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第6話:不協和音の正体
翌朝、現実に引き戻された岳を待っていたのは、さらに重苦しく淀んだオフィスの空気だった。
「岡山さん、ちょっとよろしゅうおすか?」
一ノ瀬凛がタブレットを手に近づいてくる。画面には、ゲームサーバーの不自然な収益推移とトラフィックデータが映し出されていた。
「これ、見ておくれやす。……ある特定のグループが、規約を盾にエリアを封鎖し始めた時間からの……『この場所』の動き」
そこには、本来上がるはずの数値が完全に死に絶えている異常な波形があった。
「……あの方、自分の正義を守るために、一番大事な『鍵』を、自らゴミ箱に捨てはったみたいどすえ」
一ノ瀬の言葉に、岳は一つの仮説を抱く。ゼノスがゲーム内で振るっている暴力は、現実世界における彼の「価値」をも、内側から食い破る致命的なバグになろうとしていた。




