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ギルドで待つものたち

ワーウルフに襲われてからギナンの治療のためにと一日半かかる道のりを一日で終わらせて朝には目的の町にたどり着いた。

この町にはギナンの持つ家もあり、罹りつけの治療院へと急がせた。チノは荷物の捌きと商売のほうにつきっきりである。

というのもフォンが、心配だろうけどギナンにかかりっきりというのは後の商売に関わるからいつも通りにしたほうがいいと言ったのだ。

後ろ髪をひかれる思いだっただろうがそこは分別してもらっていってもらった。

待っている間に街を見て周ると告げると地図と着替えを渡された。地図はこの町の見取り図。服は獣の皮の服で町を歩かせるわけにはいかないというチノの親切だ。

それと、夜になったら家に戻ってくるようにとも言われた。つまり今夜の宿はうちで、という事だ。

ずっと森の中で暮らしてきた身としてはフォンにとって寝床は何処でもよかったのだが、折角の有難い申し出を受けて町へと繰り出す。

その際、生きていくならギルドの恩恵を受けておいたほうが楽になると言うことでギルドにも顔を出してみることに決めた。


「しかし、ワーウルフも結構弱かったな。あれなら森の中にいた魔物のほうが余程強かった」


街路を歩きながら一昨日に戦った相手が棍棒を持ったワーウルフだった。ナイフで急所となる脇腹と首を斬って倒した。特にそんなに苦労も無かったが背中を少し削られた程度だった。

普通にいるのがあの程度なら森の中で狩ってた奴らのほうが張り合いがあった。毎日のように命の遣り取りをしていたのだ。

ただ、強奪しようとしているだけならそれも当然である。


「チノが色々教えてはくれたけどまだまだだなあ。そこらへんは仕方ないか……」


今居る町は国の中では大きめで、街と言ったほうがあっているかも知れない。聞けばここは中心王都グランヴィジアの南方に位置する町で、統治している貴族も住んでいるという。

街の上のほうは区画毎に階段状に徐々に高くなっていき、上のほうにいけば行くほど上層貴族が居る。

中心部に行けば行くほど富裕層に対して、外側は何処まで行っても貧困層だ。と言ってもギルドが生活の保護をしているのでスラムという程ではないらしい。

諸雑貨店やギルドは下層部に位置し、二十四時間営業を貫いている。地図を片手にフォンは今、下層部を歩いている。

街を四分割する大きな路地を一番外側の壁から真っ直ぐだ。地図を見ればいくつかに×印がついている。主要な店がチェックされている。

武器屋・道具屋・雑貨屋・ギルド。そして地図の右上には街の名前だろう。やっと覚えた文字が使われていて、「ミハの町」と書かれていた。


何をするにもギルドに登録しておいたほうが良いとの助言を受けていたのでまずはギルドに行ってみることに。

地図と実際の景色を交互に見てギルドを探し出す。幾度か人とすれ違いながらもはじめての町、ギナンとチノ以外の、親以外の人との距離に若干の戸惑いを持ちながらも少しの時間を掛けてギルドへと到着した。

目の前にある大きな建物。石を積んだような、しかし立派な建物だ。建物の中からは喧騒が聞こえてくる。


「ここか。結構でかいな」


ギルドの入り口に扉は無い。扉を作っても屈強な戦士や、血の気の多いのが壊してしまう為、何度作ってもきりが無いのだ。なのでギルドは基本的にオープン状態で開業している。

