4 ごはんになりたい。(2)
それならば、自分の武器ってなんだ? と考えてはみたものの、わかりませんでした。
というわけで、読み専のリアル友人に聞いてみました。
「誤字脱字とか変な日本語はないよね」
……ってリア友某よ、それ、長所じゃありませんがな。
誤字脱字は推敲すればほぼ取り除けるし、趣味・読書の人間が日本語おかしかったらただのザル頭でないかい?
「…………他になんかない、かな?」
「ほか? う~ん。あ、最後まで読めるとか?」
最後まで読めるって……それ、長所かっ? それになぜ語尾が疑問型?
ありがたくも手厳しい友人の言葉に、私は落ち込みました。
たまにいただく感想でも、同じようなことを言われます。曰く、「誤字脱字がない」「読みやすい」。
文章だけで書いた人物を特定できるような、特徴的な文章は魅力的だし目立ちます。でも、私が書きたいと思って日々努力しているのは、水のように無味無臭な、これといって特徴のない――つまりは読みやすい文章です。
読みやすく書こうとしているんだから、「読みやすい」と言われるのは当たり前だと思っていました。そして、それは決して武器にはならないのだと。
しかし、誤字脱字がない、読みやすいだけの文章も、立派な武器になりえます。最後まで読んでもらえることができるからです。
作品を最後まで読んでもらうことがいかに難しいかは、自分自身がオンライン小説の読者である方ならわかっていただけると思います。
誤字脱字が多かったり、文章作法が守られていなかったり、文章の意味がわかりにくかったり流れが悪かったりする作品は、内容が面白くても読み進めることができないこともあります。
オンライン小説を評価する場合、最後まで読めるか読めないかというのは重要なポイントです。とりあえず最後まで読ませることができるというのは、それなりの武器であると考えてもよいと、現在では思っています。
ただ、贅沢を承知で言わせていただけば、自分の作品は、そうめんみたいだと思うんです。つるつるーっと入っていって、あっさり終わって、後はなにも残らない。
妙に後を引くものよりは、一時的な暇つぶしや気分転換になるようなものを書きたいので、ある意味望んだとおりといえばそうなんですが、そうめんは夏限定ですしね。それに、アレンジがきかない。せいぜいにゅうめんかソーメンチャンプルくらいですか。
メシツブだったら、年中喰って飽きも来ない。
そういうのが本当は理想です。
白飯、おかゆ、雑炊、炊き込みご飯、すし、きりたんぽ、炒飯、ピラフ、ドリアと、ご飯のほうがアレンジも効きますしね。
そうめんからごはんになれるように、がんばりたいと思います。