~追憶5~
緋桜の幻想恋~終焉に紡ぐ約束~
(ひおうのげんそうれん)
すべてを失い生きる目的なんてなくて…。
現状を受け入れることもできなくて…。
何度も何度も死のうとした…。
だけどどれだけ身体を傷つけても傷口は塞がり、塔から何度飛び降りても肉片が不自然に動き出し繋ぎ合って、またこの形を作り出す…。
痛みはあるんだよ。
すごく痛いんだ!
傷口から血も溢れて、心臓を刺すと動きが止まるはずなのに…。
痛くて…苦しくて…。
死ぬはずなのに!!
死ねるはずなのに!!
それなのに!
死ねないんだ…。
毒を飲んだらね。
喉が焼き付くように熱くなって、胸が苦しくなって…。
血をたくさん吐いて…。
これでね…やっと…。
やっと…死ねるって…。
思ったのに…。
この痛みは…。
この胸の中にある心は…。
みんなと同じはず…なのに…。
どんな方法を試しても私が死なないんだ。
幾度も幾度も私を殺しても…。
死なない…私の身体…。
こんな身体…。
もういらない…。
ねぇ…お父さま…。お母さま…。
どうして私をそちらに連れては行ってくれないの…?
私が…みんなを…。
殺したから…。
たくさんの人を殺してしまったから…。
だから私は逝けないの…?
これは天罰ですか…?
私が禁忌を犯したから…。
やってはいけないってわかってたのに…。
私は…。
私が犯したから…。
だけど…ねぇ…。
もう十分に私は苦しんだんだよ?
みんなが感じた痛みも苦しみも悲しみも…。
何百回も何千回も…。
この身体を切り裂いて傷つけて壊して…。
味わったから…。
もう逝かせてよ…。
死なせてよ…。
お願いだから…。