謎の依頼篇04 黒百合から零れ落ちた雫
ーー出たよ…この上からの言い方。
ュグドテリァ帝圀、ルジァ・ディア、ゲラン?
聞いた事ないな…。
ーーどこからそこに話が行った?
…ダントンか?
さては、あいついろんな所で自慢してしてるな。
ーーこの圀には皇帝が2人。
皇帝の知らない水面下で派閥争いが行われてるのか…。
皇帝からしたらなんてはた迷惑な。
この圀は、住まう者が皇帝を選ぶ。世襲制ではなく選権制。
世襲より反発はだいぶ少ないだろうけど、それでも反対して燻ってる奴はいる…。
それが、マルクス派、マクベス派、反ロヮイェのジェルマン派。
ジェルマン派は、存在するかもしれないその派閥の1つ。それを潰せって話。
疑わしいとされるのは、反ロヮイェ、ジェルマン派なら何か仕掛けて来るだろう。ジェルマンの叔父のリュクス家が疑わしいらしい。
リュクスは確か、宝石商してる。
リュクス1人では、城内の情報は入って来ない。
ーー誰か知らないけど、上の奴は賢い。
圀政と関わり合いない奴を選んだか。
仕切ってる奴は、相当…うんざりするするほど…狡賢い。
これなら、足はつきにくい…誰か特定にも時間がかかる。
ーーでも、残念ながら。こっちは、魔術の痕跡さえあれば対処は可能。
手紙の例の奴は、文面からマルクス派…。護衛かそれ以上。
そのわからない勢力を調べて。
もし、呪いの痕跡があれば潰せって?
ーーやってやろうじゃない。
もう手を出したくなくなるほど、震え上がらせてやるよ…。
読み終わった手紙は、青い炎を纏って手の中で塵となった。