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デバッグ・ザ・ワールド ―空っぽ(null)の蜘蛛と、五月蝿い世界の調律法―  作者: 白山月


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3/9

第3話:蹂躙の夜、調律の始まり

ゲーム内に戻った岳を待っていたのは、最悪の不協和音だった。

「ぎゃははは! 見ろよ、このバグ・モンスター!」

 時計塔の地下で、聖騎士団長ゼノスが、無残に潰された銀色の塊を踏みにじっていた。ヌルチーの遺した銀糸は引き裂かれ、光を失っていた。


「規約に基づき、このオブジェクトを『未定義バグ』として処分した」

 ゼノスは管理者権限という名の理不尽を振りかざす。岳の怒りは頂点に達したが、ゼノスの「規約の盾」には一撃も通らない。

「おしまいどすな。……そのままやと、ただの『ノイズ』として消去されてしまいますえ」


闇から現れたのは、リセ。現実世界の一ノ瀬凛と同じ声を持つ少女だった。

「貸しなはれ。……ヌルチーさんが遺したこの『銀糸の残骸』、あんたの槍にパッチとして当ててあげます」

 リセの指が空中で鍵盤を叩くと、銀糸が岳の槍に巻き付き、透き通った音を立てた。

「……これが、ヌルチーの……」

「さあ、ガクチー。あの五月蝿い黄金の置物、黙らせてきなはれ」

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