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戦場のローレライ  作者: ゆうき
四章 決意
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21話 想い

今回は繋ぎなので短めです。よかったら感想お願いします!

 必死に走っていると、思ってたより早く宿舎のレグルスの部屋に着くことが出来た。


 まあその代わりに、体力やらなんやらが色々とすり減ったけれど……。


「レグルス!」


 勢いよく部屋に入ると、そこにはよれよれの白衣を着たおじいさんがいた。


 多分、軍に所属する医者なんだと思う。


 当のレグルスは、ベッドで寝息をたてている。心なしか顔色が悪い気がする。


「ん? 君はこの子の知り合いかね」


「え、ええ」


 ゆったりとした口調でこちらを向く初老の医者。


 とても優しい顔をしているというのが第一印象だった。


 なんだろう……なんか安心できるような……私はそんな気持ちに包まれていた。


「そうかい……彼、かなり無茶をしていたみたいだからね、よく言っておくんだよ」


「レグルス、なにがあったんですか?」


「訓練中に倒れたそうだ。軽い過労と栄養失調になっていたから、ゆっくり休ませて栄養のあるもの食べさせるんだよ」


 アトバイスを一つ残すと、おじいさんは部屋を出ていった。


 過労と栄養失調って……また無理したの……なんでいつもいつも……無理するのよ……。


 レグルスの近くに行ってみる。


 遠目からでもわかっていたけど、近くで見ると、凄い顔色が悪いということがわかる。


 あまり睡眠もとっていないのか、クマも酷かった。


 一体どれだけ無茶したっていうのよ……。


「うっ……」


「レグルス……?」


 顔を歪めながら、レグルスはうなされていた。悪い夢でもみているのだろうか?


 でも休ませろって言われている手前、無理矢理起こすわけにもいかないし……。


「……ル」


「え? なにレグルス?」


 うなされながら、なにか言っているのを聞き取った私は、レグルスの口元に耳を近づけてみた。


「ティル……」


「え?」


 私の名前を呼んでいた。正確に言うなら、普通に呼んでいるのではなくて、私を探しているような、そんな感じだった。


「レグルス、私はここにいるわよ……」


「……ティル……止めてくれ……」


 さっきよりも苦しそうになるレグルス。私が夢の中でなにかしているのかしら?


 ううん、違う。多分私が出てるのは合ってると思うけど、うなされてるのにはなにか他に原因があると思う。


 だからって夢の中に入れる訳じゃないし、どうしたらいいのかしら……。


「っ!!」


 私の中にある考えが浮かんだ。けれど、それと同時に、私の顔が熱くなるのを感じていた。


 もし今鏡をみたら、真っ赤になっているかもしれない。


 考えといてなんだけど、正直言ってかなり恥ずかしいんだけど!


 でも……目の前で苦しそうにしているレグルスを、黙って見ているなんてのも嫌だ。


 恥ずかしさのせいで、意味もなく部屋をウロウロする。


 う〜……そうよ! レグルスが悪夢を見ているから、しょうがなくしてあげるだけなんだから! レグルスが悪いんだから!


 私はそう結論付けると、意を決してレグルスに近づいた。


「ほっほらレグルス、私はここにいるわよ……」


 ぎゅっ、とレグルスの手を握る。これがどんな効果があるかは分からないけど、これぐらいしか思い付かなかった。


 ……これぐらいどうってことない? わっ私にはどうってことあるのよ!!


「んっ……」


 私だって分かったのか分からないのか、私には判断出来なかったけど、レグルスは穏やかな表情になっていた。


 気づくと、レグルスもギュッと私の手を握っていた。


 こっこれ……想像以上に恥ずかしい……!!


 今だれか来たらと思うと、なんだかいてもたってもいられなくなる。


 コンコン――


「ひゃあ!?」


 イレギュラーな音に、ビクッとしながら思わず変な声を出してしまった。


 もっもう! このタイミングでノックとか聞いてないわよ!


「レグ君? 起きてる?」


 聞き覚えのある声が外から聞こえてきた。フィリアだ。


 そういえばフィリアも直ぐに来るって言っていたような……レグルスのことで頭が一杯で忘れてた……。


 って! 別にレグルスが心配だったから頭が一杯一杯だったわけじゃないんだからね!!


「あっティル。もう来てたんだね」


「ええ」


 私は部屋にフィリアを迎えると、医者のおじいさんから聞いた話をフィリアに伝えた。


 すると、フィリアは心配半分、呆れ半分といった複雑そうな表情を浮かべていた。


「全くレグ君ったら……わたし達だけじゃなくてティルにまで心配かけて……」


 はぁと溜め息をつくフィリア。


 今まで笑顔の印象が強かったせいか、フィリアがこんな顔をしていることが、私には新鮮だった。


「あっそうそう、二人にも連絡を入れておいたから、もう少ししたらくると思うよ」


 二人っていうのは多分バイスとシュノンバートのことよね。二人もきっと心配してるわよね。


「さてと、こうしてても仕方ないし、レグ君が起きた時のためにご飯の用意でもしよっ!」


「えっちょっとフィリア!?」


「多分もう少しで二人とも来るし、二人っきりになってるよりレグ君のためになにかしなくっちゃ♪」


 ふっ二人っきりって! べっ別に私はレグルスと二人っきりになんかなりたくなんかないわよ!


 それに二人っきりになんかなったらレグルスになにされるか分からないわよ!!


 ……でも……なんでか胸がドキドキしてる……。


「というわけで、お買い物にいくよっ!」


「わっ分かったから引っ張らないで!」


 私はフィリアに腕を引っ張られながら、町へと買い物に出かけた。

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