17話 決着
グダグダすぎる……あっ今回最初はティルサイドから始まります
リンクの効果で、レグルスが別のランカーに傷つけられているのが、私には分かっていた。
私の手が届かないところで、レグルスが傷ついている。けれど私はなにもできない。それがもどかしかった。
「隊長! 私にはなにも出来ないの!?」
「ああ。お前に出来るのはリンクに集中することと、レグルスを信じることだけだ」
地面にあぐらをかきながら悠長に煙草を吸っている隊長に、少し怒りを覚えていた。
それが無意味だとわかっていても、そう感じでしまうのが、私という人間の醜いところなのかもしれない。
でも本当に私にはなにも出来ないの……私は守られることしか出来ないの……?
「……焦ったとこで無意味だぜ」
「っ!?」
背を向けたまま話し出す隊長を、私は思わず睨み付けていた。
「今出来ることと出来ないことの判断ぐらい、ガキじゃねえんだから出来るだろ?」
そんなことわかってるわよ! ……でも私に出来ることなんて……そんなこと……。
いや、考えるのよ。私は『魔女』。『魔女』にしか出来ないことを考えるのよ……。
そうよ、私の力はまだ完全じゃない。現にレグルスはまだ能力が判明していないじゃない。
……そういえば、能力は『心の波長』を合わせることで発現するらしい。
なら……もっとレグルスを思えば……。
(ティルを……バカにするんじゃねぇぇぇぇ!!!)
「っ!?」
頭の中で、レグルスの雄叫びが響いていた。
レグルス!! そうよ、私はレグルスの力になりたい! レグルスを守る力になりたい!
そう考えると、私の体から強い光が出てきていた。
「……ついにか」
隊長がなにかいったみたいだけど、私には聞き取れなかった。それに、今はそれどころじゃない。
もっとレグルスに力を……レグルスを助ける力を……! おねがい、頑張ってレグルス!!
一体なにが起きているのかわからないけど、オレの右手には、あまり見たことない武器が握られていた。
その武器は、恐らく剣の一種だろう。柄の部分の両端に、刃がついている。
柄の部分は長めに作られていて、オレの拳を横に四つ繋げたぐらいはあるだろう。
とにかく……オレの右手から謎の武器が出てきたってわけだが……これは、おっさんが言っていた武器具現なのか? ならオレの能力はこれか……?
「……くくっ」
「なんだ?」
「ハーハッハッハ!!」
なっなんだ? 急に高笑いをし始めたぞ……なんだ、急に狂いだしたのか?
「これが笑わずにいられるか!? この私さえ能力が現れるまで相当掛かったというのに、貴様のような新入りがもう発動するだと!?」
さっきの余裕そうな顔から一転、殺意が込められているような、怒り狂った表情を浮かべながら、ヴィランはオレに向かって光の球体を放ってきた。
咄嗟のことだったけれど、オレはそれをしゃがんで回避した。
「認めん……お前と『魔女』がこの私より優れているなんて……断じて認めん! 断じてだ!!」
一体どうしちまったんだ……まあオレには関係ないか。
こいつのことはオレだって気に入らないし、ティルをバカにした償いはしてもらうぜ。
さあ、第二ラウンドだ。先に動いたのはヴィランだった。さっきの自在に動かせる光の球体を、さっきの倍以上の数を放ってきた。
おいおい、さっきまでは本気じゃなかったってことかい?
「くっ!」
数が多いせいで回避するのが難しい。けど、回避するだけじゃさっきと変わらないし……そうだ、この武器を試してみるか。
試しにオレは、この剣で光の球体を一つ切り裂いた。すると、球体は真っ二つになって、淡い光となって消えていった。
おおっ、うまくいったぜ。
「甘いぞ!」
「ちっ!」
一つぶっ壊したからって安心している場合じゃない。ほかの球体達が、四方八方から、オレに襲い掛かってきた。
けれど、この大きい剣じゃ、流石に破壊するのには隙が大きいし……とりあえず、攻撃の隙間から抜け出した。
よくよく考えたら、あのヴィランがそんな隙間を作るとは思えなかった。
だが、それに気づいたのは抜け出してからだった。
「爆ぜろ!」
オレの着地地点、やはり魔方陣が仕掛けられていた。
それを予想していたオレは、直ぐにダッシュすることで爆発から回避した……そう思っていたけど、少し爆風を受けてしまった。
絶対回避出来たと思ったのにな……やはり威力が増しているということなんだろうか……?
