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戦場のローレライ  作者: ゆうき
三章 演習
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13話 演習開始

 翌日、オレ達は朝食を済ませると、島の訓練場に来ていた。今まで訓練していた広場みたいな場所ではなく、廃墟みたいな所だった。


 もしかしたらこの島はもともと町があって、戦争に巻き込まれて滅びたのか? それを企業が買い取って訓練に使ってるのか?


 ……覗きの話か? ……やめてくれ、思い出すだけで震えが止まらないから。マジで。


「揃ったな。今回の演習の説明するぞ。今回はお前達の他にも9小隊参加している」


「なら全部で10小隊いるのか」


「おうよ。その小隊でスコアアタックをするぞ」


 スコアアタック? いやよくわからないんだが? オレ以外もよくわからないのか、首を傾げていた。


「まあ聞け。まずこれを着けるんだ」


 そう言うとおっさんは手のひらサイズの機械を一人一個渡してきた。


「んでだ。今回の演習では特殊な兵器を使う。それだとケガをすることもないし、安全ってわけだ」


「いや痛いだろ普通!?」


「ところがどっこい、銃弾はゴム制だし、地雷なんかは振動と煙だけとかそんな具合だからな。それを受けるとその機械が音と振動を発する。喰らったら退場だからな」


 なるほどね。それでドンパチやって機械で判断するってわけか。


「あとバイス、ズルしても無駄だからな。中央モニターとか各地に設置してあるスピーカーで知らされるからな!」


「なっなんで俺特定なんだよ!?」


「だって……なぁ?」


 おっさんが意味深にオレ達をチラチラ見ている。それに反応するように、オレ、シュノ、ティルはウンウンと頷いていた(フィリィだけは苦笑いだが)。


「し、しどい……」


 あーあ泣き出した。ま、面倒だからスルーしようか。


「んで、相手を一回機械鳴らせば小隊に1ポイントってわけだ。最終的に一番な小隊には……なにかあるかもな!」


 曖昧!? あるのか無いのかはっきりしてほしいんですが! まあいっか。


「それより隊長」


「なんだティル?」


「このカプセルみたいのなに?」


 ティルがなにかカプセルみたいなのを指差しながら問いかける。


 確かに……なんなんだろなこれ? さっきから気になってたんだよな。


「これは『魔女』とのリンク距離を上げたりなんやらしてくれる優れものだ。まあ今はリンクの距離を上げるってだけを頭に入れときな」


 距離を広げるってことか? まあ戦場にティルが出ていくなんて、危なっかしくって気が気じゃないぜ。


「これに入るの?」


「ま、そうみたいだな」


 カプセルを見ていたと思ったら、チラッとオレの方を見るティル。


 その表情は少し不安そうだった。


 そんな不安そうな顔すんなよ……。


「大丈夫だって、な?」


「べっ別に分かってるわよ! 心配なんかされなくても大丈夫よ!」


 言葉では強気だけど、ティルはどこか安心したような、そんな表情を浮かべていた。


「さて、そろそろ時間だな。とあるお楽しみもあるから楽しみにしとけよ!」


 なんだよお楽しみって……おっさんの言うことだから、どうせろくでもないことなんだろうけどな。


「お前らなら大丈夫だ。さあ行ってこい!」


 おっさんの言葉を合図にするかのように、島中にサイレンの音が聞こえてきた。


 開戦の合図だ。


「さて、オレ達が前線だな」


「おっしゃ!」


「僕は射撃で援護するよ」


「わたしは前線には出れないから、物資調達するね」


 それぞれ役割を確認していく。オレとバイスが前線、シュノとフィリィが後衛って感じだな。さて、気合い入れますか!


「その……レグルス」


「なんだ?」


 戦場に行こうとすると、なんかモジモジしているティルに呼び止められた。


「その……えっと……」


「ん?」


「がっ頑張ってね……」


「………」


 思ってもみなかった激励の言葉に、オレはポカーンとしてしまった。


「そ、その! 私のランカーが弱いなんて私が恥ずかしいから頑張ってもらいたいだけなんだから! 勘違いしないでよね!」


 顔を赤くしながらプイっとそっぽ向いてしまった。やれやれ。


「おう、任せときな」


「え?」


 オレは笑顔を浮かべながら、ティルの頭をポンポンと軽く撫でてあげた。


 まあ顔を赤くしながら怒られたけど、満更でもなさそうに見えたのは気のせいかな?


