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戦場のローレライ  作者: ゆうき
二章 訓練
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10話 思いの力

 この光……多分リンクしたんだろう。これならいける! オレはそう判断し、おっさんへと接近していった。


「それだとさっきと同じだぜ!」


 おっさんは右手でオレの腹を殴ろうとする。


 なるほど、さっきは顔面に攻撃することに必死になって、下からの攻撃に目がいかなかったということか……だけど、今なら見える!


「よっと!」


「ほう……」


 体を半分体を反ることで、パンチを上手く回避出来た。


 さあて! こっからこっちからガンガンいくぞ!


「オラオラァ!」


 リンクしたおかげでパワーもスピードも上がったみたいだな。


 それを生かしてラッシュをかけていくが、良いようにいなされてしまっていた。


「レグルス、力に身を任せて攻撃するな。力を自分でコントロールするんだ」


「おうよ!」


 コントロールか。まだ難しいけど、なんとか上手くやるしかないよな!


「おしゃべりはここまでだ! オラァ!」


「ぐっ!」


 おっさんの拳がオレに襲いかかる。


 動きは見えたが、これは回避が間に合わないか……仕方ない、ガードするしかない。


「ん?」


 おお? ガードした腕の傷みがさっきと比べて天と地の差だぜ! リンクすると防御力も上がるということか?


「まだいくぞレグルス!」


「うおっ!?」


 近くに接近し過ぎたせいか、おっさんは簡単にオレを掴むと、さっきみたいにぶん投げられた。


 ちっこれはさっきやられたし、やられっぱなしになんかなるかよ! 咄嗟にオレは体制を整えると、上手く着地することが出来た。


「ほう、やるなレグルス!」


「まあな! ちょっと試してみるかな!」


 オレは勢いよく地面を踏むと、部屋に軽い地震が起こった。


 おもったより揺れないな……まだコントロールが出来ないってことか……まあいい、目的を果たせれば問題ないしな。


「おっと!」


 思わぬ揺れに、おっさんは揺れに気を取られていた。うっし、うまくいったぜ。


「今だ!」


 揺れに気を取られている間に、おっさんに接近した。


「うらっ!」


「ぐふっ!」


 オレの拳は、おっさんの腹部を捕らえた。よしっやっとまともな一撃が入ったぜ! まだまだ攻撃の手を緩めるわけにはいかないよな。


「そうこなくっちゃな!」


 決まったはずなのに、おっさんはうずくまるどころか、顔色一つ変えていなかった。


 やれやれ、ランカーでもないのになんちゅー頑丈さだっての。


「おらっ!」


「よっと」


 おっさんのパンチはオレの顔面を捕らえようとしたが、最小限顔を動かしただけでかわせた。


 もしかして……さっきの一撃が効いたのか?


「ほう……俺様も本気をだそうか!」


 そう言うと、おっさんは上から拳を殴り下ろした。


 避けることには避けられたが、拳がぶつかった地面は、おっさんの拳の形にめり込んでいた。


 なんちゅーパワーだよ……頑丈だけじゃないってことだな。


 どうすっかな……確かにリンクしてパワーアップに成功したけど、おっさんの戦闘力はかなりやべぇからなぁ。


「なにボーッとしてんだレグルス!」


「な〜におっさんをどう殴るか考えてたのさ!」


「へっ言うじゃねーか!」


 互いに接近すると、互いに右手で顔面を殴ろうとするが、互いに左手でガードしていた。


 なんじゃこりゃ、完全に思考が同じだったってわけかい。


「俺様と考えが同じたぁな。だけど……まだ甘いな!」


「ぐふっ……」


 完全に油断した。


 気づいたときには、おっさんの膝がオレの腹に突き刺さっていた。


「レグルス!」


 なんだかティルの声が遠く聞こえる……ヤバイ……意識も混濁する……くっしっかりしろオレ!


「あまり無理するなレグルス」


「へっ……いらぬ心配だぜ!」


 とは言ったものの、完全におっさんの方が戦闘慣れしてるしな……奇抜なアイディアが無けりゃ一撃は入らないよな。


 ……よし、試しにやってみますか!


「いくぜ!」


「来い!」


 おっさん目掛けてオレはダッシュする。


 この組み手でオレは、おっさんに、ある癖があるのに気がついた。


 おっさんはオレの攻撃を基本避けない。避けても体を反らすぐらいだ。


 そして下半身はどっしりと仁王立ちみたいに構えている。


 そこから繋がる答えはひとつ!


「うらぁぁぁ! っと」


「はぁ!?」


 顔面にいくと見せかけて、オレはおっさんの足の間をスライディングでするりと抜けた。


 へへっこれは予想外だろ!


 だけどこれだけで終わるつもりはないぜ。確かにおっさんの防御は厄介さ。


 だけどそれは正面からの話だ。


 いくら強くても後ろからの攻撃には意味を成さないだろ!?


「このぉ!」


「うっ!」


 振り返る勢いを使っておっさんの後頭部に裏拳をぶちこむ。っし! 手応えあり!


「まだまだ!」


「ふっ!」


 追撃しようと殴りかかるが、おっさんは既にこっちを向き直し、攻撃をガードしようとした。……いい感じ!


「っと」


「裏拳は驚いたが……甘いぞレグルス」


「甘いのはおっさんだぜ!」


「ぐほっ!?」


 顔面への攻撃だと思ったか? へへへっそれは布石ってやつさ!


 オレの膝が、苦悶そうな表情のおっさんの腹を捕らえていた。


 これぞ奇策からの攻撃、上手くいったぜ!


「これで終わり!」


 ビビーッ!!