ギルドへと入る。すると、中にいた数人がフォンへと視線を向ける。明らかに値踏みの視線だ。しかしフォンはそんな事も気にせずに一瞥してからカウンターへと向かった。

カウンターの向こう側には横に三人の女性が並んで座っている。受付嬢だろう。チノやギナンとは違う、耳の長い人──エルフ──だ。

その中でも誰も並んでいないところに言って用件を言う。


「いらっしゃいませ。当ギルドへようこそ。ご用件をどうぞ」

「ギルドの登録がしたいんだけど」

「お客様、ギルドは初めてのようですね。説明を致しますので登録用紙にご記入ください」

「ん」


差し出された用紙に備え付けのペンで簡単に記帳する。名前・性別・種族・出身・使用武器・使用魔法【あれば】。簡素的だがその位しか書く事が無かった。


「ギルドはランク制度になっております。Fランクから始まりSランクまで。とはいえSランクになるのは容易ではありませんが。戦闘行為が含まれる依頼はDランクからになります。それまでは雑事の依頼しか受けられません。また、自己ランク以上のものも受けられません」


ギルドのランク制を聞きながら登録用紙を書く。名前と性別はすぐわかるが種族というと外にいた亜人とかとの区別か。それにフォンは生まれて一度も魔法を使ったことがない。

あとは出身だが、フォンの生まれ故郷のことなど親は教えてくれなかった。だからあの森がきっと出身になるのだろう。

あの森がどんな名前で何処にあるかはいまいち理解できていないので、不明、と書いておく。


・名前:フォン

・性別:男

・種族:人

・出身:不明

・使用武器:ナイフ等

・使用魔法:なし


「Sランクですが、これは国に仕える意味でも世界に四人しか居りません事は周知の事実ですが、皆様Sランク目指してがんばっております。お客様もご自愛されながら目標にしてみてください」


受付嬢が話し終えるのと同時に登録用紙を書き終える。紙とペンを突き出して渡す。受付嬢は用紙を受け取ると申請の準備に入る。


「お客様……フォン様は新規と言う事でFランクからのスタートとなりますね。それでは少しのお時間の後にギルドカードの譲渡となりますのでギルド内にてお待ち下さい」


受付嬢のゆっくりとした礼をされてフォンはカウンターから離れた。軽く見渡すとベンチやカフェスペース。壁に棚や依頼板などがあり、活気に溢れている。

始まりはFランクからと言っていたしどんな仕事があるのか興味も出たのか足は自然に見つけた依頼の貼ってある板へと向かう。

人が壁と半円になるように賑やかな一角に依頼の貼られている板はあった。まるで掲示板か何かだ。ランクごとに色分けされた区分で大きな板に貼られている。

人垣を抜けるように前へと出ると端から端まで流し見する。

ぱっと見た感じだが依頼はこんな感じだ。


□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

Fランク──ドブ掃除・逃げたペットの捜索・薬草摘み・多忙な店の手伝い。外壁の補強作業等

Eランク──食料品店へ町の近くに生息している動物の確保および捌き。剣錬場の子供への剣技講習等  

Dランク──小型の魔物や害獣の駆除等

Cランク──中型魔物の駆除・討伐。依頼者の護衛等

Bランク──大型の魔物の討伐。大量数の群れの巣の駆除等 

Aランク──魔物侵攻時による大量討伐。巨獣の討伐等 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


受付嬢が言っていたSランクの依頼が見当たらないが、世界で四人しかいないのではギルドに出してても仕方無いのだろう。

ランクが高くなれば報酬も高く設定されている。


「お前、今度はどうするんだ?そろそろ目標の金額にいくんじゃないか?」

「おうよ。あと一回位高めにいけばやっと念願の金額に届くんだ。俺、帰ったら家を買って彼女にプロポーズするんだ」

「あ、お、おう。気をつけろよ?」

「おうよ。だからよく選ばないとな……よし、これに決めたぜ!」


依頼板を眺めていると他の冒険者が近くで会話している。これから依頼を請けていくのだろう。準備万端整った。という格好だ。依頼の書かれている紙にある数字を覚えて、隣の棚に備えてある、糸で封されて纏められている紙束から同じ数字の控えを抜き取る。依頼の請け方を横目で見ながら彼らの行動をチェックして今後の動き方を覚える。

