36話 休息の後は
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「………」
あれから数時間後、夜も更けてきた時間に、誰もいなくなった自室で、オレは皿洗いをしていた。ホントはサナとティルがやると言っていたけど、そこまでさせるのは悪いと思い、こうして引き受けていた。
「………」
黙々と皿洗いを続ける。食器が何かに当たるとその甲高い金属音が虚しく響き渡る。さっきまで賑やかだったせいか、なんだか少し寂しさをも覚えた。
「……よし、皿洗い終わり!」
そんなマイナスの気持ちを打ち払うかのように、オレは明るく声をあげた。
……端から見たらただの空元気にしか見えないかもしれないけど、何となくそうしていた。
「テレビでもみっか」
リモコンを手に取ると、テレビの電源を入れ、チャンネルを回した。
「おっ」
番組の中で、企業戦争のニュースがやっていた。何処の企業が戦い、どちらが勝ったかなどをやる番組だ。
「………」
オレはテレビの電源を落とすと、その場に仰向けになった。
オレ、こんなことしてる場合か? いや、確かにみんなと休日を有意義に過ごすのも大切だ。無理すると、この前みたいになるしな。
けど……今こんなことしてる場合じゃない。そんなことを考えていた。
「……ああぁぁもう!」
こういう静かなとこにいると、余計なこと考えちまう! さっきまで騒がしかったから尚更だ!
「よし!」
オレは一つ意気込むと、軍服に着替えて部屋を後にした。
「やっぱ空いてるな」
オレは寮を後にし、軍事訓練が出来る室内訓練場に来ていた。前にも来たことある、ドーム状の建物だ。
まあオレは外でも良かったけど、夜に空いてるのはこの室内訓練場だけだしな……。
とりあえずざっと部屋を見渡す。やはりというかなんというか、時間的にも時期的にも、訓練してる隊員はほぼいなかった。
当たり前だよな。まだ他の隊員も休暇中だし、夜も遅いしな。
「よし、やるか」
「なにをやるのよ?」
「うおっ!?」
ビクッとなりながら振り向くと、そこには綺麗な黒いロングヘアーの、これまた綺麗な顔をした小柄な少女が立っていた。
「……ティル?」
「やっぱり来たのね……まあレグルスのことだから来るって思ってたけど」
やれやれと言わんばかりに、腰に両手をあてながらため息をする。どういうことだ?
「あんたのことだから、きっと休みでも訓練するんじゃないかと思ってね」
「うおっ読まれてた?」
マジか。流石にティルにそこまで先読みをされるのは予想外だったな。
……いや待てよ? そういや今日以外にも、前日に何日かは休暇はあった。それなのに何で今日来るって分かったのか?
もしかして、毎日来てた……なんてことはねーよな。流石にティルもそこまでバカじゃねえだろうし。
「で、やらないの?」
「やるさ。それにティルがいるなら本格的な訓練出来るしな」
ティルがいなかったら至近距離の射撃の練習をするつもりだったけど、嬉しい誤算だったな。
ティルがいればリンクが出来る。リンクが出来れば、本格的な実践訓練が出来る。つまりそういうことさ。
「よし! んじゃよろしく頼むぜティル!」
「全く、散々待たせたんだから……しっかりやりなさいよ!」
「っ?」
「なっななんでもないわよ!」
……? まあいいや。ひさびさにティルの前で訓練だし、気合い入れていきますか!
「……ああ俺だ……で、首尾はどうだった? ……やっぱそうか……また面倒なことになっちまったもんだ……まあいいさ。とりあえず、あいつらに任せるか……」
「ふぃ〜」
とりあえず一区切りということで、オレは部屋から出て廊下にあるベンチに腰を掛けた。
「お疲れ様」
「サンキュ」
オレは礼をいいながら、ティルからタオルを受け取った。相変わらずフカフカで良い匂いだな……ってこれじゃ変態みたいだな。
とりあえず今日は、前もやったホログラムの兵士と訓練した。まあリンクしてたから数人を相手にしてたけどな。
ちなみに、この施設の作り出すホログラムには、触ることも出来るし、殴られれば普通に痛い。要するに普通の兵士となんら変わりがないっつーことだ。
この兵士を数人相手にするのをとりあえず四セット行った。毎回数を変えてたせいで、コロコロ戦術を変えるのに苦労したが、まあその辺りは事前に勉強したのが効いたな。
……やっぱ勉強ってするもんだな〜これからはもう少し量を増やしていくか。
「まだやるの?」
「んーどうすっかな」
ティルにタオルを返しながら、うーんと考え込む。あれから小一時間は訓練したからもう良い時間だし、そろそろお開きにすっかな。
「今日はここまでにしとくわ。無理する必要はねえしな」
「そっそうよ! また倒れたら私に迷惑かかるんだから!」
何故かビシッと指差されながら怒られてしまった。……それほど心配かけちまったんだろうな……男として情けない。
「心配すんなって。ティルには心配かけないからさ」
「キャア!」
オレはベンチから立ち上がると、隣に座っていたティルの頭をモフモフと撫でた。
「ちょっと、子供扱いさないでよね!」
「お〜こわっ」
ちょっとおどけて見せると、それが面白くないのか、顔を赤くしながらプリプリしていた。こんな仕草もかわいいと思ってしまう。
「もう私帰るから!」
「おいおい、送ってくぜ」
「ふんだ。レグルスなんか知らないわ!」
「悪かったって〜」
やれやれ、お姫様とのコミュニケーションは難しいねぇ。
そんなお姫様をなだめながら、オレは帰路についた。まあ最初は怒ってたけど、寮につくころにはいつものティルに戻っていた。
……まあ今度の飯を奢るはめになっちまったけどな……トホホ……。




