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いせおち 《異世界転落物語 アカシャリーフ》  作者: 大和尚
アヘルカ連合国編
13/387

襲撃

13


初クエストから1週間がたった。

毎日採取に励んでいる。

一通りの薬草は覚えたと思う。


エドゥさんに宿泊の延長を伝えて支払を済ませる。

昨日の稼ぎがまるごと消えるな。

小麦亭に泊まると、お金がほとんど残らない生活が続く。

家の賃貸か購入を考えねばなるまい。

しかし他の国や町を見てみないといけないな。

ここが住むのに最適か判断できない。


今日もいい天気だ。

暑い割にカラッとしているから過ごしやすいかも。


3人で並んでギルドへ向かう。

すでにゴンタは町の人気モノだ。

よく手とか振ってもらってる。

特に子供と女性に強い。

おらはおまけ扱い。存在すら認識されてないかも……。


なにやらギルドが慌ただしい。

なんだろ?

カッツォと顔を見合わせる。

カッツォも解らなそうだ。


ギルド入口もギルド員で溢れている。


「なんかあったんですか?」


近くにいた女戦士っぽい人に話掛ける。

男になんて話かけませんよ?なんちて。


「あぁ、オークの集団が第3城壁外の農地で暴れてるそうだ。斥候の話では200は下らないそうだ」


「オークが200以上ですか!」


「オークキングがいるか判らないがオークロードやオークナイト辺りはいるだろう」


「厄介そうですね」


「うむ。ギルドがランク6以上を集めて迎撃に出るそうだ。騎士団はすでに出撃した」


「騎士団が動いたのですね」


「そのためにいるからな」


「俺はランク6なんですけど、徴集されますよね?」


「だろうな。まぁ安心しろランク5,6は後方支援だ。ランク4以上が前線に出るだろう」


「そうですか。お話ありがとうございました」


「ああ」


女戦士に礼を言って離れる。

ちなみにビキニアーマーなんて着てなかった。当然か。

皮鎧に剣と盾を持ってた。

俺より大きい人だったが、美人さんだったよ。

周りにいる女性ギルド員は全体の2割ほどだろうか。


「だってさ」


「オークが200以上かぁ。めんどそうやねー」


わう


「城壁外で緊急クエストの発行をする!ランク6以上は受けるように!銀貨5枚の仕事だ。活躍を認められたものには別途金貨を出そう。働きに期待する!以上」


狼の獣人さんが声を張り上げている。話に聞いた戦闘系サブマスターかな強そう。

ギルド周辺の人が動き出す。


「俺達もいこうか?」


「追加でポーション買ってから行こうや」


「ああ、そだね。1個づつしか持ってないもんね」


「こういうときは何が起こるかわからへんからな」


「買いに行こう」


わう


道具屋は似たような判断の人がいっぱいいた。

なんとか2個づつ確保できた。

第2城壁外へ向かい、手続きをしよう。


行列の最後に並ぶ。


「こうやって一つ所にギルド員が集まると壮観だね。200人はいるんじゃない?」


「そやなーそのくらいはいそうや」


「ここの騎士団って何人くらいいるのかな?」


「判らんけど、100人はおらんやろ」


「兵士の中の精鋭だものねぇ」


「ランク3か4辺りに相当するんやないかな」


「強度でいえば40以上はいくんだっけ?」


「そやで。武器の扱いうまいしな」


「そっか、それがあったね。強度だけなら俺の方が上いってるだろうけど、技はなぁ」


話をして受付けを待った。

もう数人だな。


「俺とカッツォは別々になっちゃうのかな?」


「ランク2のうちが言えば、同じ配置してくれるやろ」


「ほっ。それならいいんだ」


「パーティのほうが対応できる事多いしな。よっぽど力に差があったら足手まといやろうけど。トシなら大丈夫や」


「カッツォ先生!」


認められているのが嬉しくて、つい手を握っちゃったよ。ひひひ


わうー


