07「キノコ娘達の活躍」
07「キノコ娘達の活躍」
ヴィロサは・・・
『因みに私は、猛毒の毒キノコよ!
食毒を受けさせない代わりの毒が少しくらいあっても許してね
君の事、愛してあげてるんだから』と、言って…
ヴォルヴァタは・・・
『私も猛毒の毒キノコなの、私も春兎ちゃんの事を愛してるから
毒があっても気にしないでね』と…
2人は僕の左右に分かれて、僕の腕に胸を押し付ける様して抱き付き
僕の頬に左右からそれぞれキスしてくれる
僕は図鑑の毒鶴茸(ドクツルタケ)の内容を脳裏に浮かべ
僕にとって、特にヴィロサは「死の天使」と言うよりも
「堕天使」か「小悪魔」である事を再確認した。
僕の人生に介入して来て、僕を翻弄する様になった
キノコ娘達の活躍により・・・
僕は今日、見知らぬ人の家で夜を明かす
僕は昨日、家に帰らせて貰える事は無く
小林の『これから紹介する』と、言う言葉に従い…小林にまで拉致られ
どうやっても「今日、出会う事」になっていた「小林の祖父の弟」
今日の学校の遠足のイベントに参加する
ボランティアスタッフの家で、目を覚まし・・・
手の込んだ和食屋の和定食の様な朝食を頂いている
僕の目の前では、食べれるキノコのキノコ娘達も
それぞれ、御好みの朝食を家主に作って貰って食べている。
僕は一人・・・
「人は皆、平等では無い」と、言う現実と…
そして「世の狭さ」を実感していた
因みに、僕の現在いる御宅の位置は・・・
僕の自宅の玄関からこちらの家の玄関まで徒歩5分…
実は、僕の自宅から見て真裏の…
僕の家6倍以上ある敷地の古い大きな家の中である
これで世間の狭さを実感できなければ嘘だろう。
僕が色々考えて止まっていると、僕の隣で空が・・・
『末広(スエヒロ)さんの料理って美味しいでしょ?』と
この家での、自分専用の食器で朝食を食べながら笑顔を見せ
小さく僕に向かて囁いた
実は、僕の家に来るまで「この屋敷」に住み付いていたらしい
「何故、此処に空が居るのか?」と、言う疑問については・・・
昨日…一応、家に電話したら電話に空が出て
気を効かせた空が、明日の荷物と明日の着替えとかを持って
僕の家に何時の間にか住み付いているメンバー
「青居 空」と「ビター・マロンズ」「ブーマー」を引き連れ
計7人で大挙して押しかけてしまって、なぁ~んて事があり…
僕は、家に帰るに帰れなくなったのであったりもするが…
もう、僕はその事…その時の事は、忘れたい…忘れてしまいたい。
僕が内心、現実逃避をしていると
『ハルト・・・チコなんかの胸とか見てないで・・・私と御話してよ』
と、空が怒っている様子だ
「ん?チコって?」と、
僕が目の前の食事に向けていた視線を少し伸ばし前を見ると
そこには、テーブルの上に胸をド~ンとのっけて
「ちたけそば」と、言う麺類を啜るキノコ娘の姿があった
『胸?あぁ~胸だなぁ~…おっきな胸だ』
僕は「もう、昨晩みたいなエロ的なハプニングは要らないぞ!」
と、思いながらも・・・
特に意図も無く、見たままを言葉にしていた
『おい…春兎、そこは感慨深く言う所じゃないと思うぞ』
空とは反対側の「僕の隣」で朝食を食べていた小林 日向が笑う
『でも、確かに…乳子の胸はデカイな!
食べた物が全部、胸の栄養になってるんじゃないか?』
セクハラ的な事を言われた僕の正面に居るキノコ娘
露吹 乳子(ツユフキ チコ)は、何故だか嬉しそうに微笑んだ
『ふふふ、春兎くんも乳が好きなんですかぁ~?
