~追憶3~
どれだけの時が経っただろう…。
意識を取り戻した私は広間にただ一人立ちつくしていた…。
大広間はどす黒い血と死体が散らばる凄惨な場所へと変貌していた。
床には赤黒く染まった血だまりが一面に広がり、目の前には胸を掻きむしるようにして苦しんで死んでいったであろういくつもの屍が、壊れたおもちゃのように幾つも重なるようにそこにあった。
いや!!違う!!
こんなのは夢よ!!
これは現実じゃない!!
現実なんかじゃない!!
違う…これは現実じゃなんかじゃ…。
血まみれの手で頭をかかえながらその場に泣き崩れた。
今さっきまでお父様もお母様も…。
私に笑いかけてくれてて…。
私の可愛い弟も…。
そばにいて…。
私に…触れて…。
いや…もういやだよ…。
お願いだから…もう目覚めてよ…。
何度も何度も生臭い血だまりの床に頭を打ち付けた。
だけど額から滴り落ちるの黒い液体の先に見える光景は…。
何一つ変わらなかった…。
どうして…どうして…。
声が枯れるほど叫んで。
息ができないほどに…。
泣いて…泣いて…叫んだ。
どうして!!
こんなはずじゃなかったのに!!
いや!!瞳を開けて!!
お願いだから…瞳を開けて…。
お願いだから…死なないで…。
冷たくなった愛する弟と父や母の亡骸を強く抱きしめた。
こんな事になるなんて思ってなかった!!
こんなはずじゃなかった…。
守りたかった!!
助けたかったの!!
私の愛する人達を…。
救いたかっただけなの…。
ただ…。
それだけなのに…。
それなのに…。
私がすべてを壊したんだ…。
私が…。
愛する人達を…。
殺したんだ…。