紙を持ってカウンターに向かい、受付嬢と幾度か会話してから正式な依頼紙を受け取ってギルドを出て行った。

依頼の仕方は覚えた。あとはどれだけ続けていられるか、になる。命を賭ける職業だ。生半可な気持ちではすぐに命を落とすだろう。


「やってみなくちゃわからない、よな」


大きく息をついてから依頼板を見る。ここにあるもの全てをやってもいいのに、という考えが膨れ上がるが、まずは順番だ。馬車の中でチノに教わりもした。物事は順序良く、と。全てを順番にこなしていけばいい、と。


「んん~?なんだかクセェなぁー?ゴミみてぇに腐ったニオイがプンプンするぜぇー?」


割と近くで聞こえた声に振り向く。そこには大きな体躯の男が立っていた。フォンよりも二周りは大きい。筋肉でコ-ティングされた体は明らかに冒険者、戦士という風貌だ。ただ、残念なのは熊か何かの毛皮だろう。上着はソレをジャケットとして着ているのみで、ほぼ裸身をさらけ出してるようなものだった。背中に男の身の丈程の斧を背負い、バランスをとる為にやや重心を前にして猫背。髭を蓄えた顔は口端を大きくあげて笑っている。


「まるでドブからあがってきたようなクセェニオイだ。こいつぁ何処から臭ってんだぁ~?ん~?」


明らかに大男はフォンに絡もうとしていた。周りの冒険者は見てみぬ振りだ。中にはクスクス笑っているのもいる。「またやってるぜあいつ」とか小声で聞こえてくるあたり、常習なのだろう。それがいつも新人に向けられてるのかどうかは与り知らない所ではあるが。


「そうだ、お前だ。お前がくせえんだ。このゴミくずみてぇなヒヨッコがくせぇ大元だぜぇー!」


まるで舞台の演技のようにオーバーなアクションで大男をフォンを指す。対して頭の位置が少し高いので見上げる形になるが値踏みすれば外の魔物や動物よりも弱そうだ。

しかしこういうのは何処にでもいるものだ。


「何よりも腰にあるのはナイフってか。ここは子供の来るところじゃねぇーんだよ!帰ってママのおっぱいでもしゃぶってろや!ギャハハハハハハハハ!!!!」

「おいおい、ザナーハ。シーフや暗殺者ならナイフも当然だぜ?お前その体で避けれないだろうに」

「おぉ?そういやそうだな。まぁこいつがシーフだっていうなら他のシーフもたいしたことねぇって!」


大男……ザナーハと壁際にあるベンチに座っていた外套姿の男に呼ばれていた彼の挑発に周りから大きな笑いが沸いた。フォンとしてはどうでもよさそうに大男を見ているだけ。


「おいおいなんだぁその目は?もしかしてやっちゃう?やっちゃうかコラ?ボクチャンオコッチャイマチタノ~、ってか?ガキがうぜぇんだよ。こっちは命のやりとりやってるんだ。遊びならどっか他にいけよ」

「そうも行かない。ギルドの恩恵があれば楽に暮らせるって聞いたんでね」

「おうよ。ギルドに入れば色々な店で割引が利くからな。それだけ狙ってくるやつが最近は多いんだ。だからこうやってそういう奴を見つけて帰っていただくのさ。ご理解してもらったうえで、なぁ?」


ザナーハが右の拳を作り上げるとフォンの顔の半分以上の大きさになった。拳タコが確りと硬く出来上がってる。何度もこんな事をしてるんだと容易にわからせているのだ。

つまりはこうだ。


「痛い目見ないうちに帰れ」


彼はこう言っているのだが、フォンとしては此処で下がるのは気に入らないのか、少しだけ無表情だった顔が眉間に皺を寄せて睨み付ける。


「お?お?やんのか?痛い目にあってからじゃ遅いってのに……もう戻れないぞクソガキ様よぉ?俺のランク聞いてクソ漏らすんじゃねぇぞ?いいか俺はなぁ」

「いいから言えよ。長ったらしい」

「……いい度胸だ。いいか、俺はDランクの冒険者だ!魔物ももう四匹狩ってるんだぜ!」


ザナーハの申告により周りがどよめく。「もうDランクなのか」とか「魔物四匹だって?すげぇな」等だ。周りのざわめきを纏めると彼、ザナーハは前まではEランクだった。そして、魔物四匹は驚嘆に値する数字と言う事だ。


