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戦場のローレライ  作者: ゆうき
五章 初の戦場
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30話 助ける理由

決着編! 今回はちょっと自身ないです……(泣)

「ふぇぇ……どういうことなの……? 確か能力はスピードとかだったはず……!」


「へっわりぃなレムちゃん! 一気にいかせてもらうぜ!」


 オレは双刃剣を一つにして右手に持ち直すと、レムちゃんに向かって、一気に接近していく。接近すりゃこっちの土俵ってな。


「こ、こないで!」


 また水の球体を放ってくるけど、一つ一つを丁寧に回避したり、切り裂きながら接近していく。


「ふぇぇ……えっえい!」


 咄嗟の防衛ラインと言わんばかりに、さっきオレを阻んだ水の壁を、何層も作り出し、己を守る盾として利用する。


 まあさっきまでのオレだと厳しいだろうけど、こいつがありゃ余裕ってな!


「うらうらぁ!」


 出始めに一つ壁を切り裂き、破壊する。うん、これなら全部破壊するのは容易いな。


「ま、まだです!」


「くっ!」


 壁だけじゃなく、さっきみたいに、周りにある水を使って攻撃してくる。おいおい、壁だけでお腹一杯だっての!


「いてっ! くそっ負けるか!」


「えぇ!?」


 気合いを入れ直して、周りの水の攻撃を無視して、壁を破壊していくことに専念していく。流石のレムちゃんも、驚きを隠せないみたいだな!


 ……まあ、壁を作るのに集中力がいるからか、周りの水があまり強力じゃないから出来るんだけどな。


「最後の一枚!」


「キャア!」


 なんとか最後の一枚を破壊して、レムちゃんに接近する。だいぶ近づいたけど、まだ攻撃範囲内じゃないな。


「一気にいく!」


『っ!? 待ってレグルス!』


「かかりました!」


「うおっ!?」


 懐に入った。そう思った刹那、足元から突然水柱が吹き出し、オレは空中へと放り投げられてしまった。


 くそっ、壁じゃなくて、こっちに手が回ってたから威力が弱まってたのか!! オレとしたことがしてやられた!


「これで決めます!」


「ぐっ!」


 空中にいるせいで、ほぼ無防備状態のオレに、上下左右といった全方向から、水の球体を飛ばしてくる。


 あんな可愛い顔して、戦術が思ったよりえげつねぇなおい!?


「くそったれが!」


「ふぇっ!?」


 オレは双刃剣を分離させると、風のように素早く、手当たり次第に球体を切りつけていく。


 といっても、空中にいる状態、しかも四方八方からだからか、全ての水を破壊するのは不可能だった。


「ぐっ!」


『レグルス!』


 全てを破壊することは不可能。それはやはり的中し、破壊しきれなかった球体が、バシバシとオレへと襲いかかる。


 くっ、落ちようとすると下からの攻撃で落下出来ないし、こりゃ本格的にマズイ!


「トドメです!」


『レグルス! 上から来る!』


「……マジか」


 地面に落下も出来ずに攻撃を受けてるなか、上からは、特大の水の球体が落ちてきやがった。


 ……万事休すじゃねえかこれ? 避ける術が見当たらねえぞ。


『諦めんじゃないわよレグルス! そんなの私が認めないわよ!!』


 ティルの怒声にも近い叫びが聞こえてくる。……へっ、弱気になるなんか、このレグルスさんには似合わねえってか!?


 それに……なんか知らないけど、頭にあるイメージが浮かんできてやがる。こいつがなんなんかは知らないけど、やってみる価値はあるか!


「この、くらいやがれ!」


 イメージ通りに、まず右手の剣を振ってみる。すると、球体目掛けて衝撃波みたいなのが発生し、激突した。


 もしかして……斬撃を飛ばせるってのか? こりゃスゲーや! でもなんで急に出来るようになったんだろな? さっきティルに励まされて、負けたくないって思ったからだろうか?


