第1章:才能の開花
大柄の女が珍しい武器を使って一人で狩りをしている。
フォレストウルフの群れを槍に似た武器で薙ぎ払っている。
いや槍じゃない先端に斧のようなものが付いている。
ハルバートだ。斧槍と呼ばれるその武器は扱いが難しい。
長くて重い。先端に重い斧が付いているから重心が取りにくい。
大男でも取り扱いが難しいハルバートをその女は見事に使いこなしていた。
10匹ほどのフォレストウルフを片付けた女はハルバートを足元に置いて短剣を取り出す。
手慣れた手つきでフォレストウルフの皮を剥いでいく。
全てのフォレストウルフの皮を剥いだ後は肉を解体して魔石を取り出す。
魔石を取った後は肉と骨を取り分ける。小一時間程で全ての解体が終わった。
「さすがに肉は多すぎて持って帰れないな。1匹だけにするか」
1匹とはいえ100kgはある。背嚢に切り分けた肉をしまい、皮をしまっていく。
全てのさふぃょうを終えたとき、血の匂いを察知した魔物の気配がした。
「まずいな。数が多い」足元に置いてあったハルバートを持ち直してその場から離れる。
魔物が一斉に襲い掛かってきた。ホーンベアだ5体いる。ハルバートで1体を薙ぎ払って片付けると3体が一斉に襲い掛かってきた。大きな腕で薙ぎ払われて女は吹っ飛ばされた。
ホーンベアは5m位ある魔物だ。1体の体重はおそらく1トンを超えるだろう。人間の力じゃどうしても敵わない。皮鎧が裂けていた。腕の骨も折れたようだ。
さらにホーンベアは追撃してくる。右手で1体のホーンベアの頭を突く。即死のようだが残り3体いる。また腕を振るってきた。飛ばされる。
ホーンベアの一撃で吹き飛ばされ、腕の骨が折れた激痛が全身を駆け巡る。 ぐしゃり、という嫌な音が耳の奥で響いた。だらりと垂れ下がったのは左腕だ。 視界が火花を散らし、肺から空気が押し出される。 「がはっ……、あ、あぁ……ッ!」 冷や汗が吹き出し、指先一つ動かすだけで意識が飛びそうになるが、ホーンベアは待ってくれない。 残り3体。逃げ場のない包囲網が狭まる。
彼女は震える右手で、地面に転がったハルバートの柄を掴んだ。 本来、両手で重心を制御しなければまともに振ることすらできない業物だ。 しかし、彼女は折れた左腕を無理やり革鎧の合わせ目にねじ込み、固定した。 激痛に歯を食いしばり、口の中に血の味が広がる。
「……なめるんじゃないよ……っ!」
右手の握力だけで、重い斧頭を泥の中から引きずり上げる。 巨体のホーンベアが咆哮を上げ、丸太のような腕を振り下ろしてきた。 まともに受ければ次は肉塊になる。 彼女はハルバートを振り回すのではなく、その重さを利用して地面に突き立てた。 石突きを深く土に食い込ませ、自身を軸にしてベアの一撃を紙一重でかわす。
空振りしたベアの腕が地面を爆砕する間に、彼女はハルバートの柄を脇に抱え込んだ。 「死ねぇッ!」 テコの原理と全身のバネを使い、右手一本で斧刃を跳ね上げる。 重力と斧の自重を乗せた一撃が、一番近くにいたホーンベアの下顎から脳天へと突き刺さった。
一匹が沈む。だが、まだ2体。 彼女は獲物を引き抜くと、返り血を浴びながら、次の獲物を睨みつけた。
「ファイアバレット」どこからか声がした。 ホーンベアの顔が半分くらい吹き飛んでいる。 残り1体 「ストーンバレット」また声がした。誰かが魔法で助けてくれたようだ。残った1体も頭が半分くらい無くなっている。
彼女は荒い呼吸を繰り返しながら、返り血で汚れた顔を上げた。 視界の端で、さっきまで圧倒的な脅威だったホーンベアの巨体が、糸の切れた人形のように崩れ落ちる。顔面が魔法の礫で無残に破壊され、痙攣することさえ許されずに絶命していた。
