謎の依頼篇06 モアの居ぬ間に
「ヴォン・ジュウ!」
「ヴォン・ソワァル…。」
「サリュ〜!」
「ヴォン・ソワァ!」
「ソワ〜!最近良く来てきてくれるなぁ!」
いつものフェバリィ、4人組で若い女性のお客だ。
最近は、きっとモア目当てによく通ってくれてる。
「…今日は、モアこないの?」
「さぁ?わかんねぇな〜。」
やっぱり…モアか。
出来るだけ、モアがどうしてるかは伏せておこう…なんとなく。
いつもの席に誰もいないので1人が堪らず、聞いてきた。
薄々は勘づいていたが、当たってた。
「そんなにがっかりしなくてもっっ!モア目当て〜?
料理目当てじゃないのかよ〜。」
4人は、顔を合わせてうっとり微笑む。
「それは…ソレイュのお料理も目当てよ…でも、ねぇ?」
「ねぇ?」
「ソレにノエルもいいけどぉッ!」
「モアにも会いたいじゃなぁい?」
「そっか〜!」
なんかとんでもねぇ話を聞いちまった気がする。
俺の料理…モアに負けてんのかぁあ。
とりあえず、頼まれた料理を作って運ぶ。
「モアって凛としててヴェルよねェ!
「纏ってる空気が他の人とは違うわよねぇッ!」
「アノ、そっけない感じもいいわァ!」
「そしてッ、類い稀なる美しさ!罪深いわぁ。」
確かにあの美しさは罪深い。
「モアの笑った顔が見てみたぁい!」
この子達は知りようがないよな、モアがショコラ〜テ飲んだ時の「アノ顔」…。
あの時、ちょっと驚いた。
輝いてた。
…か…ゎ…ぃかった…。
「ねぇ?ソレイュは見た事ないの?」
「すごく仲良いし!」
「いっぱい話してるんじゃない?!」
「1回くらいあるんじゃない?」
あれ?
そう言えば、仕事の時しかモアの笑った顔見たことがない…。
「…ねぇな。」
「ヴォン・ジュウ!ソレイュ!いつものね。」
「ウィ。」
このリネェをした人は、ダントンさん。
この人もよく来てくれる…キシュ〜やコンフィルドがお気に入りだ。
「はぁい。お待たせしました〜!」
「ソレイュ聞いて、聞いて。
モアに似合いそうなカァドをラヴェルで、この前見かけたんだァ」
モア目当てかよッ‼︎
「きっとヴェルだろうなァ!絶対!会場で注目されるよォ。」
…そうだろうなぁ…見てみてぇ!
「モアは美しいから周りがほっとかないだろうねぇ。」
ソレなんだよな〜…。
仕事以外で行かせたくねぇ。
でも、自慢もしてぇ…。
「やぁ!ソレイュいつもの頼むよ。」
「久しぶりぃ!やっと来れたよ!」
「あぁ!今日も疲れたぜ〜!」
「ウィ。いつものな〜!」
ゴロゥプ帰りの男性3人だ。
「いつものお待たせ〜っ!」
「そう言えば…モアは来てないのか?」
「いねぇよ。」
「なんだぁ!
俺達、モアに仕事の話を聞いてもらいたかったのにぃ。」
今日やたら、モア目当てのお客ばっかだな…。
「聞き上手だし、話上手だし、助言も的確。
顔も美しいし、家で毎日待ってて欲しいなぁ。」
「ア''、俺のモア取んなよッ!」
「ハァ?!お前のだってぇ!」
「「「やんのかーーっ!?」」」
「まぁまぁ、ケンカすんなよ。
モアはみんなの物、それでいいじゃねぇか。
モアは誰の物でもないから、お前ら話聞いてくれるんだしさっ。」
「はぁあ、モア。
俺達の気持ちに気付いてくれ〜ッ!」
この店では、モアも憧れの的だ。
確かに、たまにする話は今まで聞いた事ない類で面白い。
仕事柄か訊くのも話すのも上手い…。
その場にいたかの様な助言をするし、それがまた的確。
そして…顔が美し過ぎる。
あの顔で、何か頼られたらなんとかしたくなっちまうんだよな。
俺も荷物預かってくれとか、屋根登りたいとか、小さい頼みなら聞いてしまってる…。
ショコラティ〜ヌもせっせと届けちまってるし!
あ''ぁぁ…しっかりしろ俺ェ‼︎
…つい、世話焼きたくなっちまうんだよなぁ。
……⁇なんでだろう⁇