「あっ」


「ん?」


「これするの忘れてて」


 ティルはポケットからシュシュを取り出すと、ストレートの綺麗な髪を、ポニーテールに纏めていた。


「わっ私の戦いのときのけじめにしようかなって……いけない!?」


「いや全然。似合ってるよ」


 と言うと、ティルは面白いぐらいに顔を赤くしていた。


「バカバカバカ! もう早く行きなさいよ!!」


 真っ赤な顔のティルに背中をグイグイ押されてしまった。


 まあみんなを待たせちまってたし、そろそろいきますか!


「もう……別に嬉しくなんか……ないんだから……」













 さてと、意気揚々と戦場に来たのはよかったけれど、敵小隊の居場所は分からないからなぁ……あまり迂闊には動けないよな。


「レグ、リンクはしなくていいのかい?」


 散策の途中でシュノに問いかけられた。


「心配しなくてももうしてるぜ。ほら」


 オレの目がシュノ見えるように顔を向けた。リンクしていれば、所謂オッドアイなるからだ。


 そうそう、何度もリンクの練習を重ねたから、持続性が上がったんだぜ。


「うっしゃあ! ガンガン行こうぜ!」


「ちょっと待ってバイス。まだ敵の場所が分からないのに迂闊な行動は厳禁だよ」


 どうやらシュノはオレと同じ考えだったみたいで、暴走(?)しているバイスを宥めていた。


「ならどうすんだよ?」


「ま、それはレグが決めるべきだよ。この小隊のリーダーだし」


 おいおい完全に丸投げじゃないか。なら……。


「まずはシュノが意見だせよ。参謀じゃないか」


「やれやれ、まあそうだよね。とりあえずは辺りに気を付けながら接近したほうが良いと思うよ。待ち伏せされたら格好の的だ」


「よし、それでいこう」


 特に訂正すべきところはなかったし、オレはそれでいいと判断した。


「よし……行こう」


 上手く廃墟の建物に隠れながら、オレ達は探索を続けていく。


 今のところはまだ他の小隊を確認できない。


(そっちは大丈夫?)


「うおっ!?」


「どうしたんだい?」


 急に頭の中に声が響いてきて驚いてしまった。


 ななななんだ今の!? オレの頭になにかいるのか!?


(なに驚いてるのよ。前に隊長に説明されたじゃない)


(ああ、そういやそうだったな。悪い悪い)


 そっか。意思通達が出来るってことはこういうことなんだな。


 まあ出来ないと本気でリンクするときにタイミングがわからなかったりするから、無いと困るよな……。


 あっこれはリンクの練習をしている時におっさんに教えられたことなんだけど、戦いの時に二人が離れてても、リンクしていれば意思通達が出来るようになるらしい。これでリンクを強くしたり弱めたりできるって寸法だ。


 まあ、お互いのリンクの強さが強くないと出来ないらしいがな。


「……見つかんねぇ! あぁぁぁイライラするぜぇ!」


「大声ださない。敵に居場所を知らせるようなことしてどうするの」


 ウガーと頭をかきむしるバイス。


 まあこいつの気持ちも分からなくもないんだけどな。


「まあ慎重に行こうぜ」


 ぷつっ。


「ぷつっ?」


 オレが一歩踏み出すと、何かが切れたような音が聞こえた。いや、マジでなんなんだ?


「!? 伏せてレグ!」


「ん? うおっ!?」


(レグルス!?)


 シュノに半ば促されるように、オレは咄嗟に地面にダイブした。そのオレの頭上を、ゴム制の銃弾が通りすぎていった。


 あっあぶね〜。今のトラップか?


「ブービートラップみたいだね。こういうのもあるってことか……」


「助かったぜ……危うくリタイアするとこだったわ」


(ちょっと、大丈夫!?)


(おう、大丈夫だ。心配するな)


 なるほどな……おっさんの言うところのお楽しみってこのことだろうか?


 まあティルに心配かけないようにしていかないとな。


「おっ?」


 バイスがなにかを見つけたのか、なんかアホっぽい声を出していた。


 まあアホなのは周知の事実なんだけどな。


「どうかしたか?」


 バイスの目線の先、そこには他の小隊が動いていた。俺たちと同様、辺りをキョロキョロしながら警戒している。


「こっちから見つけたのは大きいね。先手必勝だ」


「だな。よし、行くぜ!」

次は土曜の20時更新予定です

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