「助かったのか……?」
ハルバートを支えに、なんとか膝をつかずに踏みとどまる。 折れた左腕の拍動が、心臓の音に合わせてズキズキと激痛を伝えてくる。アドレナリンが引き始め、急激に冷えていく体温を感じながら、彼女は声のした方へ鋭い視線を向けた。
この深い森の中、一人でフォレストウルフの群れを狩っていた彼女の前に、音もなく現れた「魔法使い」。 ホーンベアを一撃で屠る火力を持ち、的確に急所を撃ち抜くその腕前は、並の冒険者ではない。
森の影から、ゆっくりと人影が姿を現す。 彼女は右手でハルバートの柄を握り直したが、相手が敵意を持っていないことを祈るしかなかった。今の彼女には、もう一度得物を振り回す余力など残っていないのだから。
「あんた……誰だい……?」
掠れた声で彼女が問いかけたとき、木々の間から歩み寄ってきた人物の姿が露わになった。
木々の隙間から姿を現したのは、この血生臭い戦場には似つかわしくない、若い小柄な男だった。 身なりは整っているが、重い鎧を纏っているわけではない。その手には杖らしきものも見当たらず、今しがた強力な魔法を放ったとは思えないほど涼しげな顔をしていた。
「大丈夫ですか? 腕、ひどい怪我のようですが」
男は怯える様子もなく、横たわるホーンベアの巨体を避けて彼女の方へと歩み寄ってくる。
彼女はハルバートを杖代わりに立ち尽くしたまま、男をまじまじと見つめた。自分のような大柄な女とは対照的な、細身で小柄な体躯。しかし、その瞳には底知れない落ち着きがある。
「……ああ、助かったよ。あんたがやったのか? 今の魔法」
彼女が問いかけると、男は短く「ええ、少しばかり」と答えた。 ホーンベア5体を一人で相手にしていた自分と、そのうちの2体を一瞬で片付けた目の前の少年。その実力差を理解した彼女は、ようやく右手から力を抜き、ハルバートを地面に横たえた。
左腕の痛みが再び激しさを増す。彼女の顔から血の気が引いていくのを見て、男はさらに一歩近づいた。
「動かないでください。すぐに処置をします」
「ヒールバレット」
男が短く唱えると、その指先から柔らかな光の弾丸が放たれた。それは攻撃魔法のような鋭さではなく、包み込むような温かさを持って彼女の左腕に吸い込まれる。
「っ……!?」
衝撃に身構えた彼女だったが、直後に訪れたのは驚くべき感覚だった。 皮膚の下で砕けた骨がひとりでに動き、正しい位置へと収まっていく。引き裂かれた筋肉が熱を持ち、猛烈な勢いで再生していくのが分かった。
数秒前まで意識を飛ばしそうになっていた激痛が、嘘のように引いていく。 彼女は恐る恐る左腕を動かしてみた。革鎧は裂けたままだが、その下の肌には傷跡ひとつ残っておらず、骨もしっかりと繋がっている。
「……治っちまった。なんだい、今の魔法は。聞いたこともないよ」
彼女は自分の腕を掴み、何度も握ったり開いたりして確かめた。 通常、治癒魔法といえば聖職者がじっくりと時間をかけて祈りを捧げるものだ。それを弾丸のように放ち、一瞬で重傷を治すなど常識では考えられない。
男は相変わらず涼しい顔で、彼女の驚きを気にする風でもなく言った。 「動くようになったのなら良かったです。まだ少し違和感があるかもしれませんが、すぐに馴染むはずですよ」
彼女は目の前の小柄な男を改めて凝視した。 ホーンベアの頭を吹き飛ばす破壊力と、粉砕骨折を一瞬で繋ぐ治癒力。そのどちらもが、彼女の知る「魔法使い」の範疇を遥かに超えていた。
「あんた……ただの通りすがりじゃないね。一体何者だい?」