「へ?」


 トドメの一撃! と思ったら、部屋の中に甲高い音が響き渡った。


 それに驚いたオレは、攻撃を止めてしまった。


 ?? なんの音なんだ?


「っと、タイムアップだな」


「え〜!? これからだったのに!」


 そういや時間制限があったんだよな……夢中で完全に忘れちまってたな……ぬおぉぉぉもうちょっとだったのに〜!!


 ってそういえばいつの間にか光が消えてるな……それと同時に疲労感に襲われた。


「なかなかの攻撃だったぞ! それにリンクのコツ、掴めたんじゃないか?」


「え?」


「なんだ分からなかったのか?」


 リンクのコツ……か。


 あの時……仲間のこと、そしてティルのことを強く思ったら出来たな……仲間を守りたいっていう強い思い……? それがリンクのコツなのか?


「なにか分かったみたいだな。後は訓練を積んで安定させるんだぞ! はっはっは!」


 そう言うと、おっさんは笑いながら部屋を出ていってしまった。


 それと入れ違いに、ティルがオレのところに走ってきた。


「レグルス!」


「よ、なんとかリンク出来たぜ」


「なによ、ちゃんと見てたわよ」


 なんかティルに少し呆れられてしまいました。


 まあそりゃそうだよな。


 あっそうだ。ティルに聞かなきゃいけないことがあったな。


「なあティル。オレがリンクしたとき、なにか思ったことないか?」


 そう、おっさんは『心の波長』を合わせるって言っていた。


 ってことは、なにかしらがきっかけで合わさったということだよな。


 オレは守りたいって強く思ったからだけど……ティルはなにかあったのか気になった。


「べっ別になにも思ってないわよ!」


 聞いただけなのに怒られた。なぜだ……。


(レグルスの力になりたいなんて思ったなんて口が裂けても言えないわよ……)


「どうした?」


「なんでもない!」


 なにが気に食わないのかよくわからんがまあいっか。


 おっさんがいないと訓練出来ないし、とりあえず休憩するか。


「少し休憩するか」


「そうね。あっジュース買ってきてあるわよ」


「サンキュー」


 おっさんが帰ってくるまで、オレとティルは仲良く休憩した――












「やれやれ……あの一撃は効いたな……レグルス、か。こりゃ金の卵だな……」












 あれから約十分後、おっさんが戻ってきた。ったく、どこ行ってたんだ?


「おっさんどこ行ってたんだ? 待ちくたびれたぜ」


「隊長様にはいろんな仕事があるんだ」


 自分で様をつけるな様を。


 てかおっさんって要所要所でバイスに似ている部分があるよな。


 まあ言ったら言ったでおっさんに怒られそうだから言わないけどな。


「おいレグルス? なにか大変失礼なことを考えてないか? んん?」


「ま、まっさか〜アハハハ!」


 なんだ? おっさんはエスパーなのか? 思考が読まれたぞ!? 思わずバレバレな誤魔化しかたしちまったぞ!


「まあいい……とりあえずお前には説明しておくことがある」


「なんだ?」


「ランカーの相性についてだ」


 ランカーの相性? ランカーにも相性なんてあるんだな。


「ランカーには三つの種類がある。身体能力を飛躍的に上げる身体強化。武器を出現させて戦う武器具現。様々な能力を発現させる特殊能力型。この三つがある」


 へ〜ランカーにもいろんなのがあるんだな。


「まあお前はまだ完全にリンクしてないからどんなのかはわからないがな。とりあえずじゃんけんみたいな感じだな」


「じゃんけん?」


「おう。身体強化は特殊能力に強く、特殊能力は武器具現に強く、武器具現は身体強化に強いって感じだ」


 なるほどなるほど。まあオレがどんなのかはわからないし、まだ頭の片隅に置いておくぐらいでよさそうだな。


「まあとりあえず頭に入れときな。今日はもう終わりだから部屋に戻りな」


 と言うと、おっさんはまたどこかに行ってしまった。


 せっかく待ってたのに今日は終わりかよ。まあリンクしたせいでかなり疲れたし、ありがたいと言えばありがたい。


「さて……戻るかな」


「レグルス」


「ん?」


 オレが歩き出そうとすると、ティルが呼び止めた。どうかしたのか?


「その……今日は部屋に一人で戻れる?」


 まあ……多分大丈夫だと信じたいけどな。


 てかなんかティルがモジモジしているような……ツンツンしたいつものギャップが結構あるけど、やっぱ可愛い。


「まあ多分な」


「そう……」


 何故か顔を俯かさせてしまった。ん〜なにかがっかりさせるようなこと言ったか?


「まあ飯作る余裕は無いしな……一緒にどっか食いに行くか?」


「え?」


 はとが豆鉄砲喰らったような顔をするティル。


 いや、まあ嫌なら一人寂しく食うけどな。


「しょっ、しょうがないわね。一緒に行ってあげるわよ」


 凄い嬉しそうな表情しちゃって……なんか台詞と表情が合ってないような……相変わらずよくわからないなぁティルは。


 とりあえずそう決めたオレ達は、食事をしに町へと繰り出していった。













 あれからまた数週間後、やたら朝早くに、オレ達はひさしぶりに全員寮のラウンジに集合していた。前日におっさんに呼び出されたからだ。


「なんか久しぶりに揃ったな」


 思わずオレはそう口にしていた。


 集まってすぐに聞いたんだけど、シュノはあのドームの別の部屋で射撃訓練や、戦術の勉強。バイスは主に爆弾処理。フィリィは医療の知識や実践訓練していたみたいだ。みんな頑張ってたみたいだ。


「よ〜集まったな」


「突然なんなんだ?」


「ああ。今日は……遠征演習だ!」

次は18日月曜、22時に予約入れました〜

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