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戦場のローレライ  作者: ゆうき
四章 決意
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19話 出来ること

最近執筆の調子悪いなぁ……

 ここは……どこだ?


 なにもない。ただ真っ暗な世界。


 そこにオレは立っていた。


 なにもない……あるとすれば、希望などない、ただ絶望しかない世界。


「………」


 こんなところにいる場合じゃない。早くみんなのところに帰らないと。


 そう思っていると、突然目の前にちいさな光が集まり、形になっていた。


 光が収まると、そこには小さな子供が立っていた。


 その子供は、五、六歳ぐらいだろうか? 男の子だ。短髪でいかにも元気そうな子供だけど、その子は泣いていた。


 いや、そもそも……この子供、覚えがある。いや、確信を持てる。こいつは――


「お前が悪いんだ!」


 っ!?


「お前なんかがいるから!!」


 突然、この暗闇の世界に、オレとは別の大人の声が響きだした。


 ……この声にも覚えがある。


「貴様達さえいなかったら!!」


「お前達が私達の家族を殺したのよ!」


 やめてくれ。


「さっさと消えろ!」


 オレは悪くない。


「父ちゃんと母ちゃんを返せ!!」


 オレはなにも知らない。


「貴様達は死神だ! 私達の……この世界の!」


 オレハ――オレハ。


「そうだったんだ」


 っ!?


「レグルスって……そうだったんだ」


 聞きたくない。


 そう思ったオレは、その場にうずくまってしまった。


 そんな時、一番聞き覚えのある、そして今ここで一番聞きたくない声が聞こえてきた。


 ご丁寧に、その姿がオレの前に現れていた。


「レグルス、守るとか言っといて、みんなを殺してきたんだ」


 待ってくれ――オレは何も知らないんだ――


「そうやってとぼけて。私のことなんか、力を与えるだけの存在にしか見てなかったんでしょ?」


 違う――オレはお前が――お前達が――


「しょせん死神は死神なのね」


「やめろおぉぉぉお!!」










 気づくと、そこはベッドの上だった。どうやら今のは夢みたいだった。


 ちっ、だいぶ吹っ切れたと思っていたけど、やっぱりまだ心のどっかに引っ掛かってるんだろうか?


「ん……?」


 なにか胸の辺りに暖かいものを感じる。


 ちょっと顔を上げて見てみると、そこにはティルがスヤスヤと寝息を立てていた。


 そうか、多分昨日からずっと付き添ってくれたんだな。


 そう考えてると、オレはさっき見た夢のことは忘れ、暖かい気持ちに包まれていた。


「スー……スー……」


「ったく、しあわせそうに寝てやがって」


 そっと頭を撫でてみると、うーんと言いながら少し反応した。


 ……いつもと違って色っぽい声にちょっとドキッとしちまった。


「んー……レグルス……?」


「よう、起きたか?」


「んー……まだ眠い……」


 まだ寝ぼけているのか、いつもみたいなツンツンした感じが一切感じられない。


 んー……これはこれでかわいいな。


「……?」


 オレを見つめること数秒、目が覚めてきたのか、一気に顔が紅潮し始めた。


「レ、レレ、レグルス!? そっその! 別にこれは、そのっだから!」


「なんだよ、オレを心配してくれたのか?」


「そっそんなわけないでしょ! ただ……ただレグルスが私のパートナーだから来ただけよ! うん! そうなのよ!」


 なんとか答えを見つけたのか、安堵の表情を浮かべる。


 なあティル……それって、結構自爆していると思うんだけどよ……。


 まあティルの面子を守るためにも、ここは黙っておいてあげるのがイケメンってやつだろ?


「そ、それよりなにかいる?」


「ん? そうだな……少し腹減った」


「そっそう。ならなにか持ってきてあげるから、少し待ってなさいよ」


 そう言うと、逃げるように部屋を出ていってしまった。


 はぁ……さっきはティルがいたからよかったけど、一人っきりだといろいろと考えちまう。


 オレは……負けたんだよな? 正直言って最後の方はほとんど記憶に残ってない。


 けれど……へっ、あんだけ大口を叩いといてこのザマだもんな……情けねえことこの上ないな。


 オレは……まだまだ弱いのか……力が無ければなにも出来ないしなにも守れない。


「レグルス?」


「ん?」


 気づいたら、トレイに食事を乗せて戻ってきたティルがいた。


 考え事をしていたせいで、戻ってきていたことに気づかなかった。


「どうかしたの? 悩んでるなんてレグルスに似合わないわよ?」


「ほっとけっての」


 軽口を叩きながらも、オレはずっと考え事をしていた。


 そうだ、オレはもう何も出来ないなんて嫌だ。オレにはオレのやることがあるはずなんだ……。


 けれど、今オレに出来ることってなんだ?