「そ、それぐらいじゃやられないもん!」


 少し勢いが弱まっただけで、球体の威力は弱まってはなさそうだった。なら質より量ってな!


「うらうらうらー!!」


「負けないもん!」


 両手の剣を使って、どんどん斬撃を飛ばして水の球体にぶつける。すると、徐々にだけど、球体の水が減っていった。


 だが、削れてはいるものの、球体は確実にオレへと迫ってきていた。


「マズイ!」


「トドメです!」


「ぐあっ!」


 なんとか半分ぐらいには削ったけど、無慈悲にも球体はオレに直撃し、その勢いで地面に叩きつけられてしまった。


『レグルス! しっかりしなさいよ!』


 ………。


『レグルス! 起きてよレグルス!』


 ……くっ。


『……ティル』


『レグルス!』


 なにがあったんだオレ……気づいたら大の字に伸びていて、ティルの声で意識が戻っていた。


 ……そうか、あの水で地面に叩きつけられて、意識が軽く飛んでたのか。ちっ、オレとしたことが情けねぇ。


「ま、まだ倒れないの……?」


「へっわりぃな、やられるわけにはいかないんだよ!」


「わ、私だって負けられないんです!」


 そう言うと、球体を飛ばしてくる。けど、なにか違和感があった。


「……もしかしたら。うらっ!」


 とりあえず斬撃を飛ばして球体を破壊する。そしてオレは、前におっさんが言っていたことを思い出していた。


『レグルス、もしかしたら……』


『おう。多分だけどな……一気にいこう!』


 これは好機だ。そう判断したオレは、またレムちゃんへと接近していく。


 今までのことを考えたら無謀だと思うだろう。けど、前におっさんが言っていたことがあるんだ。


“能力は無限じゃない。なんにでも限りがある”


 そう、さっきからレムちゃんはかなりの能力を使っている。現にさっきの水にあまり威力がなく、息も結構上がっている。


 一方オレは、そこそこ能力を使っているとはいえ、まだ余力は残している。ケガしてるとはいえ、どっちが有利かは明白だろう。


「ハァ……ハァ……え? ダッダメだよ!」


「? なんかよくわからないけど、戦場で隙を見せちゃダメだぜ!」


「キャア!」


 怯ませるために、斬撃をレムちゃんのすぐ横を通過させる。それが上手くいったか、レムちゃんはその場でしりもちをついていた。


「チェックメイトだな」


 座り込んでいるレムちゃんに、刃を向ける。だがまあ傷つけるのが目的――


「やめなさい!」


「っ!?」


「え?」


 突然オレとレムちゃんの間に、違う女の子が割って入ってきた。


 近くに小さいバギーが転がってる所をみると、あれで来たのだろう。


 その娘は、ショートヘアーが似合う活発そうな娘だ。レムちゃんと同じ軍服を着ているから、相手の軍人か。あとぺたんこだ。


 てか、この娘も見たことがある……そうだ、レムちゃんと一緒に見た、もう一人の娘じゃねぇか!


「サナ! なんで来たの!?」


「レムが苦しんでるのを黙ってなんか見てられないよ!」


「っ!?」


 なんの偽りのない、真っ直ぐな瞳で言う、サナという女の子。ここまで真っ直ぐになれるのは、ある意味羨ましいな。


「知ってると思うけど、アタシは『魔女』よ! やるならアタシをやりなさい!」


「えっ!? ダッダメ! やるなら私にしてください!」


「やれやれ……」


「キャッ!」


「イタッ」


 軽く溜め息をしながら、オレは二人の頭を、剣の柄で軽く小突いた。


「???」


「勘違いすんなって、オレは傷つけるつもりは毛頭ねーよ」


「なっなんでよ? 今逃がしたら反撃するかもしれないよ?」


「助けるのに理由なんか必要ねーだろ? おいおっさん、ランカーは投降したってさ」


『おう、ティルから会話の内容を聞いた。流石に相手も投降するだろ』


 おっさんに連絡すると、どうやら投降を促すようにするようだ。これでこの戦いは終わりだな。


「……アンタ、変わってるね」


「誉め言葉として受け取っとくよ。まあ、投降ってことでいいかい?」


「……はい。わかりました」


「うん……しゃーないかな」


 ハァ、と二人は項垂れていた。まあ負けたんだからガッカリするのも分かるけど、ここまで嫌がるのには、なにか意味があるのか?


