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13話 追い詰められてるかもしれん


「あ、お兄ちゃん!忘れてた」


「ん?…なにが?」


なんだ、ルナを送るついでに食材買って来てくれとかなんかか?


「今日お母さん帰って来るって言ってたけど、帰って来れるの明日になったんだってぇ」


こんな会話中でもルナを尻目で見てみる。


ぷぅー!コイツめっちゃ泣きそうな顔してんじゃん


大体俺はおまえが自転車の後ろで密着して来た時から気づいてたんだよ……おまえは1968年にアメリカで提唱された理論。


"単純接触効果"を使っていた事にな


おまえの可愛いすぎる見た目とえっろすぎるスタイルで俺を落とそうとしたんだろうな。


出直してこ「だからシチュー多めに作っちゃった」


「良かったらルナさんも一緒に食べませんか?」


「食べる!ありがとーね!愛梨ちゃん!」


オワタ


俺の視線の先にいるルナの笑みは真っ黒に染まっていた。それはまるで獲物を刈り取るかの如く、狙った獲物を確実に落とす目だ。


「それまでこの人の部屋に「俺リビングいるわ」


神の一手。そうこれはまさしく神の一手である


光の碁っていうアニメ見過ぎだろって思うかもしれんがそうじゃない


足掻く俺をルナは睨みつけている。愛梨にバレないように器用にだ。


前まで、瞳の奥にこんなモノがみえた。


それは 『怯え』 だった。


だが今は違う『復讐』 それだけだ


俺はコイツの為にジャーマン スープレックスを決めて、男ってしょうもない奴だな。怖くないわって思ってほしかった。


いや、実際もう怖くはないだろう、少しナメている


普通に恋して普通に笑っていて欲しかったが…


今のルナの瞳は俺に対する執着心でドス黒く濁って見える。自尊心を傷つけられ、苦しんだ女としての存在をコイツに分からせてやりたい。


そんな意図がみえる。ホントにヤバいぞこれは。愛梨と離れないようにしなきゃならん


2人きりはダメだ。意識を失ってもアウトだ。


だが卒業まで逃げ切るのはもしかしたらムリかもしれん…コイツはもう俺の家を知ってしまった…


てかコイツ……自転車の後ろに乗って、ひっつき虫までしてたのは俺に目を見られないようにする為だったのか…


「えっと、ざこにぃ勉強教えるんじゃないの?」


「いや、ち「そー!愛梨ちゃんってばルナの味方だぁ!大好きぃ〜!じゃあいこっ?ね?部屋案内してぇ〜?」


俺の腕に絡み付き、逃がさないとばかりに力強く掴んでくる。


「ねぇ〜?案内してよ〜?はやくぅ〜?」


この時、コイツのピンクの学生カバンから何かが見えた。


「…ッ…」


コ◯ドームと…アルギニンだ。勃起力が上がる事で有名な媚薬じゃねーか!


俺が驚きのあまり硬直していると、ルナは俺の制服のネクタイを掴んで俺を引き寄せ、耳に顔を近づけてくる。


「な、なんだよ…」


そして愛梨に聞こえない声量で色っぽく囁いて来た。


「ルナにハマらせてやっかんな…抜かずにぶっこ抜くから覚悟しとけ」


「…ッ…」


コイツ!…クソガキだと思ってたのに、マズイ。

不覚にも女を意識してしまった。声音に艶がありすぎだろ…


落ち着け俺…今までもっと過酷な事に耐えて来た。

こんなの余裕だ…


「ん?何してんの〜?早くお部屋案内してあげてよねぇ〜。愛梨はビーフシチューみときたいからー」


そう言って愛梨はリビングの扉を閉めて俺を見放した


「あ、あぁ…行くぞルナ」


俺は顔を赤くさせながらも、ルナの手を引いた。とりあえずおまえは説教だかんな。男を舐めすぎだ


「…………」


「ルナ…?」


反応がなさすぎて振り返る。俺が振り返ると、コイツの瞳はドス黒いものじゃなく、輝いてキラキラしていて…凄い綺麗だった。なんだ?…


「……お、おまえ今…る、ルナを女として見ただろ?そ、そうだよね?」


そんなことを言いながら人差し指をぷるぷるとさせて俺を指差す


「……なっ!は?見てねーよ」


「見ただろ!顔真っ赤じゃん!しかもおまえドキドキしすぎて名前で呼んでんじゃん!」


「…くぅ…」


図星だ…完全に図星を突かれた。一瞬の興味からか、つい名前を呼んでしまった。ムカつくわホント


「ルナもお前のこと名前で呼ぶ。ねぇ名前教えて、ね?ね?いいでしょ?」


リビングから漏れ出る光しかない薄暗い空間の階段前で、甘えるように、縋りつくような声音で聴いて来る。


しかもコイツは気付いたら俺が引いた手を両手で包み込んでやがる。


このムードは切らねばならん!鬼になれ俺!


一瞬で スンッとした顔になる俺


「俺の名前を教える必要はない、部屋に来い。説教だ」


「おまえムード断ち切ろうとしてるだろ」


「…なんの話だ…」


鋭すぎる…完全にコイツのペースだ。駄菓子屋の時とは逆だ…


「部屋に上がって欲しいの?媚薬飲んでくれたら部屋に行ってもいいよ?」


「お、おまえはそれでいいのかよ?」


俺がそう言うと、ムードを切られて不機嫌なのかと思ったが、輝いた瞳はそのままで本当に嬉しそうな笑顔を傾けてルナは言った。


「いいよ、2人きりがいい」



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