92. 盲人
2版XCII、3版CXVI
LES AVEUGLES
ソネット形式 脚韻ABBA CDDC EEF EEF
ブリューゲルの絵を元にした作品。というが、ブリューゲルの絵それ自体が聖句を元にしている。フランスの詩人ボードレールがやたらと聖書を気にするのは、イギリスの詩人ロバート・ブローニングと共通していて、よくも悪くもキリスト教が19世紀欧米文化に与えた絶大な影響が窺える。……救い主も中々酷いことを言うものだと思わないでもない。
マタイによる福音書第 15 章
13 イエスは答えて言われた、「わたしの天の父がお植えにならなかったものは、みな抜き取られるであろう。
14 彼らをそのままにしておけ。彼らは盲人を手引きする盲人である。もし盲人が盲人を手引きするなら、ふたりとも穴に落ち込むであろう」
とっくりと想ってもみよ、わが魂よ、ぞわぞわとおぞましい奴等を!
見るからにマネキンも同然、して何処か滑稽で、
怖ろしげで、突拍子もない、夢遊病者のようで
暗黒の球体を、どこへともなく動かして止まず、ぐりぐりと。
Contemple-les, mon âme ; ils sont vraiment affreux !
Pareils aux mannequins ; vaguement ridicules ;
Terribles, singuliers comme les somnambules ;
Dardant on ne sait où leurs globes ténébreux.
両眼から、神聖な煌めきが何処かに行ってしまって、
まるで遠くを見るかのように、仰いだままだ、
空を。一度も見られたことはない、石畳に向かって、
重い頭を、何か夢見るように傾けている姿は。
Leurs yeux, d’où la divine étincelle est partie,
Comme s’ils regardaient au loin, restent levés
Au ciel ; on ne les voit jamais vers les pavés
Pencher rêveusement leur tête appesantie.
かくて揃って乗り越える、果てしない闇を、
永遠の静寂の兄弟を。おお、都よ!
おまえが歌い、笑い、咆え哮るうちにも、
Ils traversent ainsi le noir illimité,
Ce frère du silence éternel. Ô cité !
Pendant qu’autour de nous tu chantes, ris et beugles,
もはや残虐なまでに快楽に溺れてしまって、
私自身も引き摺られ!連中以上に呆然として、
私は言う。天に何を求めるとやらだ、盲人たちよ?
Éprise du plaisir jusqu’à l’atrocité,
Vois ! je me traîne aussi ! mais, plus qu’eux hébété,
Je dis : Que cherchent-ils au Ciel, tous ces aveugles ?
d’où: où は英語 where/when に当たり、de が付くことで「どこ?」といった問いかけに使われる。のだが、此処では平叙文に使われているので「何処か」と訳してみた