男は少し困ったような笑みを浮かべ、地面に転がっているフォレストウルフやホーンベアの山に視線を向けた。
「何者、と言われると困りますが……ただの旅の者ですよ。それより、これだけの獲物を放置しておくのはもったいないですね。血の匂いに誘われて、また別の魔物が来るかもしれません」
彼女はフンと鼻を鳴らし、完全に動くようになった左腕でハルバートを拾い上げた。
「旅の者、ね。まあ、深くは聞かないでおいてやるよ。命の恩人だからね。……私はソフィアだ。見ての通り、この辺りで狩りをして食い繋いでる」
ソフィアと名乗った彼女は、足元に転がっているホーンベアの巨体を見下ろした。1トンを超える獲物が5体。自分一人では1匹を持ち帰るのが精一杯だったが、この魔法使いが協力するなら話は別だ。
「おい、あんた。これだけの獲物だ、山分けにしないかい? ホーンベアの素材は高く売れる。あんたの魔法があれば、街まで運ぶのも容易いだろう?」
男は地面の死骸を見つめ、顎に手を当てて考え込んだ。
「山分け、ですか。そうですね……。では、僕は魔石と、少しばかりの肉をいただければ十分です。皮や骨などの重い素材はソフィアさんが持っていってください」
「はあ? 正気かい。一番金になるのは皮と胆嚢だよ。それに、これだけの量をどうやって運ぶつもりだい。背嚢一つじゃ入りきらないよ」
ソフィアが呆れたように言うと、男は「ああ、それなら」と事も無げに手をかざした。
「収納魔法」
男が唱えた瞬間、目の前にあった巨大なホーンベアの死骸が、吸い込まれるように空間の歪みへと消えていった。一体、二体と、次々に消えていく。
ソフィアは目を見開いたまま、開いた口が塞がらなかった。 収納魔法自体は存在するが、これほど巨大な魔物を、鮮度を保ったまま複数を収納できる者など、一国の宮廷魔導師クラスでもそうはいない。
「……あんた、本当に何者なんだい。魔法の弾丸に、一瞬の治癒、おまけに特級の収納魔法……。小柄な体で、化け物じみた魔力を持ってるね」
男は最後のフォレストウルフを収納し終えると、さも当然のことのように振り返った。
「さて、日が暮れる前に街へ向かいましょうか。ソフィアさん、案内をお願いしても?」
ソフィアは肩をすくめ、愛用のハルバートを担ぎ直した。 どうやら、とんでもない「旅人」を拾ってしまったらしい。
二人は森を抜け、夕闇に包まれ始めた街の門へと辿り着いた。 道中、ソフィアは何度も隣を歩く小柄な男を盗み見たが、彼は鼻歌でも歌い出しそうなほど平然としている。
「おい、ここが私の拠点にしてる街だ。まずはギルドの解体所に直行するよ。あんな量のホーンベア、一度に出したら大騒ぎになるだろうからね」
ソフィアが門番に手慣れた様子で銀貨を渡し、二人で街の中へと入る。 大柄なソフィアが血に汚れたハルバートを担いで歩く姿は街の人々も見慣れたものだったが、その後ろを歩く身奇麗な若い男との組み合わせは、嫌でも人目を引いた。
ギルドに併設された解体所に着くと、ソフィアは顔見知りの職員を呼びつけた。 「おい、広い場所を空けな。特大の獲物だ」 「なんだいソフィア、今日はフォレストウルフじゃなかったのか……っておわぁっ!?」
男が「収納魔法」から次々とホーンベアの死骸を取り出すと、解体所は一瞬で静まり返り、次の瞬間には怒号のような騒ぎになった。 5メートル級のホーンベアが5体。それが無傷に近い状態で並んでいるのだ。
「あんた……これ、本当に二人でやったのか?」 職員が震える声で尋ねる。ソフィアはニヤリと笑い、男の肩を軽く叩いた。 「ああ、正確にはこの『魔法使い』さんが、私のピンチを魔法の弾丸で救ってくれたのさ」
