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戦場のローレライ  作者: ゆうき
二章 訓練
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Side Story  〜おいしいごはん〜

今回の話は、レグルスの代わりにご飯を買いに行ったティルの話です。今回みたいに、時々サイドを織り交ぜていきます。まあ基本的にサイドにシリアスは皆無ですが(笑)

 レグルス達と会ってしばらくしたある日、私はとあることで悩んでいた。


「……聞くの忘れたわ……」


 今日はレグルスが訓練で疲れたって言ってたから、私が代わりにごはんを買いに来た。


 企業を出るときに、色々説明するのが面倒だったけど、まあ今は関係ない。


 それでとりあえず商店街や市場が集まってる場所に来た。


 それはよかったんだけど、重大なことを忘れていた。


 レグルスが何が好きなのかわからない。


 それに食べられないものもわからない。もしかしたらなにかアレルギーとかもあるかもわからない。


 でも……私にはそんなの関係ないし! ただ私は自分のごはんのついでに、レグルスのも買いに来ただけなんだから! うん!


 ……そう考えたのはもう30分も前の話。


 私なにやってるのかしら……。


「あれ? ティル?」


 突然声をかけられて思わずビクッとしてしまった。


 声のするほうを見ると、そこにはフィリアの姿があった。


「なんだフィリアかぁ……ビックリしたぁ……」


「あっゴメンね。ティルがなんか困ってそうだったから」


「べっ別に困ってないわよ!」


「ふふっそう?」


 何故かクスクスと、口元に手をあてながら笑っているフィリア。


 もう、なんなのよ全く……。


「なっなによ?」


「ううん、ティルってほんと可愛いなって思って♪」


 可愛いって……もうなんなのよ全くもう! なんだか顔が熱くなっていくような感じがした。


「それで、一人でどうしたの? レグ君はどうしたの?」


 あっ、そっか。フィリアならレグルスがなにが好きかわかるわよね。フィリアに聞いてみましょ。


「――ってことがあってね」


「うんうん」


「それで、レグルスってなにが好きなのかなって」


「別になんでもいいんじゃない?」


 思ってもみない回答に、私は目を丸くしてしまった。


「え?」


「だってレグ君ならなんでもいいと思うわよ」


「だっ駄目よ! 疲れてるから栄養つけてもらいたいし、折角だから美味しいものを食べてもらいたいし……!」


「ふふっ、やっぱりティルは優しいね」


 またクスクス笑われちゃったわ……なんなのよ……。


「ゴメンね、ちょっとイジワルしちゃった」


「なんなのよもう……」


「ゴメンね。レグ君はナポリタンが好きよ」


 ナポリタンかぁ……私はあまり食べたことないけど、美味しいのかしら?


「材料なら市場にあるし、一緒に行く?」


「え、えっと……その……」


 材料、と言われて私は少し困ってしまった。


 実は料理なんて一度もしたことがないから、どうやったらいいかわからないのよね……。


「え、えっと、作ってる時間ないからなるべく出来てあるやつがいいんだけど!」


「そっか。なら商店街にあるかな」


 そう言うと、フィリアは私を商店街に連れてきてくれた。


「ここなら揃いそうね」


「そういうこと♪ ちょっと待っててね」


 フィリアは笑顔を一つ残すと、何件かのお店を回って戻ってきた。


「はい、こっちがナポリタンで、こっちがコンソメスープのもとだよ。スープの作り方は箱に書いてあるから多分大丈夫だよ」


 フィリアが持ってきた袋の中身を見ると、そこにはパックに詰められたナポリタンと、即席で作れるコンソメスープのもとが入っていた。


「えっと、ありがと……」


「ふふっどういたしまして」


 なぜかまたクスクス笑われてしまった。


 うーんなんで微笑ましそうに笑われるのかしら……?