「ザナーハ、あんまり弱いものいじめはするなよ?帰れなくなっちまう」

「ヒャハハ、そうだな。ということでとっとと帰っておねんねしてな」


ザナーハが手を伸ばすとフォンの首を掴もうとする。その動きは避けると言う事をしないだろうと推測した先での事で酷く緩慢だ。


「このまま外まで運んでやるよ──ぉ?」


首を掴んだままで外に連れて行こうとしたところで彼は違和感を感じる。いくら引っ張ろうとも動かないのだ。ザナーハは一瞬だがおかしな顔をして今度を押し込んでみる。

だが、それもフォンにとっては何も意味の無いことだった。まったく動かないのだ。


「おぅいザナーハ。もういい加減飽きてきたぞ?とっとと終わらせちまえよ。職員が見てるぜ?」

「そうだぜー?その坊主にいい場面つくろうなんて思ってんなよ?ザナーハの癖に」

「お、おぅ……わかってんよ。ふんぬ!……ぬぐぁあ!」


ポケットに手を入れたままザナーハの思うがままにされているが何も動きが無いので周りの冒険者たちが野次を飛ばしてくる。受付に座ってる職員もソレを見てまたか、と溜息を漏らしつつそろそろ注意をしようかと動くところだ。だがしかしザナーハの行動は周囲にとっても驚きの顔を出すに十分だった。

おそらくこのギルドでも力だけでは上位に立つであろう丸太のようなザナーハの腕だ。その手で掴まれた首など簡単に折れてしまうだろう細身の少年に対してザナーハが遊んでいるようにも最早見えない。掴んで運ぶ、それだけのことがどうやっても動かすことの出来ないザナーハが痺れを切らしてフォンの首から手を離す。


「コンチクショォー!!なんなんだよお前はぁー!」


強く強く握られたザナーハの右拳が天高く掲げられた。腕の筋肉が蠢動する音すら喧騒よりも大きく聞こえる程だ。全力で以って一気にフォンの顔面へと振り下ろすがドンも黙ってソレを食らうほどの愚かではなかった。いや、ザナーハの大きな拳を喰らえば確かなダメージをもらうのは明確だった。振り下ろされる拳がザナーハの頭ほどの高さを越えた時、それまで微動だにしなかったフォンが動き出す。右腕を掻い潜りながら脇腹を通り背後に回ったのだ。しかも、振り下ろす拳より若干速めに。

行き場所をなくした拳はそのまま床まで届き途轍もなく大きな音を出して床を穿ってしまう。


「な、なんだぁっ!?あのガキどこにいったぁっ!?」

「ザナーハ、後ろだ!」

「っ!?」


咄嗟に聞こえた声に床に刺さった拳を抜いてその勢いですぐに振り向く。横に薙ごうと腕を振り回そうとしたが、勢いが乗る前に肘に手を添えられて停止させられた。

しかし勢いを全て殺せたわけではなく、多少押し込まれて体の軸をずらされる。


「ギルド内ではお静かに願います。ギルド内ではお静かに──」


大男を屈ませて腕を抑えている細身の少年を停止させるべく遂に職員が制止の声をかける。しかしその程度で止まる男では冒険者じゃない。抑えられていた右腕を下げて床に手を突いて軸として身を反転させる。その軽業に冒険者たちから囃し立てが起こる。


