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4話 腹黒ウィスパー



「チッそんな整えても誰も見ねーよ雑魚が…」


んん?…俺の心の声が出てたか?


気のせいか…


気のせいと思いそのままボーッと毛梨先生の話を聞いているフリをする。


「いつまで手鏡持ってんだよざぁーこ。おまえ1年の時から彼氏出来たことないだろーが。ちゃんと鏡見ろバーカ。あっ見てるか…プッ」


俺の隣からそんな声が聞こえたのを今度は見逃さなかった。…あーやってんなコイツ


ーーーこの囁くように人を馬鹿にしたような態度


ーーーまさかコイツ


ーーー腹黒ウィスパーか!


だが小声で人の悪口ばっかり言ってんのは感心しないな。誰かと共有しないだけマシかとは思うが。


毎日ブツブツ何か言ってると思ったがこんな事言ってたのかコイツ


「おまえは彼氏出来たことあんのかよ」


隣の席に聞こえるギリギリの声量で俺はそう言った


一瞬体がビクッと跳ね、俺の方を向く。


黒髪ボブに丸メガネだ。今知った


ぱっと見は地味で大人しく制服もきちんと着ているが、その裏は腹黒ウィスパー


――まさに“じみっこ”に見えて腹黒だな


「えっと…佐藤くんどうしたの?…」


あくまでシラを切る気か。それとも俺の気のせいか…


「いや、なんでもない…」


少し泳がせるか。そっと腹黒ウィスパーに体を寄せて、耳を澄ませる。


「急に話かけんな顔が良すぎて濡れるところだったわ雑魚が。絶対コイツやり◯んだろ」


ーーーあーやっぱコイツやってるわ…


全部は聞こえんかったが俺をやり◯んとか言ってんのは聞こえた。部活しかしてこなかった俺がやり◯んな訳ねーだろ童貞だっつの


「お前もう黙れ」


静かな声音でそう言うと、少しだけ顔をこっちに向けて俺を睨み付けてくる。


そして暫くして何事もなかったかの様に前を向いた…


ーーー絶対ウィスパーが始まるわ


小悪魔系あざと後輩にも使ったがコイツもドン引き発言で黙らせるか


「言い返せなくなったらすぐ「黙らないと胸揉むぞ」


俺がそう言うと腹黒ウィスパーの口は動かなくなり、口はぷるぷると震えていた。


マジ雑魚じゃんコイツ


震えながら下を向いて顔を真っ赤にしていた。恥ずかしいのか怒りなのか、まぁ両方かもしれんが


先生が何言ってんのか分からんままホームルームが終わる。終始、俺の隣は黙っていてまさしく征服感に満ち溢れていた。


分からせるの気持ち良すぎだろ!!


ホームルームが終わった後の小休憩時間。


俺は隣の席の腹黒ウィスパーの頭をわしゃわしゃ撫で、見下ろしながら言った。


「ちゃんと黙れて偉いぞ。頑張ったな。いい子だ」


もちろん周りには聞こえない声量で……

 

そのままトイレに向かう為に背を向けた時、ぷるぷる震えながらも声が聞こえた。


「ム…ムカツク…」


その後は授業が始まった。1限目は人生でなんの役に立つのか分からん数学をボケーっと聞いて黒板を眺めていた。


チラッと横目で隣を見ると、偉く集中しているのが見て取れる。


一瞬思った………コイツもしかして勉強のストレスを腹黒ウィスパーで解消してんじゃないのか?…


えっ…ちょっと待て。なら俺はコイツの唯一のストレス解消方法を奪ったことになるんじゃね?

 

そう思うとなんだか罪悪感が芽生えてきた。俺はまだ進学先とか決めてないけどコイツは必死に頑張ってるのかもしれん…


「なぁ…さっきはすまなかった。アレでストレス解消してたんだったらなんか申し訳なくてさ…」

 

俺がそう言うと、柔らかい笑みでニコッと首を傾げる。


「えっと…何が?」


またこれかよダル…


「やっぱいいわ。手動かせ」


「……えっと、うん。そうする」


コレだけじゃ済まんだろうな。


俺はコイツに少し体を寄せて耳を澄ませる。もう聞き漏らしは一切ないようにだ。


「用もないのに話しかけんなバーカ…手動かせとか意味わからんし家帰ったら1人でおかしくなるくらいベッドの上で手うご「待て待て…oh…」


「な、何?…待つって?」


めっちゃ可愛く首傾げてる。もうコレ二重人格ってレベルで会話成立しねーぞ


でもなんだろう。この人おもしろい


その後も4時限目終わりまでウィスパーを我慢出来ていたのでご褒美として頭をわしゃわしゃと撫でてやった


昼休みになった時、隣からなんか聞こえた。

 

「犬扱いすんなばーか…」


小さい声だが、心なしか(はず)んだ様に聞こえ、髪の毛を人差し指でいじりながら鼻歌を歌い出した


「…♪」


「えらくご機嫌だな子犬ちゃん」


「ッ!……ウッザ…」


そう言って机に顔を突っ伏した


さて昼飯どこで食うかな…

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