15話 作戦開始
さてと、戦うのはいいが人数の差が激しいのは事実だ。どう攻めるかだな……。
んー……よし、ここはバイスに頑張ってもらうか。オレにいい考えがあるってやつさ。
「バイス、お前から突撃してくれ」
「おっおい! 一人でとか無謀だろ!」
「頼むよバイス。お前みたいなイケメンにしか頼めないんだよ」
「ふっ任せておけ」
即答だった。髪をかきあげながらどや顔をするバイス。
いつもそうだけど、扱いやすくて助かるね〜全く。
「うっしゃー! いくぜー!!」
元気に物陰から出ていくと、銃を構えながら突撃していく。
まあ案の定というかなんというか、敵に気づかれてしまった。
「うおぉぉぉ! ってギャアァァァ!」
最初は勇ましく突撃していったんだけど、前衛の奴等に思いきり銃撃で迎撃されていた。
「たしけて〜!!」
お〜お〜あんなに乱射されてるのに、走り回ってるだけだけど、まだ死んでないな。
ある意味無意識だけどバイスの回避能力って高いのかもな……。
「ま、囮には最適だよね」
「到底仲間とは思えない作戦だけどな……シュノ、頼むぜ」
「まあ任せてよ。この距離なら余裕さ」
さっきの銃とは違う銃を手に持つと、バイスのように物陰から出ていった。
そのまま銃を構えると、前衛部隊を銃撃していく。
「っ!」
「っ!?」
「っ……!」
シュノの銃撃で、前衛の三人はその場に倒れこんだ。
走りながらなのにこれだもんな。さすがの射撃能力だなシュノ。
だが相手も甘くはない。中衛にいる奴等が、射撃でシュノに対応していく。
さてと、これはオレも行くか。
「シュノ、こっちこい」
「今行く……!?」
シュノが物陰に戻ろうとすると、中衛の二人が銃撃してこようと構える。
普通ならダイブするなり、撃つ前に逃げればいいだろう。だが、残りの二人が手榴弾を投げてきた。
なるほどな、これで退路を断つわけか。
ま、そんなことをさせるつもりはさらさらないんだけどな!
「シュノ! 構わず来い!」
「悪いね、頼むよ!」
気にせずにこっちに来させるように促す。
オレはシュノの前に出ると、ジャンプして空中で手榴弾をキャッチすると、そのまま投げ返してやった。
一個取り逃したけど、一個なら問題ないだろう。案の定、シュノは無事物陰に隠れることが出来た。
「おらっ!」
「っ!」
二個あったうちの一個を投げてやったけど、相手も甘くはない。
中衛の二人は、そろぞれ横にダイブして、爆発を回避した。
まあ、そこでこちらの攻めを止めるはずもない。それに、只でさえ無防備になる空中で、ただボーッとするなんて、バイスぐらいのバカじゃあるまいしな。
てなわけで、オレは事前にフィリィから送ってもらった、手榴弾に似たものを投げつけた。
「っ!」
それは中衛の隊員のところに落ちると、眩い光を放った。
そ、今投げたのは閃光弾。これで中衛の隊員、上手くいけば後衛の隊員の視界を奪うことと、オレが安全に着地するのが目的だ。
とりあえず中衛の隊員の視界は奪ったのか、目を押さえながらウロウロしている。
本来なら攻め込みたいが、後衛の隊員がいるから、それは悪手だろうな。
「ぬおぉぉぉぉ目がぁ! 目がぁぁぁ!!」
「お前もかよ!」
そこらじゅうを走り回ってたバイスが、目を押さえながら走り回っていた。
ああ……そういや教えておくの忘れたわ。まあいっか。
「うおっ!」
バイスの方に気がいってると、いつの間にか後衛の隊員が、オレに向かって撃ってきていた。
一瞬ヒヤリとしたけど、なんとか物陰に逃げ切ることができた。
んーここからどうしたものかねぇ。中衛の機能が停止している間に攻め込みたいけど、後衛の援護が危ないな。
「目がぁぁ! っと見えるようになったぜ!」
なんかバイスが騒いでるな……っ!? あいつ、後衛の近くにいるじゃねえか! 闇雲に走ってたら、後衛の懐に潜り込んだってことか!
しかも、オレ達の方を警戒しているのか、バイスに気が付いていなかった。
「ま、いっか。オラァ!!」
バイスは後衛の一人を銃で撃ち抜く。流石に気づいたのか、相手も銃撃で反撃していく。
といっても、後衛仕様の銃のため取り回しが悪いせいか、バイスに当たることはなかった。
「……ああぁぁぁ! 銃邪魔だぜ!」
……へ?