「まだやるのか?」

「当然だろ。ここまで虚仮にされて引き下がれるかっ!」


そう言われて肩を竦めてザナーハの目を見る。まだ彼の目にはやる気が灯っている。フォンも本気で相手をしようと無手で構えを取る。

狩りの中で武器をなくした場合にという名目で教わった無手闘技の構えだが左半身を前に出して腰を低くおろす。

ザナーハもその身の割りに小さくコンパクトに構える。


「へへっ、実は俺ぁこっちのほうが得意でな。既に何人も治療院送りにしてるんだ。謝るなら今のうちだぜ?」

「あんまり喋るなよ。程度が知れるぜ?」

「こっ、こんガキがぁ!やさしくしてりゃいい気になりゃーがってぇ!」


フォンの挑発にザナーハが乗る。なんとも見た目以上に脳筋なのだろうか。茹蛸のように頭を真っ赤にして突っ込んでくる。得意だという割には短絡思考のようで折角のコンパクトな構えが無意味になっている。しかし足の動きなどは基本が出来てるようで大股になっておらずに細かくステップを踏んでくる。

左右とワンツーからのブロー。まるでどこぞの格闘技のように動く。予想もしていなかった大男の動きに翻弄されるフォンは防御に徹するしかなかった。ワンツーは不慣れなステップで掠りながらも回避したがザナーハの大きな拳でのブローを直撃しようもならきっと吹き飛ぶ所じゃない。脇を絞めて右腕を下げて防御するが衝撃が突き抜ける。

ザナーハの体重の半分も無いフォンではその一撃を耐えられる筈も無く浮き上げられて体をブれさせられた。


「ヒャッハー!こいつでとどめだ、超パンチぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!」


今ここぞとザナーハが一気に踏み込んで至近距離へと入ってくる。体勢もまだ直せていない状態では次の攻撃も喰らってしまうというのが周りの意見だった。

何よりもザナーハには魔物4匹を倒したという実績が周囲の冒険者達の確信も生み出す。対する細身の少年は今日始めて此処に来た新人だ。そんな少年がザナーハに適うわけが無い。


「ふんぬううううううううううううううううううううううう!!!!!!!」


腰を落として一気に打ち放つ拳。無手での基本が出来ている為に基本技でも殺傷能力が生まれるのだ。まるで空気を圧縮するかのような勢いで放たれた拳はフォンの体の中心を捕らえて薄い胸板へ直撃した。

ザナーハの足元には踏ん張りが利かなくなったためか床板数枚が割れてしまい、埃が巻き上がってしまって二人を隠し包んでしまった。


「な、なんだ!?どうなったんだ?!」

「や、やったか!?治療師を呼んでおけ!大変なことになってるかもしれん!」


まさかの緊急事態に周りが慌てる。騒ぎのメインとなっていた二人が埃の中で見えないのが困惑を招いている。

周囲の冒険者も流石に手を出し始めて埃を払って二人を救助しようと動き出す。もしかしたら床が抜けて堕ちているかもしれないという考えも過ぎりながら数人が今まで戦闘行為を行っていた周りに集まってくる。

冒険者達の働きで徐々に埃が無くなっていってザナーハとフォンの姿が見え出してくる。


「よし!二人はまだそこに居るぞ!もうちょっとだ!」

「おう!いまどかすからな!」


しかしそこには冒険者全員の予想を遥かに超えていた二人が立っていた。ザナーハが突き出した拳のままで動かない。フォンはその場におらず、ザナーハの背後で喉元にいつの間にか抜かれてたナイフの峰を宛がっていたのだ。

これには救助にあたっていた近くの冒険者たちに幾度目かの驚きを見せつけいた。


「アンタが馬鹿にしたナイフでもこのままざっくりいくだろうよ?どうする?」

「…………ちくしょう。俺の負けだ」


伸ばされた腕から力が抜けて降ろされた。ザナーハはギルド職員に取り押さえられて常習と言うこともあり厳重注意を受けに移動させられていく。

フォンは巻き込まれた新人という事で軽い注意と警告を受けるだけでその場は収まった。


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