珍しくいい話「空中戦の書き方2」
さて、珍しくいい話第二弾。
今回はみんな大好き旋回のお話です。
そもそも、旋回とは何かというと、航空機が向きを変えながら飛行することです。
旋回は大きく分けて3つあります。
一つ目が、旋回開始時と終了時の高度がほぼ変わらない水平旋回。この場合、速度エネルギーを消費します。
二つ目が、旋回開始時より終了時の高度のほうが高くなる上昇旋回。これは、速度エネルギーを著しく消費して、高度エネルギーを獲得します。
三つ目が、旋回開始時より終了時の高度のほうが低くなる下降旋回。速度エネルギーを保存、場合によっては増やしながら旋回します。高度エネルギーは消費されます。
二つ目と三つ目を忘れると、三次元を移動するはずの航空機が水平面で延々と周り続けることになります。気をつけましょう。
空中戦で高度を変えるとき、相当大規模な戦闘でない限り、降下か上昇・下降旋回ですることになります。エネルギーを補給するための降下はともかく、呑気に上昇なんてしてると撃墜されるからです。
また、旋回半径と旋回効率をごちゃまぜにしている人が多いので説明すると、
その機体が最適な速度(これをサステイン・コーナー・ヴェロシティと言います)で最大Gで旋回したときの半径が旋回半径。
サステイン・コーナー・ヴェロシティで旋回した時の角速度を旋回効率と言います。
これだけではわかりづらいと思うので、例を一つ。
Mig-21は、F-14よりも旋回半径が小さいですが、旋回効率はF-14の方がいいです。
どういう事かというと、Mig-21とF-14が横に並んで同方向に同時に旋回した場合、Mig-21の方が内側に回り込みますが、F-14の方が早く旋回を終了します。F-14が180度旋回した時に、まだMig-21は旋回の途中という事です。
零戦の解説の時に旋回性能がいい、旋回性能がいいと言われますが、旋回性能といわれても正直「どっち?」と首をかしげざるを得ません。おそらく旋回半径の方だと思われますが…。旋回効率も恐らくよかったのでしょう。
よくある勘違いなのですが、ドッグファイトでは常に高G旋回(ここでは6G~9G)をしている訳ではありません。そんなことをしたら機体に負荷がかかりすぎて長く持ちません。自衛隊の教導飛行隊のF-15も機体にかかる負荷が大きく、オーバーホールも大がかりなものになるそうです。
F-14は6.5Gまでしか旋回できませんが、前述したように旋回効率がいいので「格闘戦ができる戦闘機」として知られている訳ですね。
航空自衛隊の話ですが、F-104とF-86の戦闘で、F-104パイロットはF-86の外側を高速で旋回して勝負したそうです。F-104は旋回半径でF-86に劣っていましたが、旋回効率で勝っていたのでこの戦法が用いられたようです。
ここでサステイン・コーナー。ヴェロシティについてもう少し解説します。
飛行機は低速過ぎると揚力が不足して大きく旋回できず、高速すぎると機体が負荷に耐えられません。
よって、この間が最も効率よく旋回できるサステインコーナーヴェロシティとなります。
これは例によって、増槽などの重量で変わってきます。
スクランブルで出動する戦闘機に中距離ミサイルが積まれていないのは、あっても余り使えないというのもありますが、機体を軽くする意味もあります。
ラジコンの話になりますが、1000gの機体で100g自重が変わると飛び方が大きく変わってきます。F-16の機体の十パーセントは827kg。AIM-120約5本分です。アメリカ海軍のアドバーサリー部隊は増槽もパイロンも外す所があるようです。それだけ飛びが変わるという事でしょう。
最後に。今回の「旋回性能」にはロール率を入れていません。ロール率は格闘戦をするときに重要になります。これはより大きく搭載物の影響をうけます。特に主翼にミサイルなどを積むと一気にロール率が下がります。
例にドイツの爆撃機、スツーカを挙げますと、旋回性能は凄ぶる良かったのにロール率が悪かったので戦闘機にバッタバッタ落とされたようです。
以上。