査定を待つ間、二人はギルドの酒場の隅にある席に座った。 ソフィアはエールを二つ注文し、一つを男の前に置く。
「さて、改めて礼を言わせてくれ。あんたがいなきゃ、今頃私はあの熊の胃袋の中だった。あんた、名前は?」
男は運ばれてきたエールに軽く口をつけ、微笑んで答えた。
「僕は……」
「ジョージです」
「ジョージ……か。意外と普通な名前だね。いや、あんたの魔法があまりに型破りだったからさ」
ソフィアはエールを豪快に喉に流し込み、ぷはぁ、と息を吐いた。 ジョージと名乗ったその男は、騒がしいギルドの酒場でも浮世離れした落ち着きを保っている。
「ジョージ、あんたこれからどうするんだい? 宿は決まってるのか?」
「いいえ、まだです。今日この街に着いたばかりですから」
ジョージが事も無げに答えると、ソフィアはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。彼女の大きな体が身を乗り出し、机がギシリと鳴る。
「なら決まりだ。私が馴染みの宿を紹介してやるよ。それに……」
ソフィアは完治した左腕で、自分のハルバートの柄を軽く叩いた。
「あんたの『バレット』、あれは面白い。威力も治癒も一級品だ。だが、あんたみたいな小柄な魔法使いは、懐に入られたら脆いだろう? 私みたいな『壁』が必要なはずだ」
ソフィアは確信していた。このジョージという男と一緒にいれば、今日のような絶望的な状況ですら、更なる高みへのステップに過ぎなくなる。ホーンベア5体を相手にして生き残ったという事実は、彼女の冒険者としての血を熱くさせていた。
「どうだい。明日からもしばらく、私と組まないかい? 獲物は今日みたいに山分けだ。あんたが魔法を撃ち、私がハルバートで敵を阻む。悪くない話だと思うけどね」
ジョージは少しの間、エールの泡を見つめていたが、やがて顔を上げて穏やかに微笑んだ。
「そうですね。この辺りの地理にも詳しくありませんし、ソフィアさんのような頼もしい前衛がいてくれるなら、僕としても助かります」
「よし、交渉成立だ!」
ソフィアはジョージの背中を、今度は加減して叩いた。 大柄な斧槍使いの女と、底知れぬ魔力を持つ小柄な魔法使い。 街の冒険者たちが好奇の目で見守る中、異色なコンビが誕生した瞬間だった。
「さて、そうと決まれば今日は飲むよ! ジョージ、あんたも付き合いな!」
ソフィアがジョージから注がれたエールを飲み干し、豪快に笑う。その横顔は、酒場の騒がしい灯りの中でもハッとするほど整っていた。
通った鼻筋に、意志の強さを感じさせる切れ上がった瞳。激しい戦闘の後だというのに、その美しさは損なわれるどころか、返り血さえも戦乙女のような凄みを与えている。
だが、彼女が立ち上がると、周囲の冒険者たちが思わず息を呑む。 180cmという、並の男を完全に見下ろす圧倒的な長身。さらに、ただ背が高いだけでなく、ハルバートを自在に振り回すための分厚い胸板と、丸太のように太くしなやかな脚が、その体格を支えていた。
「どうしたんだい、ジョージ。私の顔に何かついてるか?」
彼女が屈託なく笑うと、重厚な甲冑のような筋肉が躍動する。鎧とハルバートの重さを合わせれば、彼女の総重量は優に100kgを超えるだろう。踏み出す一歩一歩に、確かな大地の震えさえ感じるほどの重量感だ。
華奢な小柄な男と、圧倒的な質量を持つ美貌の女戦士。
「まあ、あんたみたいな細い男から見れば、私は岩か何かに見えるだろうね。ははは!」
ジョージは、その「岩」と表現された彼女の恵まれた体躯に、前衛としてのこの上ない信頼感と、戦場に咲く大輪の華のような美しさを同時に感じていた。