日向くんと一緒に、私の乳を触ってみますぅ~?』と・・・
僕的にトンデモナイ事を申し出てくれる。
僕の想像通り、その結果・・・
昨日「初体験した悪夢」の軽いのが再来し
朝っぱらから僕は溜息を吐く事となるのだった
胸の大小に関係なく・・・可愛い娘の胸って、嫌いじゃない
そう僕もそれなりに胸が好きなのだが、しかし…
食事中に、大きな胸と小さな胸を押し付けられるのは
ちょっと美味しくない…って、言うか・・・
「こんな事を繰り返されていると
その内、僕は・・・女嫌いとかになるかもしれないなぁ~」
なぁ~んて事を思わなくもない
『朝飯はゆっくり、落ち着いて食べさせて欲しいんだけどな…』
勿論、僕の呟きは・・・キノコ娘達に無視される
乳子は小林の席と僕の席の間に乱入してきて
小林と僕の腕に無理矢理、自分の大きな胸を押し当てて来る
そんな乳子に対抗して・・・
僕の逆側では、空が乳子を睨み
頬を膨らませて無言で、僕に胸を押し付けてきてくれている
この現実が、ちょっと…いや、かなり苦痛だった。
『小林…お前の要望通り
今からお前の事を「日向」って呼んでやるから
この「キノコ娘の暴走」を止めるの…手伝ってくれないか?』
こう言う、キノコ娘の活躍によって
僕は「小林 日向」と仲良くなっていき
将来的には、日向の事を「親友」と呼ぶようになるのだが・・・
一般的には、こんな親友のなり方ってどうなんだろう?
この事から、「小林」改め「日向」は
何時の間になったか分からない「友達」から
日向の中だけで「親友」に格上げしてくれたらしいけど
この時・・・僕はまだ、この現実が「解せない」と思っていた。
この後、更に・・・僕の不幸は続く
『あ、ハルト!ごはん終わったんだ!一緒に御茶しよ!』
少し離れた場所から声が聞こえてきて
上空から僕に何者かがボフッと体当たりしてきた・・・
周囲が白い粉で真っ白になり、僕は椅子と一緒に後ろに倒れる
「あぁ~ホントに解せない・・・」
『春兎!無事か!』
真っ白で煙たくなった室内で、日向の声が聞こえて来る
正直、柔かい絨毯が敷かれていなければヤバかったかもしれない
『ああ、大が付く程に大丈夫ではないけどね』
僕はぶつけた後頭部を左手で押さえながら、少しだけ身を起こす
僕の胸の上に全体的にボサボサした、粉っぽい女の子が
ニコニコしながら座っていた。
『ハルトに抱っこして貰うなんて・・・チャコずるい』
煙が舞上がる少しマシになった部屋の中で
空の呟きが微かに聞こえてきたのだが・・・
「コレの何処が抱っこですか?」
『茶狐・・・けほ…ちょっと・・・ごほごほっ・・・僕の上から退いてくれ!』
僕は咳き込みながら叫び・・・
目と耳の悪い「埃原 茶狐(アイハラ チャコ)」を
結局の所、日向に退けて貰い・・・
僕は茶狐の下から、日向に助け出される事となった。
僕の言葉を代弁するかの様に
『まだ、食事中だったんだぞ!』と
日向が茶狐に聞こえる様に、大きな声で言うと・・・
『え?そうなの?まだ、お食事中だったんだ・・・
遊んでる雰囲気を感じたから、終わったと思ったんだゴメンネ!』って
ずっと閉じたままの目尻に涙を溜めて茶狐は・・・
後頭部を強く打った為、大事を取って椅子に座る僕の顔に
胸を押し当てる様にして抱き付き、謝ってくれたが…
僕にとってそれは、瘤の出来た後頭部を抱締められる苦痛と
太股の上に正座されると言う、苦痛との戦いで・・・
「マジで鈍く痛いし…息できねぇ~し…
そもそも、こう頻繁に胸を押し付けて貰っても
もう、僕は喜べないのだが・・・
どうしたら、この見解を理解して貰えるんだろうか?」
因みに、僕に胸を押し付けてきたキノコ娘の中
茶狐の胸は、埃っぽく…一番、辛かった。
こんな展開の末
言わずと知れた事かも知れないが・・・
僕達が朝食を食べていた食卓は