「うらぁぁぁ!」
……今の現状をありのままに話す。バイスの野郎、持っていた銃を投げ捨てて、後衛隊員の一人を投げ飛ばし、残りの一人の隊員に投げつけた。
そんな無茶苦茶な……。
とっとにかく不幸中の幸いというか、バイスの活躍(?)で、後衛の部隊は壊滅した。これなら後はオレの仕事だな。
「うおっ!」
っと、のんびりしてたら、だいぶ視界が快復した中衛部隊に、バイスが銃撃されそうになっていやがった。
「おらっオレを忘れんなよ!」
バイスを狙っていた隊員の一人を、飛び蹴りで吹っ飛ばした。
これで残り三人だな!
(あんまり活躍してないんだからしっかりしなさいよ!)
(わーってるって!)
ティルにも喝入れられたし、こりゃ気合い入れねーとな。
「っ!」
「よっと」
隊員の銃撃を、持ち前のスピードで撹乱することで上手く回避していく。
訓練を積んだことで、一直線に動く他にも、このスピードで撹乱することの有用性を学ぶことができたんだぜ。
「うらぁ!」
また一人を、今度は顔面目掛けて渾身のストレートを振り抜いた。これで後は二人!
「っ!」
「ん?」
さっきみたいに、敵隊員は手榴弾を投げてきた。へっまた投げ返してやるぜ。
「くらえ……ってマジか!」
手榴弾を投げ返そうと思ったら、全員オレに向かって銃を構えていた。
完全に誘われたか……こりゃマズイんじゃないか? 空中じゃ身動き出来ないし……絶体絶命?
それを感じたオレの額には、嫌な汗が流れていた。
「させるか!」
「させないよ」
オレを狙っていた隊員二人に、バイスは一気に接近してからの膝蹴り、シュノは背後から射撃で攻撃し、銃撃が来る前に倒してしまった。
……へっそうだよな。オレには仲間がいたな……。
「よっしゃあ!」
「バイス避けろ!」
「へ?」
……そう、オレは手榴弾をキャッチして、投げ返そうとしていた。しかも空中で。
そして、相手は今は倒れている。……もう分かるな
そう、地上ならともかく、空中でそうすぐに止められるわけもなく、手榴弾を敵(そこにいるバイス含めて)に向かって投げてしまった。
「うそぉぉぉぉん!!? あっ♪」
良い笑顔を最後に、バイスは爆音と共に発生した煙に包まれてしまった。
あーあ……。
「あいつ、いいやつだったな……」
「僕も明日ぐらいまでは忘れないよ……」
「勝手に殺すな!」
「「生きてた!?」」
所々にススが着いているバイスが、煙の中から現れた。
てか……機械、鳴ってないよ……な? なに、まさかまた生き残れたのか? ……マジでどうなってんだこいつ?
「……ま、まあ僕達の勝ちだよね」
「フフン、俺様の活躍が勝機だよな!」
「勝因な。それだとまだ終わってないことになるぞ」
どや顔をするバイスにオレは速攻でツッコンだ。
まあ……こいつが(偶然)後衛部隊のところにいたから崩せたんだよな……認めたくないけど、こいつが一番の勝因だな。
(レグルス、ケガない?)
(おう、大丈夫だぜ)
またティルが心配して声をかけてくれた。ていうか……。
(そんな心配しなくても、訓練だから心配ないぜ)
(べっ別に心配してなんかないんだから! 勘違いしないでよ!)
ははっ、なんか離れてるのに、言葉だけでティルの顔が想像出来るなぁ。きっと今頃顔を真っ赤にしてるんだろうなぁ。
「あっほら、あれ見てみなよ」
シュノの目線の先、中央モニターを見ると、オレ達小隊の他には、もう後一小隊、しかも一人しか残っていなかった。
もう勝負は決まったか。そう思った矢先、目の前で、モニターにその隊員がリタイアしたのが表示されていた。
「……これは、オレ達意外は全滅ってことだよな?」
「イヤッホー! 俺様達の勝ち〜!」
バイスがまたバカみたいに騒いでるけど、まあオレも嬉しかった。
そりゃそうだろ? 誰一人欠けることなく、トップにたてたんだぜ? 普通嬉しいっしょ。
「ふむ、やはり君たちがトップか」
「え?」
勝利の余韻に浸っていると、背後から声が聞こえた。そこには髪をオールバックにした、眼鏡をかけた男が、悠然と立っていた。
だが驚いたのはそこではない。その男の片目は……深い青に染まっていた――
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