ソフィアはジョージの言葉に、少し意外そうな顔をした後、愛用のハルバートを愛おしそうに眺めた。
「ああ、よく言われるよ。重いし、重心は先の方にあるし、女が好んで持つ武器じゃないわな」
彼女は逞しい腕で、身の丈を超える長さの斧槍を軽々と立て直した。その動作一つをとっても、彼女が積み上げてきた凄まじい筋力と訓練の跡が伺える。
「普通の槍じゃ、ホーンベアみたいな大型の皮や肉は突き通せても、骨まで断つのは難しい。かといって斧じゃ間合いが短すぎて、懐に入られる前に叩き潰される。だから私はこれを選んだのさ」
ソフィアは少し悪戯っぽく微笑んだ。整った顔立ちがさらに華やかさを増す。
「突いてよし、薙いでよし、叩き割ってよし。扱いは確かに難しいし、一度外せば隙だらけだ。でも、この重さが私の力に一番しっくりくるんだよ。……まあ、あんたに言わせれば『もっと魔法でスマートにやればいいのに』って思うかもしれないけどね」
ジョージの細い腕を見つめながら、ソフィアは楽しそうにエールを煽った。
「あんたの『バレット』だって、普通の魔法使いが使う杖とは大違いだ。珍しさで言えば、お互い様じゃないかい?」
ソフィアは自嘲気味に笑いながら、エールのジョッキを見つめた。その瞳には、かつての騎士団時代への複雑な思いが滲んでいる。
「騎士団、ね……。あそこは礼儀だの型だの、やれ『騎士らしくあれ』だの、窮屈な場所だったよ。あたしがどれだけ槍を振るって手柄を立てても、周囲の男連中は認めようとしなかった。挙句の果てに『女のくせに目立ちすぎる』なんて言われて、ろくに任務も回されなくなったのさ」
彼女は逞しい肩をすくめ、横に立てかけたハルバートを指差した。
「この武器を選んだのは、騎士団を辞めてからだ。型に嵌まった槍術じゃ、本当の死線は越えられない。何より、あの『お約束』の戦い方が性に合わなかったんだよ。綺麗に突いて、綺麗に引く。そんなもんより、この重い斧で敵を叩き潰す方が、ずっとあたしの性分に合ってる。自由な空気を吸いながら、自分の力で飯を食う。冒険者っていうのは、そういう意味じゃ最高だね」
ソフィアはそう言うと、晴れやかな顔でジョージを見た。
「ジョージ、あんたもどことなく『型』にはまらない魔法を使う。あたしたち、案外いいコンビになれるかもしれないね」
ジョージは彼女の過去を静かに聞き、その力強い言葉に頷いた。
「騎士団は、惜しいことをしましたね。ソフィアさんのような戦士を失うなんて」
「ははっ、嬉しいことを言ってくれるじゃないか! それじゃ、今日はもう一軒付き合ってもらうよ。明日は早起きして、ギルドで一番稼げる依頼をぶち抜いてやろうじゃないか」
ソフィアは完全に機嫌を良くし、折れた左腕を完治させてくれたジョージへの信頼をさらに深めたようだった。
ソフィアがさらにエールを注文しようと立ち上がると、その圧倒的な存在感に酒場が再びざわついた。
180cmの長身に、鍛え上げられた分厚い筋肉。しかし、その体躯は決して無機質なものではなかった。 革鎧を押し返さんばかりの豊かな胸の膨らみと、重いハルバートを支え、踏み込む力を生み出す強靭で大きな尻。その肉体美は、戦士としての力強さと、女性としての溢れんばかりの魅力を同時に放っている。
酒場の男たちの視線が、彼女の顔と、そのダイナミックな肢体の曲線に吸い寄せられる。だが、ソフィアはそんな視線に慣れっこなのか、気にする素振りも見せずに豪快に笑った。
「なんだい、みんなして。あたしの体に何かついてるのかい?」