「私達……どうなるのかな……?」


「わかんないよ……」


「………」










「レグルス! また無茶して!」


「ぐほっ!」


 陣地に戻ってきた矢先に、ティルに平手打ちされてしまった。おいおい、疲れてんだから勘弁してくれよな……。


「あまり心配かけさせないでよ……」


「……ああ」


 ぽんぽん、と笑顔で頭を撫でると、ニコッと笑顔になった……と思ったら直ぐに膨れっ面になった。


「べっ別にレグルスが心配だったわけじゃなくて……そう! 私にまで被害が来るのが嫌なだけだったの! 勘違いしないでよ!」


 戦闘が終わってもティルは平常運転だった。


「レグ!」


「レグ君!」


「ヒェフ!」


 ティルと話をしてると、みんなが駆け寄ってかた。当たり前だけど、かなり疲労の色が見える。


 ……あと、何故かバイスはボロボロで、顔の至るところが腫れていた。そのせいで上手く喋れていなかった。


 ……滑稽で笑える。


「やれやれ、なんとかなったね」


「シュノ、お前やるじゃないか!」


「まあ何だかんだで上手くいったよ」


 いつもみたいに澄まし顔をするシュノ。ま、口には出さないけどこいつも大変だったんだろうな。


「……なあフィリィ、ちょっといいか?」


「なあに?」


「負けた会社の人間ってどうなるんだ?」


 そう、さっきのあの二人の雰囲気はちょっと異常だった。ってことは、なにかあるってことだよな。そう思ったオレは、とりあえずフィリィに聞いてみることにした。


「あまり良い事は聞かないかな……間接的に上下関係みたいなのが生まれて、かなり差別が激しくなるみたいだよ……」


「………」



 なるほど、そういうことか。それを二人は知ってたわけか。そんなの、オレがほっとくわけないだろ。


 そう思ったオレは、隅で小さくなっている二人に近づいた。


「よっ」


「レグルスさん……」


「なっなによ、勝ったのを自慢しにきたの?」


「おいおい、そりゃないぜ……」


 サナからは、見事な嫌われっぷりでした。ショボーン。


「あっこの娘達……ランカーの娘?」


 オレのことが気になったのか、みんながオレ達の所へと歩み寄ってきた。すると、レムちゃんはそそくさとサナの後ろに隠れてしまった。やっぱ、かなり気弱な感じな娘なんだな。


「わたしフィリアっていうの。良かったら仲良くしてね?」

 スッとフィリィは右手を差し出す。けど、サナはそれに応じなかった。


「……なんなのよ。負けた企業のことは分かってるんでしょ?」


「うん。けどそんなの関係ないよ。これも縁だし、友達になりたいなって。ダメかな?」


「………」


 思いもしなかった発言だったのか、二人は目を点にしていた。


「僕も仲良くしてもらえると嬉しいかな。あっ僕はシュノンバートだよ。長いからシュノでいいよ」


「私はティルよ」


「ふぉれひゃまふぁふぁいひゅら!」


「いや、なに言ってるかわからねーし。こいつはバイスな」


「……えと」


「その……なんでそんな優しくするの」


「なんでって……なぁ?」


 オレらはみんなして、不思議そうに目を合わせる。せっかく縁があったんだし、オレも仲良くなりたいしな。


「……みんなこうなると聞かないわよ」


「そうなの……でも」


「……うん、なんか……暖かいね」


 えへへ、とやっとレムちゃんが笑ってくれた。それに釣られてサナも、そしてオレ達も笑顔になった。


 こうして、オレ達の初めての戦いは、無事に幕を下ろしたのだった――


先に行っておきます。次の章はかなりフリーダムになりますwww

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