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9話 瑠奈の初めて



ふぅ…我慢だ。俺の方が歳上なんだからな。もう勤務時間だしやることやらねば


「あ〜あれだ。雑魚とか今は関係なくてな?先輩のおまえが「掃除でもしたら〜?そこにモップがあるじゃん?ぷぷぅ…まじバカじゃんモップも見えないの?」


……コレはメスガキ度90%はあるわ……俺の妹でもこんなに酷くないぞオイ


コイツの親はどないなっとんねん……


落ち着け…落ち着け俺。他の5人が辞めた理由が容易に想像できるが、俺なら耐えれるハズだ。


「おお、ありがとうな。モップここにあったわ」


棚の横に掛けてあるモップを手に取って、俺はルナの前を通過する。


通過した時、気に入らないのか舌打ちが聞こえる。


「ルナの前を歩くのやめてくんなぁ〜い?まじ迷惑なんですけどっ!」


コイツマジでメスガキ度が高すぎる……しかし仕事中は先輩だ。全部の仕事を覚えるまで耐えなきゃならん、全部覚えてたら絶対分からせてやる


それまで我慢だぞ俺……


イライラしながらも俺はモップを掃き続ける。


「ねぇ遅くなぁ〜い?いつまでやってんの?ばかなの?死ぬの?ばーかばーか」


やべぇ…これ一種のいじめだわ。確かにコレを耐えれる奴は少ないだろう……だが俺だって自分を何度も虐めぬいて強靭的な肉体を手に入れたんだ…


無視だ、無視


その後はモップを掃き終わり、元の位置に戻す。


「次は?…」


「指示待ち人間なのぉ?スマホで調べたら?駄菓子屋の仕事一覧とか出てくるじゃん?」


腹立つがコイツの言うことは正論だ。チッ


渋々スマホをポケットの中から取り出して検索する。検索をしていると…


パシャッ そんな音が俺の目の前から聞こえた。


「スマホ弄ってる姿撮ったからね!」


「おまえも今手に持ってるだろ」


「うぐぅ………」


ようやくダメージが入ったか。しかしコイツやっぱりムカつくわ。どうにかして分からせたいんだが…


「次は商品棚の駄菓子の賞味期限チェックしといてね!おまえと違ってルナ忙しいからさぁ〜、バイトもした事ないお飾り先輩くぅ〜ん?」


ホントに子供に人気あんのか?ゴミみたいな性格だし子供とか蹴飛ばしたりしそうに見えるんだが


「あいよ……」


何かコイツを分からせる方法はないのか。何か…何かあるハズだ…


あっーーー待てよ。あの時


俺がイラついてコイツを見下ろした時、一瞬だけ怯えていたように見えたっけ…


「なぁ…おまえもしかして…」


「えぇ〜?なに〜?今仕事中だよ?初日で私語とかありえんくなぁい?」


「俺にビビってるだろ…」


「…はい?何言ってるのお飾り先輩くん」


「おまえあれだろ。聖華女学院は女子高だよな?おまえが異性と関わるのは恐らくこの駄菓子屋だけだ。だが……」


俺はそれだけ言ってルナの前に歩いていく。


「なっ!こっち来ないで!来ないでよ!」


後退りして、裏手の休憩室に逃げ込むルナを追っていく。


俺が休憩室に入ると六畳ほどの部屋が広がっていて、天井の蛍光灯はやや暗い。コイツが異性を排斥したい理由がここにもあるわ……


隅にちゃぶ台があり、電気ポットと1つだけの湯呑み。小さな冷蔵庫には「勝手に飲むな」と書かれた紙が貼られている。


壁にはポスターが数枚貼られ、座布団が2枚に扇風機が一台。


おお、ちょうど良いところにソファあるじゃん。分からせるのちょうど良いところまで逃げてくれる


「な、なに?イヤなら辞めれば?」

 

気付けばルナは休憩室の壁際まで逃げていた、しかしそれでも態度だけは強気だ。


「おまえ…ただ異性が怖いだけだろ」


「ッ…!」


少しだけ目を見開き、驚いたように俺を見つめていた。図星だな。男性恐怖症手前ってところか


「ここの駄菓子屋は狭いし、明かりが暗い。休憩室も暗い。どうしてもいいムードになるのは避けられない……中学高校一貫の女学院育ちのおまえは男に全く耐性がなく、休憩時間にいちいち擦り寄ってくる男が怖かった……そうだな?」


「は、はぁ…知らんし…怖くないし…」


とか言いながらコイツは震えていた。おそらくバイトの1人めがコイツのえっろい体に釣られて猛アタックしたとかそんなんだろう…それにイヤ気が差して店長に辞めさせて貰ったとかそんなんだ。


「俺が安心させてやる。て事で後ろ向け」


「はぁ!?向く訳ねーだろ!今後ろ向いたらおまえに犯されるの確定じゃん!」


「後ろ向かなくても確定だろ。どっちも変わらんからサッサとしろ」

 

「なッ!…………勝手に使え屑…」


俺を見上げながら睨み付けるその瞳の奥にはやはり怯えがあり、しぶしぶ後ろを向く後ろ姿は悲しみに暮れていた


そんな後ろ姿を俺は遠慮なく抱きしめる。両手を腰に添えて。


すると体がビクッと跳ね、ルナはぷるぷると震え出して啜り泣く。


「やだ…ルナこんな初めて…やだ…」


「なあ、俺本当はプロレスラーになりたかったんだ」


「………は?」


突然の告白に脳の処理が追いつかないのか、ルナは硬直するが、俺は話を続ける。


「だが俺の骨格と肉付きはプロレスに向いてなくてな、断念したんだ…」


「……ん?」


「どうしても妹に勝てない時、俺はよくコレで妹を黙らせていた…」


俺がそう言った時、顔を伏せてルナはぷるぷると震え出した。今度は恐怖ではなく怒りだ。


「おまえまさか……ルナのこんなえろい体を抱きしめといてやることがそれか!」


処女の癖に過度な自信持ちやがって。だから男の視線が怖くなるんだ。コレでも喰らって恋愛できるようになっとけ


「おまえのえっろい体なんて使ってやんねーよ!女としてのプライドごと死んどけおらぁぁ!」


俺は抱きしめたルナを持ち上げてアーチ状にブリッジしてソファに思い切り叩きつけた。ジャーマン・スープレックスだ


「ぐひぃっ」

 


ついでにこの後めちゃくちゃバックドロップした

そして俺はバイトをクビになった

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「俺を見上げながら睨み付けるその瞳の奥にはやはり怯えがあり、しぶしぶ後ろを向く後ろ姿は悲しみに暮れていた」 この文章、本当に好きです! 映像が浮かんでくるような描写で、すごく臨場感があります
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