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プロローグ〜婚約破棄〜
「お前とは婚約破棄だルシエル」
婚約者だった彼のそばでは、別の女が立っていた。なぜ婚約者の私を差し置き、彼女が殿下の隣にいるのかと言うと。
私が彼女に何か悪いことをした。
そういう理由で、殿下は彼女を庇うように隣に置いているらしい。
結局のところ、彼との関係は何も変わらなかった。将来の王妃として、何事にも努めてきたけどこれが限界のようだ。
「謹んで、お受けいたします」
礼を取り私は書類にサインを施す。
パーティ会場という、婚約者である第一王子が仕組んだ罰。
甘んじて受け入れよう。
全ては、私が潔く死ぬために。