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第33話 ――同時でなければ、意味がない

自宅ダンジョン、五十一階層。


二人が同時に階段を降りた瞬間、空間が――分かれた。


「……っ」

「お兄?」


声は、届かない。


だが――

表示だけは、同じだった。


《同時進行試練:開始》

《相互干渉不可》

《成功条件:両名生存》


「……随分、シンプル」

「……逆に、怖い」


それぞれ、別の空間。


だが――

“同じ時間”。


恒一側

――守れない戦い


恒一の前に現れたのは、複数の選択肢。


敵を倒せ

時間を稼げ

進まず、待て


だが――

どれを選んでも、表示が浮かぶ。


《他方への影響:不明》


「……つまり」


自分の選択が、ひよりに影響する。


だが、どう影響するかは分からない。


「……最悪だな」


恒一は、深く息を吸った。


「なら―― “確実”を選ぶ」


敵を、一体ずつ。


確実に。


早くない。

派手でもない。


だが――

倒しきる。


被弾は、避けられない。


反応速度低下の代償が、ここで効いてくる。


「……くそ」


だが、止まらない。


ひより側

――創れない時間


ひよりの空間は、“未完成”だった。


壊れかけの魔術陣。

不安定な魔力流。


だが――

素材は、ない。


「……やっぱり、来た」


錬金成功率低下。


創ることが、許されない。


表示。


《安定化せよ》

《方法不問》


「……創れないなら」


ひよりは、魔術陣を――壊した。


完全破壊。


魔力が、暴れる。


だが――

流れを“逃がす”。


完成ではない。

だが――

安定。


「……創らない、選択」


空間が、静かになる。


同時刻

――外の世界


同じ頃。


ダンジョン管理課。


会議室。


「……和歌山の私有地、反応が異常です」

「深度は?」

「五十一で固定。だが――」


資料が、映る。


《二名分の高適合反応》


「……兄妹?」

「はい」


沈黙。


「……自衛隊に、連絡を」

「企業は?」

「まだ」


誰も、軽々しく動けなかった。


再合流

自宅ダンジョン。


白い空間が、戻る。


二人は、同時に立っていた。


「……ひより」

「……お兄」


表示。


《同時進行試練:完了》

《評価:合格》

《次段階解放》


二人の足元に、新しい階段が現れる。


「……下?」

「うん」


だが――

まだ、降りない。


恒一は、妹を見る。


「……無事?」

「うん。創れなかったけど」


「それでいい」

「……お兄も、無理したでしょ」


「少しな」


二人は、小さく笑った。


地上。


外は、いつも通り。


だが――

もう、いつも通りじゃない。


「……そのうち、呼ばれるね」

「うん」


管理課。

自衛隊。

企業。


選ばれた者は、隠れられない。


だが――

二人は、同じ答えだった。


「二人で」

「うん。二人なら」


地下の階段は、何も言わない。


だが――

確実に、“次”を用意していた。

この話では、

・同時進行試練の本質

・兄=確実性、妹=破壊による安定

・代償が試練に組み込まれる構造

・外部世界が本格的に動き始めた兆し

を描きました。

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