ペイント弾って何ぞや、という話
架空兵器によく出てくるアレです。
ペイント弾って何ぞや、というのが今回のお話。
発端は友人に「カラーボールって走る人があまりに早いと破裂しないよね」と言われたことだ。
カラーボールが破裂する最小相対速度が5m/hで、カラーボールの速度が80km/h、つまり22m/mだとすると、相手が17m/mで反対側に走れば破裂しないことになります。加速・減速を考えない単純計算ですが、100m走5.88秒ですね。
で、正しいか確かめようとしたところ、実はカラーボールは犯人近くの地面に叩きつけ、飛び散った塗料で犯人をマークすることが判明。
やるせなくなっていろいろ調べ始めた、というのが発端です(理解不能)。
さあ、本題だ。
戦争物の小説の訓練で、よく出てくる「ペイント弾」。私もHimmel Vogelで一回出しました。このとき、機体にはパッチを当てています。穴か、穴に近いへこみができた、という描写です。
一応設定を載せておくと、この世界ではペイント弾は国と国との合同訓練など大掛かりで大々的なものの時にのみ用い、かなりの準備期間を経て使用している、という設定になっています。文の中で上手く説明できていればよかったんですがね……。
さあ、直径17mmのペイントボールが約3g。体積が約2572立法ミリメートルだから、約0.00116g/立法ミリメートル。
M61バルカン砲の20×102mm弾頭の場合、高さ約30mmの円錐と高さ約72mmの円筒だと仮定して、約25748立法メートル。重さで言えば約29.8g。…………あれ?軽すぎでは………。実弾が約100gですから、これじゃ軽すぎます。
これでは相手に届く前に失速してぽろぽろ落ちて行ってしまうはずです。
これに例えば鉛とか入れて重くすれば、紙装甲の戦闘機は簡単に貫かれてしまいます。…………どうしよう。
例え軽いまま当たったとしても、衝突面積が4平方ミリメートルだとしたら、人の足の裏に掛かる荷重(375g/平方センチメートル)で踏み抜いてしまうような舵面などは簡単に撃ち抜けてしまいます。えらいこっちゃ。
さらに、ジェット機などではエンジンノズルがあります。もし押し返されずにエンジンに入ったら…………バーナー・コーンだけで済んだらいいですね。プロペラ機だと、もっと当たる可能性のある面積が増えます。二重反転とかだともっと……って、鳳流だとやばいじゃないか。
操縦席やアンテナに当たったらひどいことになるし……。
さらに、普通の機関砲にこんなもの積みこんだら、一発目が機関部と砲身で炸裂、二発目が発射されないかさらに状況を悪化させるはずです。M16ではペイント弾用のアッパーレシーバを使うことによってペイント弾を打てるようになるようです。
じゃあ、結論としてペイント弾は無理なのでしょうか。色々調べて、面白そうなものを見つけました。
近接信管です。
近接信管で接近した際、弾頭が炸裂するようにします。前方は軽く無害なものと塗料で、後方は重く機体に当たると有害なもの、できれば金属などを配置し、間に炸薬を配置します。
炸裂した際、弾頭が炸裂すれば塗料と当たってもあまり問題ないものが前方に飛びます。この際、後ろに質量の大きいものがあるので反作用でより早く飛びます。
発射した際、一番高熱と高圧にさらされる部分は金属が受け持ちますから、ペイント弾にはそこまで負担が来ません。
逆に後ろに押し戻される形になる重りは一気に落下することになります。
後ろで炸薬が炸裂したわけですから、塗料は前へ向かって飛びます。
プロペラとノズルには当たる前に炸裂しますから、そこまで被害はないはずです。ちょっとはつくかも……。
ここまで来ればダダダダ……よっしゃ!当たった!…………とはいかないのが人の世の妙。
薄い塗料の場合、着陸後に見た時にはもうほとんど残っていない、というレベルで落ちてしまうはずです。
逆に、濃い塗料だと下の塗料を侵したり、落とすのに苦労することになります。
で、じゃあどうするか。蛍光塗料とか蓄光塗料はいかがですか。
薄くてもハンガーに入れて周りを暗くすれば光が見えやすくなりますから、濃くしなくても大丈夫。
ここまで言っておいてどれぐらい薄ければいいのか気になったフラップ。
まず、水溶性は雲に入ったりしたときに落ちてしまいますから、別の溶剤を使うとして、どの程度の密度の液体になら機体は耐えるのでしょうか。
雨の場合、まんま水ですから、水と同じ密度なら大丈夫。それ以上はやったことないのでわかりません。
で、ここまで言っておいて結論。
レーザーライフルで良いんじゃない?




