37話 一抹の不安
新年一発目!
「………」
朝になっちまった。正直昨日の連絡を受けてからどうにも落ち着かねぇ。まあ仕事が仕事だからしゃーねえ。
「やれやれ……」
一回は起き上がったが、またよれよろになったベッドに寝転がる。
今回の仕事……あいつらに任せていいのか? まあバルディアのガキっていうお墨付きだが……今回は場所とメンバーの問題もある。
誰に行かせる? 当然だが『魔女』はダメだ。ランカーを連れてっても危険な可能性もある。しかもレグルスは別件があるからダメだ。
そうなると……やはりシュノンバート、か? あいつの射撃センスは光るものがある。それに良い頭もあるから、臨機応変に立ち回れるだろう。
あと……フィリアはどうだろうか? 不足の事態にあいつの医療で窮地を救える可能性もある。だが、前線に出たことが無い以上、戦闘になったら足手まといになる可能性もある……。
「うだうだ考えても仕方ねえか……飯行くとすっか」
とりあえず軍服に着替えると、ノロノロと部屋を出た。まあとりあえず近くの定食屋でいいか。
定食屋に行く道中も、ずっとどうすっか考えていた。どうもあっちをたてるとこっちがたたず状態になっちまっている。
「どうすっかねぇ……」
煙草に火を着けながら、思考を巡らせていく。
とりあえずシュノンバートには行かせるのはいいとしてだな……問題は他だな。後は……バイス? 奴はバカだからなにか変なヘマしそうな気もするが……このところの訓練で、体力面は向上してるが……。
だが……これだけだと不安が残る……他の隊員で増強するのも、チームワークに欠けることもある……。
…………だとしたらレムか? 最近仲が良くなったらしいし、チームワークも問題ないだろう……? だがこれだけでいけるか……?
「……だあぁぁぁああ!!! 俺様にこんなの任せるんじゃねぇよ畜生がぁぁぁ!!!」
思わず街中で大声を上げてしまった。周りの奴らが、ヒソヒソと喋りながら俺を見てるが、んなの知ったこっちゃねぇ。
「なーにやってんすか?」
「あん?」
思わず出たケンカ口調で後ろを振り向くと、そこには見覚えのある優男が立っていた。
「あー……お前か」
「どもっす」
軽く会釈する男。確かシュノンバートの指導をしてる奴だったな。この前の戦争でも、奴と一緒だった。名前は……なんだったか? 忘れた。
「なにやってんすか?」
「ああ……とある事についてのメンバーがな……」
「ああ……あれっすか。確かに場所が場所だけに……ねえ」
ばつが悪そうに頬を書く男。どうやらこいつも、昨日のやつの事を知っているみたいだな。こいつも結構階級は高いはずだし、当然か。
「俺も相談に乗りますよ」
「あん? この俺様に相談相手なんか必要ねー」
「まあ良いじゃないっすか。ほらほら」
「お、おい押すな」
「ほらあの定食屋入りましょうよ。奢りますから」
「ちっしゃーねぇ」
男に半ば強引に、店の中へと入れられてしまった。この定食屋は来たことねーな。
「で? 首尾はどんな感じで?」
「芳しくないな。とりあえずの状況だが……」
今の考えを口頭で伝えると、あ〜とばつが悪そうな表情を浮かべていた。
「んー確かに不安が残りますね」
「んだろ? ったく、上も俺様なんかに頼むなっつーの……」
また煙草に火を着けながら、なんとなしにボヤく。こんなこたぁもっとインテリの奴らに頼みやがれっての。
「そうですね〜……あっ来た来た」
腕を組ながら考えていると、頼んでいたものが運ばれてきた。俺はしょうが焼き、こいつは蕎麦だ。
……まあ朝から肉ってのもいいもんだぜ? 力が出るしな。
「あなた的には成功率はどれぐらいだと思ってます?」
「仮に何事もなく済んでも……まあ高くはねーな。しかも目的地やその周辺のことを考えりゃ、それこそ……ゼロにちけぇだろうな……」
肉を頬張りながらそう答える。んーこのしょうがの香り、美味だぜ。
「でしょうねぇ……」
こいつも蕎麦をすすりながら表情を暗くする。
しばらくの間、黙々と飯を進めていくと、
「あっ!」
「あん?」
と、いきなりすっとんきょうな声を出した。ったく、飯の時に大声出すなよ……。
「ならこうすりゃいいんですよ!」
「ああん?」
一通り説明を受けると、俺はなるほどな、と頷いていた。
「これなら問題ねーか……」
「でしょでしょ? いやー我ながらナイスアイデア!」
こいつの、してやったりと言わんばかりの表情だけは譲りたくはないが、まあいいだろう。
「よし……それでいこう」
しかし……承認したはいいが、大丈夫なんか? 俺は未だに一抹の不安を拭えないまま、こいつと共に定食屋を後にした――
今回の話は名前をだしてませんが、まあ誰なのかは一目瞭然ですよねw




