89話 体で払え
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時刻は18時50分。ようやく家に帰って来たところだ
何故こんなにも遅くなったのか?それは女子の買い物が異様に長いからだ
しかも二人が服を漁っている間の俺はまさしく空気そのものだった。もう行きたくないです
「はぁ…たでーま」
「「ただいまー」」
慣れとは怖いもので、もうルナがただいまと言うことに違和感を感じなくなっている
「ルナお風呂沸かすね〜」
「あっ!ありがとルナちゃん」
「俺は部屋行ってて良いか?…」
正直疲れた。お洋服かったのでゆるちて
「うん。今日はありがとねざこにぃ。お礼は晩御飯でいい?ご馳走作るからね!」
流石は俺の妹。もう好き
「あぁもちろん。じゃちょっと失礼するな」
その前にちょっとルナをイジるか。今日は脚を踏まれたうえに首を絞められて散々だったからな
少しイジってもバチは当たらないと見てもいいだろう
「ふんふん〜♪」
風呂場からご機嫌だと分かるくらいに可愛らしい鼻歌が聞こえて俺はすぐに風呂場に向かう
「なぁルナ」
「んー」
「愛梨はお礼にご馳走を作ってくれるらしい」
「へー」
なんて適当な返事だ。風呂掃除にここまで集中できるなんて凄いな…
「いやぁ今日の服は高かったなぁ。お礼があってもいいんだぞ?」
ちなみに愛梨は気遣って1万円以下で済んだが、ルナは1万を有に越している
「ふっふっふっ。…なんだいれんれん君。君は僕にお礼がして欲しいのかい?」
「おまえはいつまでイケメンやってるんだ。家なら男っぽくしなくていいだろ」
「ふっふっふ。今日くらいは男でいようと思ってね。普段通りはれんれん君がメロメロみたいだからやめておくよ」
「なんだよメロメロって…」
「コッホン!とにかく今日の僕は男の子だからね。傲慢にもお礼はお風呂洗いさ!あっはは!」
マジかコイツ…
「ヨシ!掃除完了!お湯張っておーわり♪」
ルンルン気分でお湯張りまで済ませたルナは、脱衣所で棒立ちする俺の横を通り過ぎようとした
だがそうはいかない。感謝の気持ちを1ミリも持ち合わせない態度を俺は好かん
「まてコラ」
ガッチリと華奢な肩を掴んで引き寄せるが、ルナは何も気にしている様子はない
「ふっふっふ。なにかなれんれん君」
「感謝が出来ないなら体で払え」
「…え?….それでいいならいいけど…もしかしてルナの事好きになった?それともやっとえっちしたくなった?…」
目を見開き、俺を見つめてくるその瞳は期待で満ちている。もちろん俺はそれに応えるつもりだ
プロレス技でな
「とりあえず俺の部屋行くぞ」
「…うん…」
♢♢♢
部屋に着いた俺は、ドアを開けてルナを先に室内に入れてあげる。レディファーストですからね
「どうぞ」
「………」
だがルナは全く動かない。何故か部屋に入ろうとしなくて困ったちゃんだ
ーーまさか……ルナの奴!
ーー学習してやがるのかーー
俺の計画はこうだ。先に入室させて背後から抱きついてプロレス技でベッドに沈める
一度でもプロレス技が決まれば甘い雰囲気はもう戻らない。つまりプロレス技は雰囲気をぶち壊すのにもってこいなのだ
「どうした?」
「んえぇ〜。れんれん先に入っていいよ〜」
にぱにぱと可愛らしい笑顔で雰囲気を壊さない努力をしているが、裏では警戒心MAXだろう
「まぁまぁ、遠慮すんなって」
ルナは雰囲気を大事にする乙女チックな面がある。それを今から俺は粉々に打ち砕いて分からせる
「も〜しょうがないなぁ〜」
弾んだ足取りで部屋に入っていくのを見届けた俺は勝ちを確信していた
俺の考えすぎだったな。やっぱりルナはアホの子みたいだし今日の鬱憤を晴らさせて貰うか
「それじゃ気持ち良くしてやる」
俺は皮肉を込めた言葉と同時に、ルナの背後目掛けてタックルでもするみたいに駆け出した
よし、このまま腰を掴めそうだ。掴んだらその勢いのままバックドロップだな
と思っていた時期があったがムリだった
ルナは突然身を翻して俺の方を向き、奥にあるベッドに後退しながら俺を抱きしめてきた
そして俺のタックルの勢いも相まって、ベッドに二人してダイブする
ぼすっとシーツから空気が押し出される音がして、気付いたら俺はまんまとルナを押し倒していた
完全に一本取られたなコレは…
「きゃっ!……もーれんれんってばガッつき過ぎ〜」
ルナを無視して起き上がろうと試みるが腕は首に巻きつき、脚は腰に巻き付いて全く身動きが取れない
「なぁだいしゅきホールドやめてくれ」
「も〜…そんな照れちゃってさ〜。初めて同士だから仕方ないけど〜」
ルナはキスでもしたいのか、キスしやすいように俺の首を腕の力と体重で強引に引き寄せてくる
まずい。このままだと完全にキスされる。しかもルナのことだ。舌を絡ませてくるに決まっている
そしたら雰囲気が出来上がって詰みだ。その前にプロレス技を決めなければ
だがこの状況はどう考えても不利。…こうなったらあの時見たいに怒らせるしかないか?
「できる訳ないだろ。今日のおまえ”男“なんだし」
「…ん?どゆこと?〜」
「おまえ自分で言ってただろ。今日は男だって」
「ふーん。…じゃあ脱いで証明すればいい?…」
「……あぁ、そうだ」
脱いでる最中にジャーマン スープレックス決めて終わりだ
「…………うん。じゃあなにもせずにベッドに座って待っててねぇ?」
上手くいかない事に内心イライラマックスだろう。だがそんなのを感じさせない程に綺麗な笑顔だ
それからルナは俺を解放してベッドから起き上がり、部屋の隅で服を脱ぎ出した
「そんなトコで脱いでどうしたんだよおまえ」
くっ…あれじゃ背後とれないじゃねーか。甘い雰囲気の維持がとてつもなく上手い……
「気にしないで〜…ずっと見てていいからねぇ」
いや言われなくても俺は着替えに釘付けですが…
ルナは着ていたダボダボのシャツを脱ぎ捨て、スカートすらも脱ぎ捨てて下着姿にタイツだけになってしまった
てかブラジャーもピンクのヒラヒラだったのか…
「…………」
あまりにも綺麗でどえろい体を見つめていると、ルナは不意に笑顔を向けてくる
「コレで女の子って証明になったもんね?誘ったのもれんれんだしルナに恥かかせないでよ?…」
「……ま、まぁ落ち着けって」
マズイ…雰囲気に呑まれる前にさっさと投げなければ