「バカな、私の攻撃を回避したというのか!?」
「ざんねん! オレには通用しないぜ!」
ちょっと思うことがあって、ヴィランを煽ってみた。
前にシュノが、冷静じゃなきゃ戦いには勝てない、みたいなことを言っていたのを思い出したから、試しに煽ってみたってわけさ。
すると案の定、さらにヴィランは怒り狂っていた。
「小僧がぁ! 行け!」
また光の球体で攻めてくる。へっこんなんで頭に血が登っちまうなんて、こいつもまだまだなんかね。
「よっと!」
今度は陸地に沿って無数の球体が襲ってくる。
今度は左右や前後からだったから避けるのは簡単だな。オレは思いきりジャンプして回避した。
「……くくっかかったな!」
「なっ!?」
ジャンプしたところ、上空には、爆発する球体が無数に浮かんでいた。
しまった、またはめられたか!! しかも空中にいるせいで、そこから移動することは出来ない。
くそっ考えろ! 今出来ることを! オレは無い頭をフル活動して考えた。
……そうだ、さっきの球体は切り裂いたら消えたな。ならこれも切っちまえばいいんじゃねえか?
けれど、この剣だと流石に厳しいだろう……なら無理か?
……ん? このイメージ……なぜか、オレの頭には、とあるイメージが浮かんでいた。それは……剣の分離。
「やるしかない!」
柄の部分の中心を分離させると、オレは剣を両手に構えた。所謂双剣みたいな感じだ。
おおっ! これこんな風に分離出来るんだな! スゲェ!
とりあえずこれで手数が増えたな。手始めに、近くにあった球体を切りつけていく。さっきと同じように、それは光の粒子となって消えていった。
「無駄だ!」
「うおっ!」
とはいっても、リーチが短くなっちまったせいで、近くのしか対応出来なかった。
オレの攻撃が届かない球体は、一斉に爆発を起こす。
直撃……とはいかなかったけど、爆風に巻き込まれて地面に叩きつけられた。
「ぐっ……痛って〜」
「終わりだ!」
ヴィランが左手をオレに向けると、淡い光を放っていた。すると、オレの足元に、青い魔方陣が浮かび上がってきた。
これはマズイ。けれど、叩き付けられた痛みで、その場から動くことが出来なかった。
これもトラップの一種なんだろうけど、今のオレには普通に攻撃として使えるんだろう。
「止めだ!」
ヴィランの声を合図にするかのように、魔方陣が淡い光を発し始めた。
マズイ。本能的にそれを感じ取ったけど、やはり体が上手く動かなかった。
光が収まると、魔方陣からは鎌鼬が発生し、オレを襲った。その一発一発が当たるたびに、オレの体に傷が増えていった。
傷が増えるたびに、流血が酷くなっていく。
くっ……血が足りねえ……意識が……。
「やはり……私のほうが優れている! そう! 私のほうが!!」
くっ……もう訓練なんか関係ねえ……オレは純粋にヴィランには負けたくねえ!!
「…………」
「なっ……」
立ち上がった。意識は無かった。けれど、ヴィランに勝ちたい、という闘争心が、オレの体を動かしていた。
(もうやめて……レグルス! 無茶よ!!)
ティルの悲痛な声が頭に響く。だけど、今のオレにはそれを理解することが出来なかった。
「……っ!」
「くっ!」
オレはヴィランに向かって一直線に走り出す。
途中に爆発する魔方陣があったが、爆発に巻き込まれる前に、左にステップして回避した。
「調子に乗るな小僧がぁ!!」
「っ!」
光の球体達を作り出し、オレへと向かって放つが、オレは無意識ながらも、双剣にした剣で全て切り裂いた。
「ばっ馬鹿な!?」
「っ!!」
予想していなかったのか、ヴィランは表情を歪めていた。
だが、オレにはそんなことを気にしている余裕は無かった。今は気力だけで動いているようなものだからな。
「だっだが私にはこの守りが……」
「っ!」
オレは剣をもう一度一つの剣に戻すと、それを使ってヴィランに攻撃する。だが、あのヴィランを守る壁に阻まれてしまった。
「っ!!!」
「なっ!?」
だがそんなのは関係ない。オレは、壁から発する衝撃波なんかお構い無しに攻撃を続けて、無理矢理壁を破壊した。
「馬鹿な……この私が……負けるというのか……!?」
「っ!!」
勝った……そう本能で感じると……
無情にもオレの意識は
闇へと落ちた。
お知らせがあります。今まで定期更新でしたが、大学の関係上厳しくなってきました。なので落ち着くまでは不定期更新になりそうです。ご理解頂けるとありがたいです




