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1 未完結作品量産者からの脱却

 初心者の例に漏れず、私もやたら長編の構想が浮かび、最初だけ書いて放りっぱなしの未完結作品専門の書き手でした。

 それからしばらくのブランクの後、短編を書き始めました。やっと完結作品を書くことができるようになったのです。

 短編を書くことによって学べることは多いです。

 短編であれ長編であれ、完結させることで上げられる経験値は大きいからです。

 それは構成力に関する経験値だと私は考えます。


 私は普段はあまりラノベは読まないのですが、何冊かは読みました。

 文章は薄いです。どのくらい薄いかというと、通常は文庫本で1時間100ページの読書速度の私が、100ページ30分で読める。つまり、濃度は2分の1(当社比)。描写はかなり足りません。

 でも、構成力はあるんです。


 その他にも、「池袋ウエストゲートパーク」(1巻)を最近読み返してみました。

 ネタといい、ぶつ切れの文章の雰囲気といい、かなり携帯小説っぽいのに、自分が過去に読んでみた携帯小説とはまるで違う。どこが違うんだろうと考えながら読んでいました。

 やっぱり構成がしっかりしているんです。


 つまりは、構成力。

 プロのプロたる所以はそこなのでしょう。

 実際、文章だけが上手いという人は、ネットにはごろごろいますよね。プロになる条件が純粋に文章力だけならば、もっとプロ作家の人口は多いのではないでしょうか。

 文章力というのは、技術による部分も多いので、少し注意して書くようにすれば上達します。

 しかし、構成力というのは総合的な評価なので、とにかく書き上がってないと、その作品についてきちんと評価することはできません。その評価をふまえて反省することもできません。

 構成力は書き上げることによってしか経験値を上げることはできません。


 趣味で書いてるんだから読者なんて関係ないという作者なら、別完結させる必要はありません。自分のためだけに書いてる人には関係のない話です。

 ただ、提供されるものが有料であれ無料であれ、大抵の読者は物語の終焉とそれとともにもたらされるカタルシスを求めているのではないでしょうか。それならば、どんなに途中が面白くても、完結しない作品は読者にとって意味がないのです。

 自分もたどってきた道だからこそわかる、やたらと連載が中途で止まる――というより、作品を完結させたことがない人には、気力的にも技術的にも完結しやすい短編から始めることをお勧めします。


 小説書きの世界には、「生まれながらの長編書き」と「それ以外の人々」がいます。

 身の回りの前者と思われる人々に聞き取り調査をしたところ、彼らは処女作から脳内プロットだけできっちり完結させることができるようです。

 もし、初めて書いた(おそらく長編構想の)一~二本が完結できない人は、「それ以外」のほうです。どんなに雄大な物語が頭に浮かぼうとも、今、それを書くのは止めた方がよいです。間違いなく無理だから。


 さあ、同志、「それ以外」の人々よ。

 まずは短編から始めよう。

「池袋ウエストゲートパーク」の作者・ 石田衣良さんはもともとコピーライターなので、ぶつ切れっぽい文章に見えても、ものごとの本質を捉えるような、非常に印象的でセンスのよい言葉遣いをされているということを補足しておきます。

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