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31話 睡眠薬入りのカモミールティー


「ん?何がだ?」


なんかめんどい事になりそうだし、誤魔化すか


「今誰かとRINEしてなかった?」


俺は天を仰ぐ様に顔を天井に向けて、ソファにもたれ掛かっている


ルナはそんな俺を見下ろしている、だが…


「いや近すぎるんだが…」


もうキスする距離かよ。この至近距離で瞳が少しだけ青い事に初めて気付いた


「別にいいじゃん。ルナとれんれんの距離感はもうバグってんだし。それより誰かと"RINE"してなかった?」


RINEの部分だけかなり強調している。それ以外は早口だってのに……あとしつこい


「画面開いてただけで、誰ともしてないな」


「…ふーん。ぷぷぅ!お友達居ない人はそんな事するんだぁ〜!おざこちゃんでちゅね〜よちよち」


そう言って雑に俺の頭を撫でてくる


撫でんなコイツゥ…腹立つゥ〜…


てかこのキス寸前の距離いつまで続くんだよ。濡れた髪が俺の顔にへばりついてんだけど…


「おまえこそ友達いんのかよ?」


「今脱衣所にいるぅ〜」


確かに。なんかすごい負けた気分だわ。もう話すり替えよ


「そ、そんな事よりおまえなんで俺のトランクスでルナニーしてたんだ?怒らないから正直に言ってみ?」


「…ッ…そ、それは…」


おどおどしながら後退して遠ざかっていく


視界が突然明るくなって、蛍光灯の光がようやく見えた


「え?なに、動揺してんのか?発情ボロ負けウサギちゃん」


「ッな!…お、おまえぇ…あんまりルナを怒らせると後悔するぞ」


「どう後悔すんだよ。あんなにビクビク痙攣し…ッ…」


余裕が出てきたもんだから、ソファから立ち上がってルナの頭を雑に撫でようと立ち上がった時だった


コイツの顔以外全く見えなかったが…今全体像を見た


湯上がりのせいか、ピンクのタンクトップが肌にぴったり張り付いて体のラインが浮き彫りだ


濡れた髪も顔に張り付いて色気がましている


いやえろすぎ。ドライヤーしてこいよ


「な、なに?…ジロジロ見て」


「…気にすんな…」


そう言いつつ俺の視線は谷間に釘付けだ。うん、この際めっちゃ見よ。目に焼き付けよ


さっきこのデカいの揉みしだいてたのか…後ろから抱きしめてたから分からんかった


そのままガン見していると、腕がそっと胸元を覆い隠して夢の時間は中断される


「み、見過ぎ。…えっと…その……さっきみたいに…さ、さわ…」


ルナの声に反応してようやく顔をあげる


アホみたいにガン見していたからドン引きしているかと思ったら、何かを期待するみたいに顔を赤くしてもじもじしている


「見るに決まってんだろ。おまえグラビアかよ」


「だからあの時言ったじゃん!"ルナのえろい体を抱きしめといてやる事がソレか"って」


そんな事言ってたっけ?……なんの話だコレ


「へっ?…お、覚えてないの?」


もしかしてアレか?


「おまえが駄菓子屋でプロレス技くらう前に言い残した言葉だっけ確か…」


「お、覚えてるならい〜し〜!それじゃルナはドライヤーしてくるから。後で手作りカモミールティーを部屋に持っていってあげるからちゃんと起きててよー」


「あー…あいよ?」


カモミールティーって作れるのかよ


「歯磨いて部屋行こ……」



♢♢♢



コンコンッ 


「れんれーん?カモミールティー持ってきたよ〜、開けるね〜」


ベッドに横になって、動画サイトを見ていたらルナが律儀にノックをしてきた


ーーそんな常識人だったのか。まじか


「あぁ、ありがとう。そこの机に置いといてくれ」


一応俺の部屋にも勉強机はある。部屋に入ってきたルナには悪いが、置いて退室してもらおう


「えぇ〜?れんれんが疲れた顔してたからルナが作ってあげたのに〜!温かいうちに飲んでよ〜」


「なぁ、俺おまえに酷い事したと思うんだが、どうしてそこまでしてくれるんだ?」


純粋な疑問だった


俺はルナを幾度も投げ飛ばし、プロレス技をかけ、脅して酷いことをした。なのに関わらず俺の心配だと?


「…それは、ほら…アレじゃん?…ほらアレがアレだから!そんなことより早く飲んでよ〜!冷めちゃう〜」


目を泳がせて理由も言わずゴリ押しかよ


でもコイツの厚意を無駄にする訳にもいかんか


「飲むよ、今飲むから」


そう言ってマグカップを受け取った


「…うま…」


りんごに似た甘い香りに、やさしい草のような風味が口の中に広がっていく


苦みはなく、ナチュラルな感じだ。美味しい


「よかったぁ〜…」


「…いやなんでおまえもベッドに腰掛けてんだよ」


気付いたら隣に居るんだが。ホラーすぎるわ


「えぇ〜?緊張してんのぉ〜?こんな美少女が隣に居たら仕方ないかぁ〜」

  

脚をぷらぷらさせて軽い煽りとか暇か


「あっ」


美味すぎて気付いたら全部飲んでた


飲み切った事に気付いたのか、隣から手が出てくる


「マグカップ片付けとくよ?れんれんはトイレ済ませて寝る準備でもしたら?」


え、めちゃくちゃ優しいぞどうしたコイツ


まさか俺の分からせが効いたんじゃないのか?…


俺は気付いた。ルナはようやくマトモになったのだと。そしてコレは純粋な厚意だと


「あぁ、ありがとな。今日はぐっすり寝れそうだ」


そう言って隣に座るルナの頭を撫でた 


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