思考を柔らかくする文Ⅲ
『人がいちばんしなくてはならないのは、自らと握手することだ』という言葉をご存じだろうか。この言葉からどんなことが考えられるだろうか。
自分が一体どんな人なのだろうかとか、考えたことがあるだろうか。その時に、核心に迫れたことはあるだろうか。案外、自分が自分に対して持っているイメージと、他人から見た自分のイメージはずれているものだ。
その違いは、主観と客観の違いから生まれるのだ。
自分の性質を見誤っていると、人生の選択を誤ってしまいがちだ。
自分の本当にしたいこと、自分が本当に得意なことがわからないから、道を選択して進んでから後悔するのである。
『本当の自分』という言葉はよく耳にする。文字通り、普段の自分と本当の自分は違うという考え方だ。これは、間違っていない。だれも、本当の自分になどなれてはいない。
それは、社会のせいなのである。個性は必要とされていない。他人に溶け込むことを必要とされているのが、現在の学校、企業である。
日本の場合はさらに深刻である。
自分の心にふたをするからこそ、ただ淡々とした日々を過ごすしかない。大人になるにつれて、本当の自分は深いところへ落ちて行ってしまう。
子供の頃に比べて、大人になると1日が身近く感じる。この理由はたくさん考えられているが、結局はかりそめの自分が1日の大半をしめているからなのではないか、と思う。
本当の自分は1日のほとんどを過ごせていないのだ。これは非常にもったいない。
新しいアイデアは皆が持っている。だが、新しいアイデアは本当の自分しか持っていない。自分が出てこないなら、アイデアもでてこない。
本当の自分と握手するにはどうすればいいのだろうか。
それは人それぞれ違う。
ただ、共通して言えるのは、自分のことを好きになるしかない。
好きになるためには、客観的に自分を見つめ、長所を見つけなければならない。自己満足ではない自分の魅力を見つけた途端に、世界は開けるのだ。