彼女が腰に手を当てて胸を張ると、その美貌と肉体的な迫力に、並の男なら気圧されて目を逸らしてしまう。超美人と言って差し支えない整った顔立ちが、その逞しくも艶やかな肉体と組み合わさり、彼女を唯一無二の存在にしていた。
ジョージは、そんな彼女の隣で平然とエールを口にしている。
「ソフィアさん、明日からの活動に備えて、今日はこのくらいにしておきませんか? 解体費用の清算も明日になりますし」
「……ははっ、ジョージは真面目だねぇ! 分かったよ、今日はあんたの言うことを聞くとしよう。命の恩人の言うことだからね」
ソフィアは満足げに笑うと、重いハルバートを軽々と肩に担ぎ、ジョージと共に酒場を後にした。歩くたびにその豊かな肢体が揺れ、周囲の視線を釘付けにしながら。
翌朝 ギルドに行って素材と魔石の代金を受け取る。
ギルドの解体所から渡されたのは、ずっしりと重い数袋の金貨だった。ホーンベア5体分の素材と魔石の代金は、一般の冒険者が数ヶ月かけて稼ぐ額を優に超えている。
「あはは! 見なよジョージ、これだけの金があれば、しばらくは遊んで暮らせるよ」
ソフィアは豪快に笑いながら、金貨の袋を一つジョージに放って寄越した。180cmの長身に、朝日を浴びてさらに輝きを増した超美貌。そして、動きやすさを重視した革鎧の上からもはっきりと分かる、豊かな胸の膨らみと逞しく引き締まった腰つき。彼女が歩くたびに、そのダイナミックな肢体は周囲の冒険者たちの視線を否応なしに奪っていく。
ソフィアは掲示板の前に立つと、長い指先で顎をなでながら、ずらりと並んだ依頼書を見渡した。
「さて、ジョージ。何か依頼を受けるかい? あんたの魔法があれば、もっと難易度の高いやつでも楽勝だろうけどね。……っと、これはどうだい?」
彼女が指差したのは、街から少し離れた岩山に巣食う「ロックゴーレム」の討伐、あるいはさらに奥地の「迷宮の調査」といった高ランクのものだった。
「あんたのあの貫通力がある魔法なら、岩の塊だって簡単にブチ抜けるんじゃないかい? それとも、もっと別の……例えば、あまり体を動かさないで済むような、楽な依頼がいいかい?」
ソフィアはいたずらっぽくジョージを覗き込んだ。その整った顔が間近に迫り、彼女特有の野性味のある香りが鼻をくすぐる。
ソフィアは意外そうな顔をして目を丸くしたが、すぐに合点がいったようにニヤリと笑った。
「目立ちたくない、か……。あはは! あんただけの力があれば、どこへ行っても注目の的だろうに、欲がないねぇ」
彼女は掲示板から手を離し、肩にハルバートを担ぎ直した。180cmの長身と、その豊かな胸の膨らみが、彼女が動くたびに周囲の視線を否応なしに引き寄せてしまう。彼女自身がこれだけ目立つ存在なのだから、ジョージの控えめな態度は、彼女にとって新鮮に映ったようだ。
「分かったよ。あんたがそう言うなら、今日は無理に依頼を受けるのはやめだ。これだけ稼いだんだし、一日くらいゆっくりするのも悪くない」
ソフィアはギルドの出口に向かって歩き出した。引き締まった腰と、強靭で大きな尻が、戦士特有の力強い歩調で揺れる。
「そうだな……それじゃあ、今日は街で装備のメンテナンスでもしないかい? 私のハルバートも、昨日の戦いで少し刃がこぼれてるし。それに、あんたの服も少し新調した方がいいかもしれないね」
ソフィアはジョージを振り返り、その超美貌を輝かせた。
「たまには戦い以外の街歩きってのもいいもんだよ。あんたが『目立ちたくない』ってんなら、私の背中に隠れて歩きな。この図体だ、大概の視線は私が遮ってやるよ!」
そう言って、彼女は豪快に笑いながら街の雑踏へと踏み出していった。
ソフィアさん 魔法を覚える気は無いですか?
