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冥界の守人  作者: 涼雅
1/3

プロローグ

初めての連載物です。

頑張って完結させますので、宜しくお願い致します。


 人が踏み入ることの出来ない、静かな森の奥深く。

 そこから、更に進んだその先に、一年中枯れる事のない薄紅(うすべに)色の花を満開にさせた大樹が一本、清んだ泉の畔に鎮座している。

 その大樹の根元に一頭の白い大きな虎が眼を閉じ、ゆったりと寝そべっていた。

 虎の頭上で、はらり、はらりと二枚(ふたひら)の花弁が舞った。


「……時は…満ちた、か…」


 虎は花弁が目前に迫ると、ゆっくりとその眼を開き、低い声でそっと呟いた。

 虎の吐息で花弁は更に舞い、泉に落ちると小さな波紋が二つ広がった。


「さて、今生(こんじょう)では…どうなるものかのぅ…」


 呟く虎の背後で、一際(ひときわ)(くれない)色が濃い大輪の花が一輪、ポタリと花首から落ち、地面に落ちる寸前、虎は大きく尻尾を揺らして、その花を泉とは反対方向に弾いた。

 すると、ボッと音を立てて濃い(くれない)の花は燃え上がり、跡形もなく消え去った。


此度(こたび)は上手くいくと良いのだがのぅ…」


 虎は泉に浮かぶ二枚(ふたひら)の花弁を見つめながら、そっと呟いた。それと同時に、泉がぱぁっと白く輝き、辺りを光で埋め尽くした。


「まぁ…こんなものかのぅ」


 光が収まると、泉の畔の大樹の下には白髪のがっしりとした体格の若い男が、鏡のような水面(みなも)を大樹に背を預けながら、じっと眺めていた。


 二枚(ふたひら)の花弁は、いつの間にか水面(みなも)から消えていた。

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