ゴンタも認めてくれているようだ。たぶん。

受付の順番が来た。


「うちはこの通りランク2や。こいつはランク6やけど、うちが保証するから一緒に行動させてーな」


カッツォはギルドカードを見せながら交渉する。

俺のカードも見せる。


「ランク2ですか……よろしいでしょう。あちらの前線部隊へ行ってください」


紙に俺達の名前を記入している。

良かった、離れないですんだ。


さっきの狼獣人の人がいるな。

あの人が前線指揮者かな。


「ランクは?」


ギルド職員らしき人が声を掛けてきた。


「うちはランク2、こいつはランク6やけど実力はうちが保証するで」


「ランク2か!ありがたい」


「うちらはどこへいけばいいのん?」


「あのサブマスターの指揮下に入ってもらう」


「はいな」


やはりあの人が戦闘系サブマスターか。

職員が指し示した人の所へ向かう。


「うちらはサブマスターの指揮下へと言われたんやけど?」


「そうか。俺がサブマスターのケビンだ。お前らのランクは?」


「うちはランク2のカッツォや、こいつはランク6やけど実力はうちが保証するで。あと犬のゴンタ。2人ともオーガをソロで倒せるんや」


「トシです」


わうわう


「おぉ。頼もしいな。歓迎する、カッツォ、トシ、ゴンタ」


握手した。力強かったよ。

さすが狼獣人。

なんかしゃがみ込んでゴンタと話をしてる…。

意志の疎通ができるのか!?同じイヌ科だからか!?


受付が全て終わるまで待機なのかな。


「まだメンバーは半分ほどだろうが先行する。いくぞ!」


って思ってたら出発でした。

時間惜しいもんね。


駆け足で移動する。

ずっとこれかな……。10km近くあるだろ……。

周りを見る。ランクの高い人らには問題なさそうですね。

きっと1時間もしないで着くな。


オークがいた!

多いな……。

端のほうでは騎士団と激突しているようだ。

オークは数匹で行動しているグループが広がって暴れている。小麦も取っているな。

にゃろう、それは俺の腹に収まるべきものだぞ。


「パーティを組んでいるものは、そのまま当たれ!それ以外は近くにいるものの事も意識していけ!後続のメンバーは後詰になるから、気にせず戦え」


「「「「「おう!」」」」」


手近な所からオークをつぶしていくギルド員達。頼もしいな。


「うちらもいくでー」


「おう」


わう


「ゴンタはなるべくトシの近くで攪乱しつつ倒すんや。うちはあんたらの後ろで援護しつつ魔法で倒すさかい」


「了解!」


わうー


俺達もオークに突っ込む。


うぉぉぉぉっ!


「くらえっ!」


「アースランス!」


2M近い身長と豚のような顔、でっぱった腹、人間以上のパワーを振るってくる。

武器はせいぜいが棍棒だな。

4、5匹くらいでまとまっている。

ゴンタがオークの足元を襲い、俺が隙を狙い気功付の骸骨ハンマーで仕留めていく。

ほぼ一撃だ。

時折カッツォの魔法が炸裂し、そのたびに敵が倒れる。

危なげなく倒せている。


後続のメンバーも着いたのか、ケビンの指揮で危なそうなところに増援が向かう。

優勢だ。


ふごぉぉぉぉっ!!


一際大きな叫びが聞こえた。

奥から一回り大きいオークが1匹とそれに近いやつが3匹出てきた。

手には大剣を持っている。

やつら武器なんて持ってたのか。


「オークロードとオークナイトだ!」


だれかが叫んだ。

ギルド員は壁を作りながら、そのオークへの対応をしている。

後方からケビンが出張ってきた。


「壁を崩すなよ。オークをへらしてから、あれを叩くぞ!」


「「「おう!」」」


俺も壁の後ろに陣取る。

ゴンタはカッツォの護衛で、一緒に壁の後方にいる。

壁っつっても盾がないからきびしーな。

周りは盾持ち多い。


うっ、オークロードがギルド員の壁に向かって突進してきている。

威圧感あるぜ。

俺のところじゃなかった。

抑えられるのか!?


