第1話:終焉
今は私の心の父ジーザスが生まれて24427ヶ月、
つまり北半球の季節は夏のはずだ。
だが地面はまるで氷のように冷たく、
風はまるで孤独をより一層深めるかのように冷たかった。
まわりを見渡すと黒い雨の中に雪のようなモノが降っていた。
その雪は放射能を含んだ瓦礫のくずで、
科学者が言ういわゆる“死の灰”だ。
死の灰は太陽の光をほぼ遮り、
所々から見える木漏れ日のような光には暖かさは無い。
そしてやっと気がついた。
地球に核の冬が訪れ、
破滅に向かっていると。
人類は何も学習が出来なかった。
『暴力は暴力を』
結局人類は警告も聞かず自ら死を選んだ。
何も知らない幼児たちは、すべてを知り始める最中に死んだ。
皆死ぬ事なんて知らなかった。
むしろ死んだ事さえも知らなかっただろう。
その死体は跡形も無く吹き飛び、焼け焦げてしまっているからだ。
生きていても皮膚がケロイド状のグチャグチャの状態になり、いずれ死ぬのだろう。
もちろん生き残った人間たちも大勢いる。
だが彼は服も食べ物も生活するものすべてを残りもので生きている。
灰の雪はその核被害の人々をあざ笑うかのように降っていた。
そして波の音がした。
見てみると海にも死体が浮いていた。
浜辺には何千何万と死体が打ち上げられていた。
やけに静かで、孤独な浜辺だった。
しばらく経つと、
静かな世界に海を裂くモーター音が響きわたった。
音の方向を見ると、
雪の中から数え切れないほど多くの核被害用に改良された船の連隊がいた。
一番先頭の船が後ろの航行している船の乗員たちに合図を送った。
すると先頭の船から銀色の発光弾が飛び出した。
少し経つと金属が擦れるような爆音が響き始めた。
そして右を向いた。
そこから1マイルほど先に、
いままで見た事が無いほど大きな鉄くずがあった。
その鉄くずは“メトロポリス”。
そう呼ばれる場所だそうだ。