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第43話 ――干渉許容量

三十五階層へ転移した瞬間、恒一は違和感を覚えた。


「……重い」


重力ではない。

空間の“密度”が違う。


草原地帯のはずなのに、風が止まっている。

空が、曇っているわけでもないのに、色が薄い。


「ここ、まだ完成してない」

ひよりが小さく言う。


足元の草が、ところどころ“透けて”いる。


《干渉許容量:解放》


表示が浮かぶ。


「……来る」


地面が隆起する。


現れたのは――

うろこのある魔物。


四足。

角を持つ。

牙が長い。


三十階層以降の強化種。

だが、様子がおかしい。

目が焦点を結んでいない。


「生成途中……?」


魔物が吠える。

だがその声も、どこか“薄い”。


初干渉

恒一が刀を構える。

だが、斬らない。


「ひより」

「うん」


ひよりは核片を取り出す。


淡い光。

その瞬間、空間が“応答”する。

魔物の輪郭が、一瞬揺らぐ。


「……お兄、いける」


恒一は踏み込む。

だが、斬撃は“本体”ではなく――

足元の空間の継ぎ目を狙った。

刃が触れた瞬間、ひびが走る。

魔物の動きが止まる。


「……生成ライン、切った」


魔物が、霧のように消える。


ドロップなし。


経験値も、通常の半分。


《干渉成功》


表示。


「……戦闘じゃない」

「うん。構造を触った」


国家の警告


地上。


モニターに異常値。


「魔物の出現ログが途中で断絶?」

「撃破ログが不完全です」


管理官が険しい顔になる。


「……構造干渉だな」


研究主任が頷く。


「核片の影響です」


「危険だ。許容を超えれば暴走する」


二体目


今度は、爪の長い二足型。

背中に棘。

明らかに強い。

攻撃が速い。

恒一は避ける。


「これは普通に強い!」

「生成安定個体!」


ひよりが叫ぶ。


干渉できるのは、“不安定な部分”だけ。

完全個体には、通じない。

恒一は受け、流し、斬る。


硬い。


だが――


刀の紋様が、淡く輝く。

角度を変える。


うろこの隙間。

斬撃。


血が飛ぶ。


「いける!」


魔物が倒れる。


ドロップ。


《牙:高純度》

《鱗:強化素材》


通常より質が高い。


「……干渉成功後の個体は、質が上がる?」


「多分、密度が濃い」


自宅ダンジョンの変化


帰還。


核片を中央に置く。

その瞬間。

壁の一部が、淡く光る。

石壁に、草の模様が浮かぶ。


「……草原要素、流入してる」


自宅ダンジョンが、三十五階層と“接続”している。

だが、暴走はない。

むしろ、安定している。


表示。


《自宅ダンジョン:進化段階Ⅱ》

《魔物武器ドロップ率:1/100 維持》

《スキルロール:1/100 維持》

《生成安定度:上昇》


「……育ってる」


ひよりが、嬉しそうに言う。


圧力


翌日。

正式通知。


【国家ダンジョン対策局】

核片の提出命令。


「……来たね」

「うん」


恒一は、静かに言う。


「渡さない」


ひよりは頷く。


「うん」


戦うつもりはない。

だが、譲るつもりもない。

地下は、今や二人だけの問題ではない。


最後の表示


夜。


自宅ダンジョン。

核片が、わずかに脈打つ。


《適合率:42%》


まだ半分にも満たない。

だが確実に、“何か”が目覚めようとしている。

今回は、

・三十五階層=干渉実験層

・構造切断という新戦術

・高純度素材の出現

・自宅ダンジョン進化段階Ⅱ

・国家からの提出命令

を描きました。

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