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いせおち 《異世界転落物語 アカシャリーフ》  作者: 大和尚
アヘルカ連合国編
12/387

採取

12


んんーっ


起きた。

今日も目覚めすっきり。


「おはよーゴンタ」


わう


人が動き出すとゴンタはすぐ反応するね。

気配に敏感で、それはそれで大変なのかも。


「訓練してよっか」


わう


習慣になってきた訓練を始める。

ぐいぐい

ばきっ


ふぅぅぅぅ


武器屋のイバンさんの気配は逃したが、大森林を抜ける頃には100m以内の気を察知できるようになってきた。

どの辺りを探るかも自在になってきた。探索範囲の調節に最初は手間取ったがね。

俺の場合は瞑想状態じゃないと100mは無理なんだけどさ。

通常状態の索敵で30mいくかいかないかくらいだ。

そのうち走りながらでも索敵できたらなー。

気も特徴があり、達人であれば離れていても個人の特定が可能だそうだ。

俺にはたいして違いを感じられない。先は長そうである。

逆に大森林でトイレに行くときにびくびく用をたしているうちに、気配を抑えることに成功している。

全く気配無しまではいっていないが、希薄になっているそうだ。

カッツォも関心して気配を消す練習をしていた。

ゴンタもね。

強い人には存在を消したいなんて発想はなかったんだろうね…。

こんなところでもギャップを感じたり。


ふぅぅぅぅ


「おはよーさん。今朝もやっとるなぁ」


「おはよう」


わう


カッツォが起きてきて挨拶をしてきた。

訓練を中断し挨拶を返す。

もうすぐ朝飯か。

顔洗ってくるか。

トイレの所に洗面所もある。

水が出るマジックアイテムも完備している。これも高級品らしいが、全ての部屋に付いているとか。

いい宿だね。

トイレも若干違うけど水洗だ。

下水道とかはどうなっているんだろう?わりと綺麗な町と通りだったけどな。垂れ流しや放置ってことはなさそう。

マジックアイテムは光と水くらいだね。この部屋にあるのは。固定されていて取れないようになっている。

当然だね。

つい試したけどさ。ひひひ


顔を洗ってテーブルに着く。


「今日は朝飯の後、ギルドにいってクエストを受けよう」


「はいな」


わう


今日の行動について相談する。


「アベルさんがいってたけど俺は通常の受注や終了報告ができないから、カッツォにやってもらって俺達は着いていくって感じでよろ」


「ええで。まぁ普通にランクあげるのは諦め?身分証明書だけでも御の字やろ」


「うん。そこはどーでもよくなった。都市の出入りができるだけでもいいさ」


わぅ


ゴンタはランク上げて欲しかったのか、ちょっとしょんぼりさんだ。

なでなで


話をしている間にダニエラが朝飯を持ってきた。

ダニエラもゴンタに手を振ってから戻っていった。

キノーガルドの女性陣にゴンタは大人気だ。

嬉しいけど羨ましくもある。

きぃ


なんて思いながら、昨日と同じメニューの朝飯を平らげた。

塩くらいしか使ってないのと、調理方法が少ないのと、卵、乳製品が使われていないことは物足りないね。

ここらは日本が圧倒的に上だな。

いずれ俺が改善して見せるぜ。心に誓う。


少し食休みをし、ギルドに向かう。今日も宿泊の延長を頼んだよ。

今日稼げたら、まとめて支払っておこうかね。


ギルドに入る。


壁に掲示板があり、紙がたくさん貼ってある。

掲示板はランク毎に分かれている。

たしか自分のランクの上下1つは受けられるんだったな。

俺達はパーティ申請しているので、一番上だとカッツォのランク2、下だと俺のランク6で受けられる。

ランク1、2、3、5、6,7のクエストを受けられる。ほぼ網羅している。

この体制はなかなかよいのではないか。


「カッツォ、今日は初めてなんで採取とか基本のやつをやりたい」


「そやな、それがええ」


ランク7の掲示板へ向かった。

ランク7、8は採取や町の中の雑用だ。


貼ってあるクエストを見ていく。


ホー草の採取20株銀貨1枚銅貨5枚

レン草の採取20株銀貨2枚

ソー草の採取20株銀貨5枚

ドー草の採取10株銀貨1枚

クー草の採取10株銀貨2枚銅貨5枚


港からの魚を運搬。積み込み作業あり至急2名まで!各自銀貨1枚


へー、こんな風になっているのか。

これなら楽勝っぽいけどな。

みんなギルド登録をして生きていけそうなもんだ。

日本換算で1万円以上の稼ぎだもの。

カッツォに聞いて見るか。


「あー、薬草の採取は結構大変やで?薬草のコロニーは必ず数株残さないと次に困るから、取りきってはいかんので何か所か探して回らんといかんし」


「あーそういうもんか」