「じゃあ私、急いで戻るわ」


「え? 残念、お茶でも一緒にしたかったのに……」


 お茶もいいんだけどね……でもレグルスおなか空かしてるだろうし、残念そうな顔をしているフィリアには悪いけど、早く戻ってあげないと……。


「レグルス、おなか空かしてると思うから……」


「えへへ、冗談だよ。早く戻ってあげて」


 笑顔で手を振りながら、フィリアはどこかに歩いていってしまった。


 今度機会があったらお茶するのもいいかも……。


「あっ早く戻らないと」


 私は買い物袋を落とさないように握りしめると、レグルスの待っている寮へと走り出した。















 寮のレグルスの部屋に戻ると、中に入って私は少し呆れてしまった。


「全く……やっぱ寝ちゃってるわね」


 まあ起きてる可能性の方が少ないわよね。


 あんなに頑張ってたんだもんね。


「用意出来たら起こしてあげようかな」


 私はそっとレグルスに毛布をかけると、お皿を食器棚から二枚取りだし、ナポリタンを盛り付けた。


 買ったばかりだからまだ温かい。


 後はコンソメスープのもとをお椀に入れて、ポットに入ってたお湯を注いだ。


 これでコンソメスープが出来るんだからほんと便利よね。


「あとはお箸とスプーンっと……あっナポリタンならフォークかな」


 フォークとスプーンも食器棚の引き出し部分から出して設置する。


 これで準備完了!


「さて、起こさないと……」


 ベッドで寝ているレグルスの方にいくと、レグルスは幸せそうに眠っていた。


 なんか……起こすのを躊躇うわね。


「ほら、起きてよ」


「ん〜……」


 試しに揺さぶってみるけど、少し反応しただけだった。


 もっと強くしたほうがいいかしら?


「起きなさいよ!」


「ん〜……」


 さっきよりも強く揺さぶってみたけれど、やっぱり少し反応するだけだった。全く気持ちよさそうに寝ちゃって……。


 ……そういえば、レグルスって私を初めて一人の女の子って見てくれたのよね……『魔女』って呪われた肩書きなんか無かったように。


「ほんと変なやつよね……」


 でも優しいっていうのは分かる。今までこんな人には会ったことない。ほんと変なやつよ……。


 そんなこと考えながら、レグルスの顔をボーッと見ていると、いつの間にかレグルスの顔がかなり間近になっていた。


 いっいいっいつの間にこんなに近くにいたの私!?


「っ!!?」


 気づくと、レグルスはいつの間にか目を覚ましていた。


 それに驚いた私は、反射的に飛び退いてしまった。


「あぁ、悪い。寝ちまってた」


「びっ……ビックリしたぁ……起きるなら起きるって言いなさいよ!」


 ほんとビックリした……まあそんなのは無理なのは分かってるけど、反射的にそう言っていた。


「んで、これなんの匂い?」


「え? ナポリタンよ」


 あっそうだった。レグルスを起こしに来たのよね。平常心平常心……ってなんで私こんなにドキドキしてるのよ!?


「オレナポリタン好きなの教えたっけ?」


 ギクッ。


「そっそうなの? ふっ、ふーんそうなんだ。多分たまたまよ!」


 フィリアに聞いたなんて今さら言えないし……なんとか話を反らさないと!


「ほら食べないの?」


「食べるよ」


 レグルスをベッドからテーブルに移動させると、私はレグルスの対面に座った。


「これティルが用意したのか?」


「え? その……」


 思わずしどろもどろになってしまった。


 うぅ、やっぱり手作りの方が嬉しいのかしら……。


「お、お店で売ってたから買ってきたの!」


 仕方がないから本当のことを話した。


 うぅ、なんか悔しい……やっぱり女の子は料理出来ないといけないのかな……?


「ほら、食べないの?」


「いや、食べるよ」


『いただきます』


 私達は仲良く合掌すると、食事を始めた。


 即席のものと市販のものだけだったのに、レグルスは終始ウマイって言いながら食べてくれた。


 ……やっぱりレグルスって優しいって改めて思った。


 ……ときどき顔が熱くなったような気がするんだけど、気のせいかしら……。

次は……二十日の水曜日の二十時に更新予定です

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