33話 ごちそうさま
「ざこにぃ起きて!もー起きてってば!」
「ん……」
愛梨か?揺さぶられすぎて気持ち悪いっての…
それだけじゃない。体に力が入らないし重すぎる
「あぁ…起きるから。揺らすのやめろ」
「もぉ〜寝すぎだよ〜。お昼ご飯出来てるからちゃっちゃと顔洗って来てよね〜」
「あいよ」
いやもう昼かよ
「あとゲッソリしすぎ〜」
愛梨が部屋から出て行った後にようやくベッドから立ち上がる
「おっと…」
立ち上がった時に、立ちくらみでベッドに仰向けで倒れ込んだ
「…は………」
まだ体が寝てるのか?それともカモミールティーの効果か
それにしても昼までぐっすり寝たからか、寝汗をかなり掻いている
「どんだけ血行いいんだよ俺……」
先にシャワーだな
♢♢♢
シャワーを済ませて昼ご飯を食べ終えた。それでも食卓の椅子から動く気力がでない
…それにしてもまただ。また何かが体から根こそぎ吸い付くされているような感覚がする
だからなのか何もやる気が起きない。なんでだ…?
なんだこの無気力感は…活力を無理矢理奪い取られてる感じがする……
「食べたんなら食器持って来てよ〜。まとめて洗っちゃいたいから〜」
「………あぁ…分かってる…」
てかさっきから凄い視線を感じるんだが。ソファに腰掛けている奴から
「なぁ…さっきから見過ぎ」
「えぇ〜?そう〜?きのせいじゃなぁ〜い?」
俺を見てニヤニヤしてやがる。しかも上機嫌だ
「なにおまえ、朝からいい事でもあったのか?」
「うん。朝かられんれんの顔見たらイライラが吹き飛んじゃったぁ〜。なんか安心したぁ」
安心ってなんだ?おまえ戦場から帰ってきたのかよ
「何でイライラしてたんだ?」
「ん〜…分かんない。でもルナの気分次第でその日の体調を操作できるって支配してる感じで気持ちいいなぁって思ったら嬉しくなっちゃって…」
「確かにそれは凄いわ。気分で体調を操作できるってなんかの能力者かよ」
朝から頭飛んでるなルナの奴…そりゃ自分の体は自分の支配下だろ
「ぷぷ、確かに能力者かも。またカモミールティー持ってくるね〜?」
「あぁ、マジでぐっすり寝たわ。昼まで寝るとは思わなかったけど」
だけど疲れは全然取れてない気がする。むしろ悪化したかもしれん…まぁ厚意だし要らんとは言えん…
「ねぇざこにい〜?はやくお椀持って来てよ〜」
「ん?あぁすまん」
話してたから完全に忘れてた
椅子から重い腰を上げて、キッチンに向かう間もルナは俺のことを見つめてくる。いやしつこ
「ごちそうさま」
「はーい。お粗末さま〜」
流しに食器を置いてそのままソファに腰掛けているルナの元まで行く
「おいおまえ見過ぎ。あと外でそんなふやけた顔して歩くなよ?」
「えぇ〜?れんれんのふやけた顔よりマシだと思うけど〜?」
俺がそんなふやけた顔なんてする訳ないだろ何言ってんだコイツ……
「アホか…おまえは昼ご飯食べたのか?」
「うん………あっ!」
突然思い出したかのようにソファの上でビクッと跳ねる。いや大袈裟すぎる
「なんだよ…怖いっての…」
「ごちそうさまって言うの忘れた!ルナとしたことが〜…」
「はぁ…ルナ。ごちそうさまくらい言えよ…」
呆れますわ。愛梨が作った料理にごちそうさまも言えないとはな
「うん!ごちそうさま〜」
「いや俺に言うな。なんでやねん」
俺がそう言ってもルナはきょとんと首を傾げるだけだ。俺の周りこんな奴ばっかだな
「えっ…だってれんれんがごちそうさまくらい言えって…その方がルナも気分いいし…」
「いや……俺じゃなくて。…まぁいいや…」
寝起きでルナの相手をすることはないな
そのまま無言でルナの隣に腰掛けると、体がソファに沈み込んで極楽すぎる
寝過ぎて疲れたのかもなぁ。テレビでも眺めてゆったりしてよ
「ねぇねぇ〜」
「…なんだー」
ボケーっとテレビを眺めて適当に返事をする
「ごちそうさま、えへへ」
「…………おう」
俺はツッコむのをやめた
何故なら愛梨の料理を相当気に入ってくれたのが少しだけ嬉しかったからだ




