8話 小ギャルメスガキ
俺が生徒指導室から戻ってきた時の静けさは凄かった。……元々誰も俺に話しかけなかったが、それに拍車が掛かり冷たい視線だけが俺に注がれた。
隣の女の子はこっちを見ずに、ただ溜息を吐くだけで授業の開始を待っていた。
♢♢♢
放課後、俺は自転車を手で押して校門に向かっていた。もちろん左手は使わない。右手だけで押す。
校門に差し掛かかった時、西城ともう1人、知らない女子生徒が居た。
よかったな。心配してもらって。そこから会話が上手く繋がり、一応の人間関係は出来たか
なら今謝る必要は無さそうだ。レイパーの俺が話しかけたら人間関係を壊す恐れがあるからな
「へぇー!のあちゃんもあの番組みてるんだ!おもしろいよねぇ!」
「う、うん」
少しだけ困ったような笑みにも見える。最初はそんなもんだろう。まぁ頑張れ
そのまま校門を出て、自転車を漕ぐ。尻目で後ろを見ると、西城は俺の事を寂しそうに見つめていた。
よくそんな目が出来るな。睨みつけるように軽蔑視されると思ったが、心も広いようだ
♢♢♢
「ここか…」
手書きの地図を頼りに駄菓子屋までやってきた。学校から5分ちょいてとこだな。
木枠のガラス扉には「駄菓子屋じゃ!」という手書き看板が掛かっていてる。
すぐ横には赤いベンチとチラシが貼られた掲示板が店先にあり、窓からは駄菓子が見える。
「入るか…」
連絡はしておくとあの後先生は言っていた。俺の話は伝わっているはずだし大丈夫だろう
俺はなんの遠慮もなしに木枠のガラス扉を開けた。
狭い上に少し薄暗い店内に木製棚が並び、カラフルな駄菓子がぎっしりだ。おっ カブリチュウもあるのか…
床は年季が入っていて、辺りにはガチャガチャやおもちゃ瓶があり、壁には子どもの落書きやポスターが貼られている。
「いらっしゃーい」
俺が辺りを眺めていると、そんな声が聞こえて声がした方を向く。
「客としてじゃなくて、面接できた」
「………………えぇ〜そんな話聞いてないなぁ〜」
そんな事を言うこの子の見た目は金髪のツインテールを下に結び、前髪は眉上くらいか。
毛先はわずかに巻いていて、赤いリボンが付いている。座ってるから身長は分からんがすらっとした体型には合わないような…そう。
年齢に不相応なほど豊かな胸元だ。アンバランスすぎんだろ何食ってんだ
制服は着崩していて、スカートは短め。シャツのボタンは上から2つ開けていて、足元はニーハイだな
小さなピアスやヘアクリップを身につけ、明らかに小ギャル感が
「ちょっとぉ〜?見過ぎじゃ〜ん?」
「あぁ…すまん。ところで店長はい「不採用」
「は?何言ってんだおまえ…」
少しだけイラッとしたのが声音に出てしまった。まぁコイツが悪い
「ッ…」
なんだ?……つり気味の瞳の奥に一瞬だけの怯えが見えた気がした……が…すぐに消えた。
「な、なに?睨んでも不採用は不採用だし?結果は変わんないし尻尾巻いて大人しく帰ったら?」
「…………」
帰りたいが………
『そいつはいつも休憩時間になると、裏の部屋のソファに座ってずっと膝抱えてんだとさ。バイトがすぐ辞める原因は自覚してるみたいだ…』
「店長はどこにいるんだ?…」
こっちはおまえの世話頼まれてんだよ小ギャル
「ここにおるよ……」
奥の部屋から出てきたのは老人だ。いやどうやったらこんな歳の離れた人を友人と呼べるんだよ先生
杖を付いてなんとか俺の前に立つ老人に俺は、感動を覚えた。なんか凄いかっこいいわ……
「話は聞いておるよ。じゃあ今日からよろしくね」
ヨボヨボとした足取りに、ボソボソとした喋り方が少し特徴的だな。
「うっす…」
転校2日めでバイトしてんのどうなんだホントに
しかしコイツの制服。近くの聖華女学院のじゃねーか。アソコは校則が厳しくて有名なハズだが……
「ちょ!ちょっと待ってよおじいちゃん!どうせすぐ辞めちゃうんだからよくない?瑠奈1人でいいじゃん」
ルナ?コイツの名前か……
「まぁまぁ、そう言わんと……じゃ寝るでの。仕事内容の説明をよろしくのぉ…」
それだけ言うとおじいちゃんはそのまま奥の部屋の襖を開けて中に入っていった。
「じゃよろしく、仕事教えてくれ」
「…………」
ん?全く無反応だな。何だコイツ
「おーい。聞こえてっかー」
俺がそう言って目の前で手を振ると、ようやく口を開く。そして作り笑顔で一言だ
「えぇ〜?るなバカだからわかんなぁ〜い!自分で考えてほしいなぁ〜?」
「なぁ俺はバイト経験もないんだ。少し「えぇ〜〜!?ルナより歳上なのにバイトもした事ないのぉ〜?今まで何してたのぉ〜?先輩らしさ皆無でマジ雑魚じゃん!ざぁ〜こざぁ〜こ!クソ雑魚〜♪ 」
ーーーマジかコイツ
このタイプのメスガキはテンプレ中のテンプレ
ーーーこいつは小ギャルメスガキだ
今日一日でどんだけメスガキと出会うねん