の様子がいつもと違い、昨日ミナモに言われた事を思い出したのだろう。


「あぁ……」


 アリーナがゴンタ達の後を追いたそうにしている。


「アリーナ!ダメやで。今日はミナモが山での生活を教えるんや。うちらは留守番せなアカン」


「かっちゃん。悲しいです……」


「ヤマトとミズホのためや。我慢しぃ」


 かっちゃんが立ち尽くしているアリーナの足をポンポンと叩いて慰めている。


「俺達の今後の予定について話すぞ」


 俺は話題を変える。こちらの話も大切だ。


「俺とかっちゃんがバッキンへ行った時に、ラミアの賊についての情報を手に入れた」


「トシ!本当か!?」


 アンドロメダが俺の袖を掴んで言う。凄い反応だ。

彼女は自分のすべき事を忘れていなかったのが解ったので、俺は安心する。


「隊長、落ち着いて」


 シーダがアンドロメダを落ち着かせる。

シーダはアンドロメダを隊長と呼ぶ癖が抜けないようで、花ちゃんの屋敷に来ても前の呼び方のまま呼んでいる。

彼女にとって隊長は一人だけなのかも知れない。一生呼び方を変えるつもりがないのかもな。

まだ若いのに信頼関係が出来ているっぽい。

大した副長だね。


「中で話そう」


 俺達は囲炉裏を囲んで座る。

花ちゃんが気を利かせてお茶を出してくれた。


「俺達が聞いた話では二週間……今は三週間前になるのかな、その頃にドーツ王国の鉱山が襲われたと聞いた。情報提供者によると鉱物か鍛冶師が狙いではないかと言っていた」


「また鉱山か……何が狙いかは解らないが我らが行くべき所が決まったな」


「ある程度場所が絞れたのはありがたいわねぇ」


 アンドロメダとシーダが真面目な顔で話す。

襲われた場所から賊の行動範囲の予測へ出来るだろう。

だが山の中では簡単に見つけられない。

やはり現地での情報収集が必要だ。


「みんなもヤマトとミズホと戯れて十分休めたやろ?早速動こうや」


「そうだね。早く動くに越したことはない」


 俺もかっちゃんの意見に賛成だ。

良い天気も続いているし動くのには良い時期だ。

俺達とヤマト、ミズホとの関係を落ち着けるのにも丁度いい。

時間を置けば子供達への熱も冷めるだろう。だよね?


