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第7話:不協和音のパンデミック
世界の果てへ向かう道中、ゼノスが放った広域追跡コマンドが引き金となり、ゲーム世界全体を揺るがす大障害が発生した。世界中の「音」が、壊れたレコードのように同じ瞬間を繰り返す。
「……っ、耳が、痛い……!」
全ユーザー強制スキャンの負荷にサーバーが悲鳴を上げ、物理演算が停止。全プレイヤーがフリーズする中、岳もまた強烈なスタッター音に脳を穿たれていた。
その時、現実世界のオフィスで、いつもやかましく雑談していた若手社員・佐藤が動いた。岳のデスクにある銀色のワイヤー細工を見た彼は、経営陣の許可を待たず、独断で「緊急パッチ」を投入する。
「……音を消すんじゃなくて、心地よい音に変える。ノイズを和音に変えるロジック……!」
ゲーム内の岳の槍『残響の楔』が、佐藤のパッチに呼応して眩い光を放った。
「残響のパッチ、起動だ」
世界中に美しい和音が響き渡り、不協和音が旋律へと書き換えられていく。ついにゼノスの権限を解体する「逆襲の旋律」が整った。