ふごっ


どがっ

ざざっ


こちらの攻撃を受けているものの、気にせず突破してくるオークロード。

受けたあたりのギルド員が3名くらい吹っ飛んでいる。マジか。

しかしケビンの側にいた人が向かっていって突進を止めた。すげぇ!


「うちのマイケルがオークロードを抑える。体制を建て直せ。後衛がオークを減らせ!」


「「「「おう!」」」」


ケビンの指揮のもと、体制が整っていく。

そして、がんがん魔法が飛びオークが減っていく。

オークロードとオークナイトは剣を振り回している。

しかしマイケルさんを中心に抑えている。


ぶぎゃぁぁぁっ


オークナイトの1匹が絶叫とともに倒れた。

やるぜ。


周りからオークが集まってきた。

ん、いや騎士団が追いつめてきたのか。

奥に甲冑を着た人らが見えた。


「騎士団も来たぞ!ここにいるやつらを殲滅すれば終わるぞ!」


「「「「「おう!!」」」」」


ケビンさんが声を張り上げ、答えるギルド員達。

俺も叫んださ。


オークロード1匹、オークナイト2匹、オークが……50といったところか。

騎士団に反応したのか、オーク達がひと塊で突破を図ってきた。

逃げるんじゃないのかっ!?

壁が破られた。

ちっ


やばい後衛に向かうのか。

俺は盾もないし、壁としてはいまいちだから抜けよう。

援護に走る。

俺以外にも何人か走っている。

始末しきれなくても気にせず、足も止めず骸骨ハンマーでぶん殴りながらカッツォのところへ向かう。

後衛も魔法で迎撃している。


オークナイトが1匹いるな。

こいつの足が止まれば集団も止まるかな。

やってやるっ!


オークを蹴散らしながらオークナイトへ突っ込む。

届くっ!


うぉぉぉぉぉっ!


気功付の骸骨ハンマーを振るう。

剣で受け止められたものの、膝を着くオークナイト。


どがっ

ぐはっ


後ろからオークの棍棒で肩の辺りを殴られた。

いてぇな。

殴ってきたやつを蹴り飛ばす。

視線をオークナイトへ戻したら……。


ギィンッ


オークナイトの斬撃が来た。

かろうじてハンマーで弾き飛ばす。

あぶねぇっ!

でも力では俺のほうが少しだけ有利のようだ。

周りのオークが倒されていく。

一緒に走って来たギルド員が援護してくれているようだ。

頑張るっ。

乱戦なので魔法は飛んでこないな。その代り後衛へ向かうのを阻止できたようだ。

良かった。


「うらぁっ!」


どごっ

ぶぎゃっ


横殴りの一撃を腹へくらわす。

ふらふらしやがったな。


「くらえっ!」


気功を乗せた一撃を頭に叩き込んだ。


ぐしゃっ

ふごっ…


口から血を吐き倒れた。

どうだ?


「「おぉぉー!」」


周りから歓声が上がる。

周りのオークも駆逐されていた。


オークナイトは倒れたまま動かない。

ちゃんと倒せたようだ。


カッツォが寄って来た。


「やったなトシたいしたもんやで」


わうわうー


「おう、ありがとう。なんとかなったみたいだ」


「あっちも、もう終わるで」


カッツォが、オークロードのいるほうを指す。


「「「「「「「うぉぉーー!!」」」」」」


一際大きな歓声があがった。

どうやらオークロードも堕ちたようだ。


ふぅ


「水飲みぃ」


カッツォが水筒を渡してくる。


「ありがとう」


受け取り、水を飲む。

あぁ美味い。


俺達は生きているっ!


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