「我らに異論はない。直ぐに行こう」


「えぇ。我らの使命だもの」


「私も行くよー」


「……私も行きます」


 全員の賛同を得られた。

アリーナは何やら心の中で葛藤が有ったらしい。

彼女はラミアの問題を知っているしアンドロメダとシーダとの仲も良い。ヤマトとミズホを見ていたいという気持ちと天秤に掛けてラミアに傾いたのだな。


「花ちゃん、ゴンタ一家と馬達の世話を頼むよ」


「頼むで花ちゃん」


「はい、お任せください。なっちゃんの代わりにヤマトちゃんとミズホちゃんの事を絵日記に書いておきますね」


「花ちゃーん!ありがとー」


 なっちゃんは、花ちゃんの気遣いが嬉しかったのか、花ちゃんに抱き付いている。

こうやって見ると大きなお姉さんと小さな妹だ。

実際は逆なんだけどね。


「み、みんなで読める物にして欲しいですっ!」


 アリーナが花ちゃんに要望を出す。

そんなにヤマトとミズホの事が気になるのか……もはや病気だね。

さっきまで真面目な顔をしていたアンドロメダとシーダもアリーナの横で頷いている。

お前らもか。


「ヤマトとミズホの観察記を書いておきます」


「花ちゃん!ありがとうございます」


 なっちゃんに抱き付かれている花ちゃんの手を取ってブンブン上下に振るアリーナ。

まぁ読めるなら、俺も読みたいかな。


「今日は旅の準備をしよう。必要な物があったら言ってくれ」


「はーい」


 こうやって見ると、みんな打ち解けているな。

それに性格も解って来た。


 かっちゃんは好奇心旺盛。特に魔法関係が好きだ。

魔法習得速度は、なっちゃんの上だ。

魔法関係では最高性能を誇るエルフのなっちゃんでも、ここだけはかっちゃんに及ばない。

知識と人生経験が豊富で、とても頼りになるお姉さん、お母さんといった存在かな。

彼女は頭の回転も速く、状況判断が的確だね。彼女が大きな失敗をした所を見たことが無い。

割と個人主義で何をするにも自己責任といった感じだ。ただ俺達に合わせてくれるだけの余地はあるようだ。

好きな物は酒と魚、甘い物だね。

異世界転落の事が解った今、いつまで俺に付き合ってくれるのか解らない……フラッといなくなりそうな気もする。


 なっちゃんは天真爛漫。エルフらしく魔法関係の才能がずば抜けている。

なっちゃんは穏やかな人が好きで、かっちゃん、花ちゃんが好きな人の筆頭争いをしてそうだ。

そのくせ戦いにも積極的に参戦する。攻撃をする時にも躊躇はしない。

色々な事にも興味を持ち、器用に何でも習得するチートっぽい子だ。

後の事をあまり考えず今を楽しく生きるってのがモットーかな。

好きな物は甘い物と肉だ。ステーキや焼き鳥辺りを良く食べていると思う。

エルフの長寿さも今は考えないようにしている様だ。ずっと一緒にいられるのは花ちゃんくらいだろう。

ご両親と会うことも嫌がってはいない。そのうち会うのだろう。


 花ちゃんは冷静沈着かな。いつも穏やかで怒った所を見た事がない。

何となくだが怒ったら一番怖い気がする。

気配り上手で、その時その時にやるべき事に優先順位を付けてきっちり仕事をしていくイメージだ。

人に尽くすのを喜びとしているのではないかな。

俺達が嬉しそうにしていると嬉しそうになるもんな。

とにかく出来た人だ。座敷童らしいけど。

花ちゃんは俺達の様に生命活動のために食べる必要がないらしい。趣味趣向の類だと言っていた。

それでも俺達と一緒に食べるのが楽しいとも言っていた。

そんな花ちゃんの好物はキノコと酸味の少ない果実かな。キノコの雑炊が一番好きらしいが米に限りがあると悲しそうに言っていたのが印象的だ。

俺達が一緒に住みだしてから存在感が増している。

なっちゃんとは持ちつ持たれつで上手くやっていってもらいたい。


 アリーナは弄られキャラだ。余り自分を出さないがゴンタ一家にはご執心だ。

能力的には俺達の中で最弱だ。とはいえ騎士団員とやりあえるくらいの強さにはなった。

彼女は自分に自信がなさそうなのが気になる。

彼女は人の町でこそ力を発揮するだろう。情報収集や侵入調査などの仕事をさせたい所だ。

なっちゃんが少しだけ苦手そうだ。というか彼女達が話している所をほとんど見た事がない。

無理強いする所でもないが時間を掛けて仲良くなって欲しいものだ。

好きな物はトマト系のパスタと煮込み系の肉だ。一番好きなのはゴンタ一家だが、ミナモは苦手そうだ。

精神汚染の件ではとてもショックを受けていたが今は引きずっていない様に見える。

ロセ帝国からの追手が掛かっていないと言い切れないのが不安材料か。


 アンドロメダは軍属っぽい。上と認めた者の言うことは基本的に従う。

真面目で凛々しい。

かっちゃんの個人主義の逆で集団での考えを優先していると思う。長く隊長として部隊を率いていたからだろう。

話し方はぶっきらぼうで男みたいだが、人との和を大切にしていると感じる。これこそサバサバだと思う。

好きな物は酒と肉だろう。串焼き、焼き鳥が好きかな。

そして可愛い物が好きというのも解った。小さくて可愛い物が大好きだね。かっちゃん、花ちゃん、ゴンタと子供達が今のお気に入りっぽい。

まだ付き合いが浅いのでこんなもんだ。


 シーダはポワポワお姉さんだ。ただ、いきなり真面目になる事もあるので演技って気もする。

アンドロメダの補佐という立場を崩していない。それでいて親友でもある様だ。

掴みどころのない不思議な人って感じだね。

好きな物は酒。酒一択だ。強い酒が好みのようで俺に蒸留酒をねだってくる。


 今回はゴンタ一家が留守番だ。

花ちゃんも寂しくないだろう。

ゴンタはミナモ、ヤマト、ミズホを優先していく事になる。

俺は戦友が離れていくようで寂しいが、いつかこういう時もくるだろうとは思っていた。

ただ早すぎだな。もっと遠い日の話だと思っていたもの。

ヤマトとミズホも数か月もすれば旅に同行出来るようになるだろうから、それまでの我慢だ。

きっと凄い戦力となってくれるに違いない。


 いつかゴンタ一家と一緒に旅に出られるのを楽しみにしよう。


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