「1日で終わらず数日かかる場合もあるしな。森に入ることになるから危ないしのぅ、浅い所とはいえ」


「ありゃ」


「魚のやつなんかも作業員に急きょ欠員がでたんやろ。そうそうあることやなさそうや」


「ふむ」


「港はここから出て10kmほどと遠くはないけど、一応外やしな」


「そっか」


わう


「とりあえずホー草採取20株ってのをやってみる」


「はいな。これはいつも募集しているからカウンターに紙を持っていく必要はないんよ。申請いらずや」


「ほんとだ上に赤い字で書いてあるね」


これは常在クエストです。申請はいりません。紙を剥がさないでください。だってさ。


「いつもあるってことならゴブリンやオークも申請いらずの討伐対象やな。これも見つけ次第討伐して左耳を持ってけば金がもらえるで」


「なるほど、討伐可能ランクに達してなくても大丈夫なの?」


「大丈夫や。相手から襲ってくる場合も多いからなぁ」


「確かに」


「ほないこか?」


「あいよ」


わう


ギルドを出て東門へ向かう。

昨日見て回って解ったんだが、第2城壁内部はこうなっている。

第2城壁と第1城壁のあり方としては、『回』の字のようになっている。内側が第1城壁ね。

そして第1城壁は上、つまり北側に寄っている。

下の大きな空間に町が形成されており、そこは大通りで区切って『田』の字のようになっている。

4つの区画だね。

上の城に近い2つは商店関係や住居。

左下が鍛冶などの生産関係。

右下が冒険者ギルドと住居区画になっているようだ。

ちなみに小麦亭は左上の区画だ。

上が北、下が南だ。

俺達が大森林から入ってきたのは南門でした。

門は東西と南にある。西には港があるってさ。

今回は東門から出て俺の知らない大森林へ入るとのこと。


ギルドカードを見せて第2城壁外へ。


歩く。


第3城壁も通る。

ここまで3kmくらいか。

第3城壁から大森林まで5kmくらいあるそうだ。

採取も楽じゃない。

日帰りだと予定がびっしりになってしまいそう。

朝一でギルド員が動くのも当然か。


歩く。

畑を横目に進む。小麦だな。葉野菜もあるな。

休憩なしで、がんがん進む。


大森林手前まで来た。

小屋がいくつかあるね。

樵などの休憩や、兵士の巡回で使っているらしい。

緊急待避所もかねているとか。


大森林へ足を踏み入れる。

夏の暑さが薄れる。

奥へいくほど薄暗くなっていく。


ギルドでサンプルの草を見せてもらったので、探しながら進む。

今日はナイフがあるから切り開くのが楽だぜ!

蛮族脱出なり。あ、骸骨ハンマーがあるから無理か……。


草は見つからない。


さらに奥に進む。


「あぁ、これやで」


カッツォが指し示す。

5株ほどあった。

ゴンタも匂いを嗅いでいる。

くんくん


「それか。5株あるけどいくつ残せばいいかな?」


「2株は残すべきやろなぁ」


先は長そうだ。

錬成で作った木のスコップで根ごと掘り出す。株っていうくらいだから丸ごとだよね。

木の籠に入れる。


「頑張って探そうや」


「おう」


わう


休憩を挟みつつ、俺達はホー草の採取をしていった。

昼飯はジャーキーを持ってきている。あとは水とミカンだ。

昼飯中にゴブリンの襲撃があったよ。俺達の索敵に抜けはなく、9匹程度は軽く返り討ちさ。

飯くらいゆっくり食わせて欲しいもんだ。


ゴンタ様の鼻が大活躍!だったといっておこう。

次々薬草を見つけてくれた。

何株か残しつつも15時くらいには20株集め終わったよ。

俺?俺は3株ほど見つけたよ。こまけぇこたぁいいんだよ。経験したってことが大事なんだ。たぶん。


森で果物など探しつつ都市へ戻った。

遠足気分だな。

お供が有能すぎて緊張感に欠ける。気をひきしめねば!


ギルドに帰った頃には夕方だった。夏だからまだまだ明るいんだけどね。


アベルへ繋いでくれるバルバラにクエスト終了報告をする。

ホー草20株を渡す。きちんと土は落としたよ。

アベルのほうで記録だけしていくとのことで特になにもなく、ゴブリン討伐代、魔石売却もいれて銀貨3枚と銅貨3枚なり。

あっさりだな。


バルバラの要請で、ゴンタと受付嬢達の触れ合い広場が出来上がった。

ごめんねゴンタ。俺には対抗できなかったよ……。


宿へ帰り、夕飯。米が食べたいなぁ。カレーライスー。かつ丼ー。

俺達の戦いはこれからだっ!


風呂に入って寝た。風呂はいい。体の中で澱んでいるものが洗い流されていくようだ。


1杯引っ掛け、だにえらと少し話をした後部屋に戻った。

既にカッツォは寝ていた。

猫さんは寝るの早いし、よく寝るな。


お休みなさい。

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