 オレに……出来ること……。










 あれから数日後、私達は企業に戻ってきていた。とりあえず今日までは、激しい演習したからと休日になっていた。


 けれど、あれからレグルスの姿を一度も見ていない。


 何回も部屋に行ってみたけれど、なんの応答もないし、企業から支給されている携帯も反応が無かった。


 ここまで反応がないと、流石に少し気になってくる。


 というわけで、私は食堂で昼御飯を食べながら、みんなと話をしていた。


「んー確かに心配ね……」


「部屋にいるのに反応が無いっていうのが引っ掛かるかな」


「レグのやつ、演習のことがあってへこんでるんじゃねーだろーな?」


 みんなそれぞれ感想は違っていたけど、やっぱりレグルスのことを心配していた。


 ……私? べっ別に心配なんか! かっ勘違いしないでよね!


「ティル、なんか顔赤いけど大丈夫か?」


「べっ別になんでもないわよ!」


 なんか三人にキョトンとされてしまった。


 って今はそんなことはいいの!


「で、シュノンバート。引っ掛かるってなにが?」


「ん? いや、まあこのことには関係ないから大丈夫だよ」


 と、食事を済ませて、優雅に紅茶を飲んでいるシュノンバートに軽く流されてしまった。


 ……なんだか紅茶を飲む姿が様になっている。


 それにしても、引っ掛かるっていうのはなんなのかしら?


「まあレグのことださ、部屋で倒れてるってことはないだろうけどな」


「怖いこと言わないでよ!」


 思わず身を乗り出して叫んでしまった。


 全く、バイスったらまるで洒落になってないわよ。


「で、これからどうすればってことよ」


「そうだね。レグ君に会えるのが一番いいけど、なにも分からないから、今は様子を見るしかないかな……」


 ……確かにそうなのよね。もしかしたら、部屋で負けたことにいじけてる可能性もあるし……あまり想像出来ないけど。


「まあ今は平常運転かな。僕は今日の午後から訓練が再開されるし」


「え? あっ俺様もだったぜ〜なはは〜」


「ハァ……君みたいなバカでも、話を聞いて覚えるっていう子供でも出来ることが出来ないのかい?」


「出来るわぁ!」


 出来ないと思う。


「とにかく、僕達も空いた時間にレグを探してみるよ。ティルはレグルスの情報集めを頼むよ」


 シュノンバートのその一言で、この話は締め括られた。


 端から見たら、シュノンバートはレグルスの事なんか気にしてなさそうに見えるかもしれない。


 けど、その場にいたから分かったのだけど、声のトーンとか、しゃべり方にいつもの冷静さが感じられなかった。フィリアとバイスもあまり落ち着きがなかったわ。


 やっぱりずっと一緒にいたんだから、心配しないわけないわよね。


 ずっと一緒……か。


「………」


「ティル? どうかしたの?」


「え、ううん」


 なんかぼんやりしちゃった。まあ三人がいつもレグルスと一緒にいたからって、今の私との関係が崩れる訳じゃないし……。


 でもなんだろ……なんか……もやもやする。


 なんでだろ……。


「あっティル」


「え?」


 トレイを片付けて食堂を出ようとすると、フィリアに呼び止められた。


 まだなにか話があるのかしら?


「ティル、本当はまだ相談したいことがあったんじゃないの?」


「えっ?」


 思ってもみなかったことを突かれて、私は目を丸くしていた。


 相談したいこと……? なにかしら……ないと思うけど……私自体が気づいていないこと?


 それともフィリアがなにか勘違いしているだけかしら?


 フッとフィリアの顔を見てみる。


 いつもの優しい笑顔だけど、その目はとても強い目をしていた。


「んー。少し言い方を変えてみようかな。ティルがどうして相談しようと思ったの?」


 私が相談しようとした理由?


 そんなのレグルスがいなくて心配だったからに決まって――


 あれ、でもなんで心配したんだろう?


 違う、確かに心配だったけれど、他にもっと違う感情があったのを覚えている。


 なんていうか……落ち着かないっていうか……とにかく言葉では表現しにくかった。


「………」


「分からない?」


「ええ……」


「そっか」


「なんなの?」


「それはティルが自分で気づくことだよ。わたしには後押ししか出来ないから」


 そう言うと、フィリアはどこかに行ってしまった。


 一体どういうことなんだろう。フィリアが無駄なことを言わないっていうのは分かっているけと、今回のことはよく分からなかった。


 私が気づくこと……か。


「とにかく探さないとね」


 なんとなくモヤモヤしたままだったけれど、私はレグルスの情報を掴むために食堂を後にした。

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