秋の歌(ヴェルレーヌ)CHANSON D’AUTOMNE
『サトゥルヌス信徒の詩集』POÈMES SATURNIENS より
PAYSAGES TRISTES
V. CHANSON D’AUTOMNE
長く啜り泣く
ヴァイオリン弾く
秋の
こころ傷つく
ひとり物憂く
単調。
Les sanglots longs
Des violons
De l’automne
Blessent mon cœur
D’une langueur
Monotone.
くっと息詰めて
青ざめ、そして
鐘よ鳴れ、
思い出して
昔なにして
涙あふれ…
Tout suffocant
Et blême, quand
Sonne l’heure,
Je me souviens
Des jours anciens
Et je pleure ;
そして去りゆく
この身まかす
風に吹かれ
あちらこちら、
それそのまま
枯葉なれ。
Et je m’en vais
Au vent mauvais
Qui m’emporte
Deçà, delà,
Pareil à la
Feuille morte.
『落葉』(上田敏 訳)
秋の日の
ヸオロンの
ためいきの
ひたぶるに
身にしみて
うら悲し。
鐘のおとに
胸ふたぎ
色かへて
涙ぐむ
過ぎし日の
おもひでや。
げにわれは
うらぶれて
ここかしこ
さだめなく
とび散らふ
落葉かな。
大野透『誤訳』を読んでいたら、『アリとキリギリス』が『蟻と蝉』だったとか、前田晃訳『クオレ』が「殆ど意味をなさない」とか、『こねこのねる』石井桃子訳が「誤訳とも言えない」とか、いろいろ気になる中でも上田敏訳『落葉』を「重大な誤訳」という。なるほどそういう読み方もあるか、と読み飛ばしかけて漸く気付いたのは、これがボードレール『秋の歌』の本歌取りであると。そう言えば詩集の題名からしてそれっぽいし、最初に PROLOGUE を置いた次から MÉLANCOLIA の章が始まる構成にしても、明らかに狙った感じ。なので、いずれはこの詩集も訳してみたいが、取り敢えずはこの一曲を。




