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第5話 「見え始めた片鱗」

遅くなりました。


ちょっとリアルが忙しくて……。FGOが全然進まないしキンスレはしたいしで……1日が36時間くらい欲しいです(笑)

「まっさか烈火の極みまで引出されるとはなぁ、うん。」

 

 最後の撃ち合い。最後に立っていたのはジーグヴァルドだ。彼の技、【紅蓮】の本質は荒々しい力の奔流。この力の流れに指向性を持たせることで防御無視の拳撃を叩き込む事ができるのだ。

 

 だが最後の【零式紅蓮】は力を飲み込む(・・・・・・)。烈火の型は剛の技であるがその真髄は相手の力を利用したカウンターなのだ。


 「しっかし末恐ろしいガキだな…。転生ってのは本当だったか。しかも弟子にしろと来た。どーすっかねぇ…」

 

 今の世界にはそれぞれの分野において最強を誇る【十王】という存在がいる。彼はその中で【拳王】と呼ばれていて、その実力は間違いなく世界最強の一角であるのだ。


 そんな彼に弟子入りを志願する者は当たり前だが多い。それはそうだろう。自分の師は強ければ強いほど良いに決まっている。だが彼は弟子を取ったことが無い。何故か、それは彼の修行に着いていける者が少ないというのもあるが、素質がある者が見つからなかったからだ。


 彼には12歳の娘が居て、その子だけが今の所唯一の後継者だが自分の娘にはもっと普通の暮らしをして欲しいと願うのが普通の父親の感性というものだ。拳王と名乗っていれば果たし状を送られることも珍しくはない。娘が大事な父親には耐えられないのだ。


「まあ、試して見る価値はあるか………」


 この少年は原石だ。磨けば間違いなく光る。なんせ装備と実際の実力が余りにも噛み合っていない。


 こうしてジーグヴァルドはゼクスを弟子にすることに決めたのだった。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「うっ………俺は…………」

「よう坊主。やっと起きやがったか?」

「あんたは!!……俺は負けたのか。」

「阿呆が。拳王が餓鬼に負けるわけにゃ行かねぇんだよ」


 最後の撃ち合い。どうやら俺は負けていたらしい。もっと上位の兵装を召喚できていたら結果は違ったのだろうか……。


「あ、そーいや弟子にしてやってもいいぞ」

「……………えっ?」

「だーかーらー、弟子にしてやるって言ってんだよ。理解したか?」

「な、なぜ!?俺は負けたんだぞ?」

「誰も勝ったら弟子にするなんて1言も言ってねぇーぞ。阿呆め。」


 軽く言われたその1言に最初は理解ができなかった。なにせ俺はあれだけの大口を叩いて負けたのだ。笑い者にされても文句は言えない。


「なんだ?呆けた顔して。修行しねぇーのか?」

「や、やる!!やらせて欲しい!!」

「おう。宜しくなゼクス。」

「ああ!こちらこそ宜しく頼む!ジーグヴァルド!」


 ここから俺の修行の日々が始まる。修行場所は龍の森。ここでサバイバルをしながら修行をするらしい。先ずは戦略兵装(インフィニティ)夢幻(バトルアームズ)が封印された。なんでも俺の実力には過分すぎる霊基らしい。霊基というのはその個人にしか装備できない一人一人が持つ魂が具現化した武器だそうで、この前の決闘ではジーグヴァルドは霊基を顕現させていなかったそうだ。


 今の世界では俺の兵装が霊基というのか。というかこれホントは勇者専用装備だから今の俺が装備できるはずが無いのだが…。


 なんやかんやでいよいよ始まった最初の修行は魔拳の習得だった。


「いいか?魔拳ってのはその身の魔力を内側(・・)に循環させるんだ。基本的に付与(エンチャント)は外側から強化するが魔拳ってのは内側から強化する。これによって魔力消費が抑えられ少ない魔力で効率のいい強化が行える」

「えーと、内側に…………はっ!!」


 言われた通りに体の中に魔力を通す。あっ、薄っすらとオーラが出てきたような……。


「違う。もっと体の隅々に張り巡らせろ。下手くそだな。うん。」

(くっ……………そんな言われてすぐできるか!!)


 ここからはひたすら魔力を体に巡らせる作業を延々と繰り返す事になった。だが何度やってもうまく行かない。この強化率なら普通に体に魔力を纏う身体強化の術式を使ったほうがマシだ。


「はぁっ!!」

(……見込み違いだったかもしれんな。うん。)


 ジーグヴァルドは魔拳の習得が全く進まない現状を見て、こう思う。やはり己の後継者にはなり得なかったのかと。彼が先代拳王からこの技を教えられ、習得するまでにかかった期間は1日。


 だがゼクスが修行を初めて3日が過ぎた。徐々に形にはなってきているがこれではまだまだだ。この程度の威力ならばそもそも魔拳を使う必要が無い。


 諦めかけていたその時、集中しすぎたせいか鼻血を出したゼクスがその血を見てなにやらブツブツと呟き始めたのだ。


「……鼻血か。血は……………通っていて……なら……血管は………」

「なんだ坊主?遂におかしくなっちまったか?」

「これなら……!!!いける!!【魔拳】」


―ゴウッ!!!!!!!!!


 その瞬間、爆発的に白色のオーラが迸った。ゼクスは【魔拳】を発動させたのだ。その体には血管のような赤いラインが走っていて、本家(ジーグヴァルド)の|それ(魔拳)とは若干見た目が異なるが確かにそれは【魔拳】だった。


「まじかよ………こいつ、魔拳を進化させやがったのか………!?」


 威力も恐らくゼクスの方が上。ジーグヴァルドは骨をイメージしてその骨に魔力を纏わせる事で【魔拳】を発動していた。


 だがゼクスは血管に魔力を通して発動している。

此処に強化率の差が現れていた。


「は、ははははっ!!!見つけた!見つけたぞ!俺の後継者!!」


 長らく見つからなかったジーグヴァルドの目に見合うもの。ゼクスはその才能の片鱗を今、垣間見せたのであった。

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