茶狐から出る白い粉で、冗談抜きで真っ白になってしまい
どうやっても、食事をとれるような状況ではなくなっていた
キッチンから、様子を見に来た末広さんが苦笑いを浮かべる
『そろそろ出発したかったんだが…
取敢えず、日向!春兎君を連れて風呂に入ってこい』
「そうなるよな…」
これも、キノコ娘の活躍の成果だろう・・・
僕は日向に連れられ、普段は入らない朝風呂に入る事と相成った。
『僕は…前世にでもキノコに恨まれる様な事をしたのかな』
脱衣所で溜息と一緒に零した僕の呟きに、日向が笑う
『おいおい、前世って…昨日の夜から災難続きだけど
そこまで重く考えなくて、良いんじゃね?続くのは偶然だろ?』
何て事を日向は言ったのだが・・・
互いに裸になり浴室への扉を開けた時
『ふふふふふ…お待ちしてました…』
ブーマー率いるキノコ娘達の姿に、無言と成り
流石の日向も、バンッ!と大きな音を立てて扉を閉めた。
『何コレ?何のフラグ?』
『僕に訊くなよ…』
動揺する日向に…最近、こう言うトラブルに慣れてきた僕・・・
僕は、想像していた通りの事が起きて溜息を吐く
『裸祭は…御嫌いですか?…AVでなら…「おぉ~」とか…
喜ぶ場面なんですが…高校生には…刺激が…強過ぎましたかねぇ?』
扉を少し開けてブーマーが話す姿に
日向が扉の前から跳び退き、僕の隣まで来た
『昨日から、何なんだよ!あのキノコ娘は!』
日向は、扉の隙間から全裸なのが見えるブーマーを指で指す。
『僕的にはあぁ~言うのは、逆に萎えるんだけど…
AVって言う「男の煩悩作品」の悪癖をマジでガチで受け入れて
誤解して愛して、勘違いして広める
精神的な毒を撒くタイプの毒あるキノコ娘なのかもしれないな…』
僕の無感情な見解に、日向も冷静さを取り戻す
『春兎…何でお前は、平気なんだ?』
『慣れ…かな?胸を押しつけられるのが日常で
風呂場に全裸で待ち構えられたり、性癖を自己紹介されたり…
ブーマーが道端で犬の糞を踏みそうになる度に
助けてたら、その度にその場で迫って来られたりしてて
ちょっと、エロイトラブルに免疫が出来てるんだと思う』
「男2人、全裸で話す事じゃないよな」
何て事を思いながら、僕は再び溜息を吐いた。
『ちょっと待て…それって大丈夫なのか?
春兎的にトラウマになり掛けてるんじゃないのか?』
『そうかもな…僕も少しそう思う』
僕は心配そうな日向に微笑みかけ
『寒くて風邪ひきそうだ…さっさと風呂に入ろう
ブーマーは「M」だから僕等を襲っては来ないよ、安心して良い』
『そういう問題なのか?』
僕は日向の疑問を無視し
『急いでるから、僕等に構わないでくれよ』と、キノコ娘達に言って
先程の食堂でのトラブルの発端「空&乳子」
何故かいる「ビター・マロンズ」と、勿論「ブーマー」もいる
全裸のキノコ娘が出迎える、広い風呂に足を踏み入れた。
『慣れるって怖いな…』
風呂を出る頃には・・・
日向もブーマーのエロかったり破滅っぽかったりする
情緒不安定な言葉攻めに慣れ…暗い表情で、溜息を吐いていた
『お疲れ』
僕にはそれしか言えなかった。
風呂から出ると、ヴィロサが僕の着替えを持って待ち構えていた
『遅い!早く着替えて来なさい!ずっと待っていたのよ!』
全裸の僕と日向を目の前にして
彼女は頬を染める事もなく凄く怒っている
「待っていたのなら…
邪魔する全裸のキノコ娘達の暴挙を制してくれても良かったのに」
僕は心の中で思った事を顔にも出さずに
『ごめん!それと、ありがとう…急いで着替えるよ』と・・・
僕の家から持って来てくれたであろう僕の服を受け取る
ヴィロサが脱衣所から出て行くと日向が一言
『俺さ…キノコ娘がこんなに付き合い辛い生き物だったなんて
今まで知らなかったよ』
僕は少し疲れていて、薄い笑いを浮かべるしかできなかった。