ソフィアは足を止め、ジョージの言葉を反芻するように目を瞬かせた。それから、自分の大きな掌と、傍らに立てかけた武骨なハルバートを交互に見つめる。
「……あたしが、魔法を?」
彼女は少し困ったように鼻を鳴らし、整った眉を下げて苦笑した。
「考えたこともなかったね。見ての通り、あたしは力任せに武器を振り回すことしか能がない。騎士団にいた頃も、座学や魔力の練練なんてのは、それこそ小柄な優等生たちの仕事だと思ってたよ」
ソフィアはハルバートを軽く持ち上げ、その重みを確かめるように握り直す。180cmの長身と、それを支える強靭な肉体。彼女の武器は、その圧倒的な質量と筋力から生み出される破壊力だ。
「でも、あんたが放ったあの魔法……『バレット』ってやつを目の当たりにしたら、少しは思うところもある。あれだけの威力と速さを、もしあたしの戦い方に組み込めたら……とはね」
彼女はジョージに向き直り、その超美貌を真剣な色に変えた。180cmの高さから見下ろす彼女の視線には、戦士としての純粋な向上心が宿っている。
「ジョージ、あんたみたいに魔法を撃ちながらハルバートを振り回すなんて、あたしにできると思うかい? 魔法っていうのは、生まれ持った素質とか、血の滲むような修行が必要なんだろう?」
ソフィアは期待と、どこか「自分には縁遠いものだ」という諦めが混じったような表情で、ジョージの答えを待った。
ソフィアさんには普通の人が扱えない武器が扱えます。 それは 天賦の才だと思います。 間違いなく魔法の才能が有りますよ。
ソフィアは驚いたように目を見開き、それから照れくさそうに頬をかきました。180cmの堂々たる体躯を持つ彼女が、少女のように少し肩をすぼめる仕草は、その超美貌も相まって不思議な愛嬌を感じさせます。
「天賦の才、ねぇ……。あんたにそう言われると、なんだか本当にそんな気がしてくるから不思議だよ。ただ力が強いだけだと思ってたけど、このハルバートを振り回す感覚が魔法に通じるっていうのかい?」
彼女は自分の右手をじっと見つめました。ホーンベアの猛攻を凌ぎ、フォレストウルフを薙ぎ払ってきた、厚く硬いマメのある掌です。
「ジョージ、あんたが言うなら信じてみるよ。騎士団の連中はあたしを『デカいだけの女』扱いしたけど、あんたはあたしのこの体に『才能』があるって言ってくれた。……あはは、なんだかやる気が出てきたじゃないか!」
ソフィアは豪快に笑い、豊かな胸を張りました。そのダイナミックな曲線が強調され、彼女の放つ生命力溢れる美しさがさらに際立ちます。
「教えてくれ、ジョージ。あたしにはどんな魔法が向いてる? あんたみたいな『バレット』かい? それとも、このハルバートに魔力を乗せてぶっ叩くようなやり方かい?」
彼女の瞳は、新しい武器を手に入れた子供のようにキラキラと輝いています。その熱意に応えるように、ジョージは彼女の傍らへ歩み寄りました。
「まずは、魔力を感じることから始めましょう。ソフィアさんのその強靭な肉体そのものが、魔力を蓄えるための最高の器なんですから」
ソフィアは驚いたように眉を跳ね上げましたが、すぐにその真意を汲み取ったようにニヤリと笑いました。
「あはは! 昨日の今日でまたあの場所かい。普通の冒険者なら『縁起が悪い』って避けるところだけど、修行の場にしちゃあ、あそこほど手頃な場所もないね」
彼女は馴染みの武器屋に立ち寄ると、愛用のハルバートをカウンターに置きました。店主がその刃こぼれを見て「また無茶をしたな」と呆れるのを背に、ソフィアは身軽な装備――腰の短剣と、予備のナイフ数本だけを携えて店を出ました。
「ハルバートがないと、なんだか心許ないねぇ。でも、その分しっかり魔力ってやつを意識できそうだ。……よし、行こうじゃないか!」
二人は街の門を抜け、再びあの深い森へと向かいました。
昨日、死闘を繰り広げた場所に着くと、ホーンベアの巨体はジョージの収納魔法ですっかり消えており、荒らされた土と、わずかに残る血の匂いだけが戦いの激しさを物語っています。
ソフィアは大きく息を吸い込み、豊かな胸を膨らませると、その場にどっしりと腰を下ろしました。180cmの長身と逞しい肢体は、武器がなくとも周囲を圧倒する存在感を放っています。
「さて、師匠。まずは何をすればいい? 昨日の激痛を思い出すのは御免だけど、あの時あんたがくれた『ヒールバレット』の温かさなら、なんとなく覚えているよ」
彼女は超美貌をジョージに向け、真剣な眼差しで指導を待ちました。その大きな手は、無意識に魔力を掴もうとするかのように、ゆっくりと開閉を繰り返しています。




